バンドが長く続いていくと、様々な理由でバンドメンバーの入れ替わりが発生する。
同じメンバーで長く音楽を続けていくことがいかに難しいことか。
アマチュアバンドなんかはまさに生まれては消えを繰り返している。
さて、メンバーが変わるとバンドはどう変わるのか、検証してみよう。
ヴォーカルが変わる
ヴォーカルはバンドの顔である。
大事なパートを担う人が変わるとバンドが変わると言っても過言ではない。
そんなことが起こったのがイングランドのヘヴィ・メタルの元祖Black Sabbathである。
初代ヴォーカルのOzzy Osbourneは狂気の人(アルコールとドラッグで頭がおかしかった時期もある)であり、フロントマンとしてのカリスマ性が凄かった。
そして、その狂気とブラックサバス自体が目指した「人を怖がらせる音楽を作る」というコンセプトがハマったのである。
Black Sabbath Paranoid Lyrics Studio Version
しかし、そのOzzyが脱退したのが1979年。
そして、その後加入したのがRainbowのRonnie James Dioである。
DioはRainbowで既に名声を手に入れており、そのヴォーカリストとしての地位は既に持っていた。
そのおかげもあって、Black Sabbathは復活した。
歌声はOzzyの高音の抜けてくる声とは違い、中音域が強い声である。
それでも歌の魅力を失わず、Black Sabbathの価値を落としていない。
DioとOzzyはタイプが異なる。
Ozzyはそのカリスマ性が人の心をとらえたが、Dioは音楽で人の心をとらえた。
歌唱力ではDio、人としてのおもしろさ(interestingとfunnyと両方)があるのがOzzyである。
OzzyはBlack Sabbath脱退後にソロを始め、Randy RhoadsやJake E. Lee、Zakk Wyldeというギター史に残るギタリストを発掘している。
そして、自らのフェスであるOzzFestを主催している。
そのOzzFestでBlack Sabbathを再結成させたりと50歳を超えても活動的である。
Dioも自らのバンドを率いて活動を続けていたが、2010年5月16日に胃癌で亡くなっている。
ヴォーカルが変わるのは大きなことだが、後任にスゴイ人を持ってくることで何とかしたパターンではないだろうか。
それでも分かりやすく歌が変わるのだから、OzzyからDioに変わったタイミングで離れたファンも少なからずいるのではないだろうか。
ヴォーカルが変わるとバンドの顔が変わり、バンドの印象が変わるのだ。
ギターが変わる
ギターはヴォーカルに次いでバンドの中で目立つ位置にいるギターが変わるとどうなるか。
そんな例として上げたいのがMR.BIGである。
MR.BIGはTalasやDavid Lee Rothのバンドで有名であったベースのBilly Sheehanとソロ活動をしていたヴォーカルのEric Martinが「ブルースバンドをやろう」という話からドラムのPat TorpeyとギターのPaul Gilbertがメンバーとなり結成したバンドである。
早い話がブルースバンドやるはずだったのに超絶テクニックを持ったスーパーバンドが結成されてしまったのである。
その初代ギタリストのPaul Gilbertはシュラプネル系の早弾きが得意なギタリストである。
Paul Gilbertについて詳しくはこちら。
そんなPaul Gilbertが脱退してしまう。
4枚目のアルバムのツアー後に再度バンドで活動を始めようとポールに声をかけたが、「ソロ活動をやりたい」と言って戻ってこなかったのだ。
そして、Billy SheehanとEric Martinの知り合いであったRichie Kotzenが加入した。
Richie Kotzenはブルースやファンクをベースとしたギタリストで、ポールとはタイプが全然違った。
こうした経緯に中で、ポールの作ったフレーズをリッチーが弾くと全然違う雰囲気になってしまうのだ。
来日公演に言っても初期メンバーの方が人気があるし、リッチーはイケメンで歌が上手いのだが、今までのギターのタイプと違った為MR.BIG自体から離れて行った人もいた。
結局、MR.BIGは別な理由も重なり解散してしまう。
それでもリッチーが加入して2枚のアルバムを制作したのだが、ポール時代の4枚のアルバムよりもブルージーであり、MR.BIGが元々目指したものが作れていたのではないかと思う。
それでも最初に売れた超絶テクニックのバンドというイメージにはポールの方がマッチしており、リッチーではなかったのだ。
ギターが変わるとバンドサウンドの雰囲気が変わる。
それがポールの方がマッチしていただけである。
ドラムが変わる
ドラムはバンドのリズムを担っており、上手くて安定していることが大前提となる。
そんな中でリフに合わせて印象的なフィルを決めたり、変わったリズムを打ち出すことによって個性を見せることは可能である。
その例としてKoЯnを見てみよう。
まずは初代ドラマーであるDavid Silveriaの「Blind」のドラミングから見てみよう。
超パワードラミングによる叩きまくりのドラムは自信の腕を壊してしまうほどであった。
この重いリズムを叩きだすドラミングはKoЯnのスタイルそのものであったが2007年に脱退してしまう。
その後ツアーサポートを務めたRay Luzierが凄かった。
負けず劣らずのパワードラミングと共に魅せるパフォーマンスと完璧なドラムを叩いて見せた。
その評価もあってか、KoЯnの正式メンバーになっている。
Ray Luzierが叩いた同じ「Blind」を見てみよう。
7:57~が該当箇所である。
ドラムマイナスワン演奏に合わせたデモではあるが、その演奏の凄まじさが分かるだろう。
ここまでドラムをフィーチャリングすることが少ないのかもしれないが、とにかく魅せるパフォーマンスと手数の多さで飽きないドラムを見せてくれる。
いい意味で変態ドラマーの面を見せてくれている。
本来ドラムを鳴らすためにスティックを頭の上まで振り上げる必要はない。
そこまでして鳴らさなければいけない状態なのは、他の楽器の音が大きすぎる・ドラムが致命定期に鳴らない等のドラマー自信に因らないことが多い。
その意味ではKoЯnは爆音&重低音が2本のギター&ベースから発せられるので異常な状態かもしれない。
KoЯnの変則的な楽曲やリズムに変態ドラマーがハマった瞬間だった。
ドラムが変わるとノリとグルーヴが変わる。
それは曲自体の持つ力をさらに強くすることができる方法である。
最後に
バンドの持つ色に合えば加入後に認められることはあるが、それはかなりハードルが高い。
それでも元々のメンバーと同等に扱われ、曲作りに参加することで過去の音楽には無かったものを提示できるのだ。
それでもバンドを同一のメンバーで続けるのは難しいのだ。
そうでなくても売れ続けなければならない。
そう考えるとU2のメンバーが1976年から変わらないことはかなりスゴイことだと気づくだろう。
メンバーが変わるとバンドの要素が変わる。
その要素が担当パートによって異なるのだ。
こちらからは以上です。
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