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カヴァーアルバムもここまで違うものか~『風街であひませう』と『こううたう』個性と無個性~

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最近聴いた2枚のカヴァーアルバムが対照的で印象的だったので、レビューと共に対比してみたいと思う。

どちらもいいアルバムであることは間違いない。

 

 

風街であひませう

松本隆 作詞活動四十五周年トリビュート 「風街であひませう」(完全生産限定盤)

 

作詞家松本隆の作詞活動四十五周年を記念したトリビュートアルバムである本作は、参加しているアーティストが豪華なのである。

 

収録曲

1. 手嶌葵/風の谷のナウシカ
2. 草野マサムネ(スピッツ)/水中メガネ
3. クラムボン/星間飛行
4. 斉藤和義/白いパラソル
5. やくしまるえつこ/はいからはくち
6. YUKI/卒業
7. ハナレグミ/Tシャツに口紅
8. 中納良恵(EGO-WRAPPIN’)/探偵物語
9. 安藤裕子/ないものねだりのI Want You
10. 小山田壮平&イエロートレイン/SWEET MEMORIES
11. 細野晴臣/驟雨の街

 

この名曲達を一流ミュージシャンがカヴァーする。

アレンジから全てそのアーティストが関わっているからだろうか、原形を留めないくらいに好きなようにやっているのである。

 

 特に草野マサムネの「水中メガネ」はもう完全にスピッツなのである。


水中メガネ 草野マサムネ - YouTube

 

 もともとこの曲はChappieというキャラクターが歌っている設定で発売されている。

水中メガネ/七夕の夜、君に逢いたい

水中メガネ/七夕の夜、君に逢いたい

  • アーティスト: Chappie,松本隆,大平太一,ティン・パン・アレー,細野晴臣,大和田治臣,鈴木茂,浜崎大地,佐藤博,林立夫,浜口茂外也
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ
  • 発売日: 1999/07/23
  • メディア: CD
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セルフカヴァーでもあるのだが、何ともいい曲に出逢えた気がした。

他にも斉藤和義の「白いパラソル」がなかなかよかった。

 

 

 

こううたう

こううたう(初回限定盤)

 

収録曲

1. 若者のすべて
2. ただ泣きたくなるの
3. 素直
4. 桜坂
5. めちゃくちゃに泣いてしまいたい
6. 朝日の誓い
7. だけど僕は
8. アイ
9. Raining
10. 私生活
11. 笑顔を探して
12. 虹と太陽の丘
13. きみはぼくのともだち
14. 糸
15. 未来へ 

 

元々柴咲コウは好きで、 これまで歌っている曲も好きである。

そんな柴咲コウがカヴァーアルバムを発売したのだ。


柴咲コウ-「こううたう」 - YouTube

 

 

このカヴァーアルバムは元々ゴリゴリのアレンジをしてある曲というより、素材が素晴らしい曲ばかりを選んでいる。

その為、全体にアレンジが薄口で柴咲コウの歌が際立つようにしてあるのである。

 

柴咲コウの歌はあまりクセがなく、極端なことを言うと「柴咲コウが歌っていること以外の表現はない」状態である。

そこを生かすようなカヴァーアルバムなのだ。

例えるなら、柴咲コウは白いご飯で、楽曲は各々の具入りの味噌汁。

何にでも合うし、普通の味噌汁なら普通に食べられるといった感覚だ。

 

 

自分が感じた大きな違い

 

 

 

 

 

個性と無個性である。 

それは、色とりどりの『風街であひませう』と真っ白な『こううたう』という言葉に要約できる。

 

 

『風街であひませう』の曲へのアプローチは、各アーティストが個性を前面に出した個性的なアプローチをしている。

クラムボンはクラムボン色の「星間飛行」を表現しているし、やくしまるえつこはやくしまるえつこ色の「はいからはくち」だし、ハナレグミはハナレグミ色の「Tシャツに口紅」を表して、松本隆の歌詞の世界観をまた新たに表現している。

 

 

その一方で『こううたう』は非常に無個性。

楽曲は名曲をかき集めているが、元々J-POPの中でもプレーンな曲ばかりである。

だからこその思いきったアレンジもできるのだが、アレンジは全体に原曲の世界観を壊さない程度に薄く色づけしたが、曲の印象には大きな違いを与えていない。

これはもちろん柴咲コウが歌うことが前提となっていて、主役は楽曲よりも柴咲コウであるということを表している。

その主役が先程書いたとおり、ほぼ何も表現していないので真っ白に思えるのである。 

 

 

最後に

 

 

 

2つのアルバムに優劣を付けているわけではない。

 アプローチも内容も異なるので、単純に比較はできない。

それでも、あまりに違う2枚なのでその対比によってお互いの良さをあぶり出せればと思ったのだ。

 

同じようなモノを聴くのは飽きるし刺激が欲しいときだってある。

そんな時は色とりどりの星のように尖った音楽を聴くと、心に刺さるしアドレナリンが出る。

 

しかし、音楽がいつも個性的で尖っていれば良いものかというと、そうではない。

BGMとなる曲や心穏やかにしたい時は、無個性で真っ白な音楽が合うのである。

 

様々な音楽の聴き方の中で、最適な音楽を選びたいと思うのなら、こういう違うパターンの音楽を知っていることは為になるのではないだろうか。

 

 

こちらからは以上です。

松本隆 作詞活動四十五周年トリビュート 「風街であひませう」(完全生産限定盤)

松本隆 作詞活動四十五周年トリビュート 「風街であひませう」(完全生産限定盤)

  • アーティスト: VARIOUS ARTISTS,安藤裕子,小山田壮平&イエロートレイン,草野マサムネ,クラムボン,斉藤和義,手嶌葵,中納良恵(EGO-WRAPPIN’),ハナレグミ,やくしまるえつこ,YUKI,細野晴臣
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2015/06/24
  • メディア: CD
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こううたう(初回限定盤)

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柴咲コウ Single Best

柴咲コウ Single Best

 

 

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