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Mr.Children「ヒカリノアトリエ」の感想と昔ながらのミスチルファン必聴のSecret Track

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ヒカリノアトリエ

1.ヒカリノアトリエ
2.つよがり (Studio Live)
3.くるみ (Studio Live)
4.CANDY (Studio Live)
5.ランニングハイ (虹 Tour 2016.11.7 FUKUI)
6.PADDLE (虹 Tour 2016.10.14 KUMAMOTO)

 

Mr.Childrenの「ヒカリノアトリエ」を聴いたのでその感想。

正直「ヒカリノアトリエ」自体はそれほどいい曲だとは思わないが、このシングル自体は今までの活動と地続きになっていて、長くミスチルのファンを続けている人は全体を是非とも聴いてみて欲しい作品になっている。

 

「ヒカリノアトリエ」はプラスのイメージを与えるサラっとした曲に仕上がっている。特に変わったメッセージを発しているわけではなく、”辛くても大変でも希望を信じて進んでいこう”という割と何処にでもあるテーマくらいしかなく、マイナスからプラスへシリーズに1曲が増えただけだ。ミスチルはたまに「HERO」等の新しい視点や気づきをくれる曲や、「CENTER OF UNIVERSE」のような名言が入っているものがあるが、そういった類の曲ではないということだ。

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イントロのフィルターのかかったピアノで2010年代のミスチルを思わせながら、そこからティンパニで幕を開きアコーディオンにホーンが一気に現実に引き戻す。そこからはAメロの最初や間奏の後に一部静かにはなるが、基本はマーチングのビートに乗って楽曲が軽快に進んでいく。こんな流れを聴いて、いつになったら8ビートが始まるんだ?と思いながらずっとハイハットでビートを刻むことはなく、スネアがずっとビートを刻んでいることに不安を覚えた。というよりは、アルバム『Q』収録の「Everything is made from a dream」もマーチングのようにビートを刻むパターンがあるがサビになるとシャッフルだが2ビートになる展開があり、そういう展開を予想して裏切られて8ビートを使わないのかという印象だけが残ったというのが正しい。ミスチル流マーチング曲で、ポップスでもよりクラシックに近い位置取りがされていると思わざるを得ない。今までなかったアプローチではあるので、これで普通に8ビートを刻まれたらNHKのクラシカルなイメージとリンクしにくくなったかもなと。

 

今回のシングルはメインの「ヒカリノアトリエ」以外に5トラック(正確には隠しトラックがあり7トラック)が収録されていて、その前半はStudio Liveとなっている。Studio Liveと言われて思い浮かぶのは『Mr.Children/Split The Difference』であり、元々ある曲をリアレンジして週末ライブをやろうと言って始まった企画でのスタジオライブだ。あの時の様な有名ミュージシャンとのコラボはないし小林武も参加していないが、あのイメージの延長線上にあるようなアレンジだ。

直前のツアーメンバーだったSUNNY(キーボード、コーラス)、山本拓夫(サックス)、icchie(トランペット)、チャラン・ポ・ランタンの小春(アコーディオン)が参加している。「つよがり」、「くるみ」、「CANDY」いずれも原曲自体が名曲なので素材が良いからどう料理してもおいしくなるようにはなっている。

3曲のリアレンジで感じたのは3つ。1つ目は小春のアコーディオンの存在感。2つ目はSUNNYの鍵盤と小林武の鍵盤の違い。3つ目は1つ目2つ目による田原、中川の存在感がかなり薄まったこと。

アコーディオンの存在感は「ヒカリノアトリエ」でも感じたが、特に元々入っていない「つよがり」と「CANDY」ではやけに耳に入ってくる。アコーディオン自体が持つ昭和感やアナログ感がいつも鳴らすと別なジャンルになってしまうんじゃないかというくらい違うサウンドに仕上がるもんだなと。逆に「くるみ」は既定路線でありつつ、原曲よりも深い味わいを与えてくれるのはとても良かった。このサウンドがチャラン・ポ・ランタンの楽曲のアレンジにミスチルが関わった曲があるので、要チェックだ。

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SUNNYのキーボードは良くも悪くもクセが少ない。それはスタジオミュージシャンだからなのか、あくまでミスチルに対して引いた立ち位置をとっているからかはわからないが、一歩引いた支える立場を貫いている。一方、小林武の鍵盤はSUNNYに比べるとクセが強めなのが分かる。ミスチルに対して対等に渡り合う姿勢で鍵盤を鳴らすので、装飾音が強めに出る。例えば、「くるみ」のAメロのピアノの絡みは元々えげつないものになっているが、ap bank等のライブでの小林武は若干暴走すらする。原曲からそういうアレンジになって提供されているから気付かないが、普通にサポートミュージシャンが弾けばこうなるよなというSUNNYの鍵盤と比べると、小林武の鍵盤は濃いめの味付けになってたんだなと言うことがよく分かった。

その分、田原のギターと中川のベースが大人しく感じた。一応、スタジオアルバムとは銘打っているが、リアレンジなので原曲との違いを楽しむ楽曲となっている。それなのに、田原のギターも中川のベースもほぼ原曲通りで、ライブで披露している状態と同じである。だが、これが悪いことだとは思わない。桜井の歌い方やJENのドラムは嫌でも変化するので、いつも通りであることによるバランスをとっているのだ。何でもかんでも全部変わることは必要がないし、今回は4人のメンバーが増えた状態でのアレンジとなっているので、みんなが前に出ることを考えず引くことができるのもメンバーの強みなんだなと。

 

後半2曲「ランニングハイ」と「PADDLE」はライブバージョン。直前のツアーMr.Children Hall Tour 2016 虹からの音源だ。いずれもアップテンポな曲で、ライブでの桜井特有のアオリを聴けるのと、割と原曲通り演奏していることが良くわかる。この辺はライブDVDを見た方が楽しめるし、ミスチルのライブは視覚的にもとても刺激的にできているので余計にそう思う。

それよりも大事なのは8曲目のSecret Track。ここであの名曲「Over」に関わる話を桜井がライブ会場で話す14分47秒の歌と語りになっている。語られていることはこんな感じだ。

・「Over」は恋が終わるLove is overのoverと、歌詞の最後にある”悲しみのトンネルをさあ潜り抜けよう”というように乗り越えるという意味の2つがある。

・仮タイトルは「2ビートでKAN」。このKANは「愛は勝つ」で有名なKANさんのことで、KANさんからはメロディに関して多大な影響を受けている。

・歌詞を書くうえで参考にしたのはGilbert O'Sullivanの「Alone Again (Naturally)」。メロディは明るいが、歌詞が暗いというギャップがある曲。「Over」もそのように

・物議をかもした歌詞”顔の割に小さな胸や”は「顔が大きいのに」や「目鼻立ちはっきりしているのに」なのかと。この表現に関しては不徳の致すところ。言いたかったことはセールスポイントとして小さな胸はちょっとポイントが低いけれど、世界に一つだけの君の胸だから大好きだよということ。

こんなことを1番を歌った後に語り、2番を歌いだす。あくまで、桜井一人でのギター弾き語り形式をとっている。また、ギターは3カポでG(原曲はB♭)で演奏されている。そこから「I'll be」への展開も邪推したが、間奏部分を「Alone Again (Naturally)」にした以外は何の変哲もない弾き語りになっている。 

確かにつなげて聴くと、「Alone Again (Naturally)」とコード進行やメロディは似ているし、歌詞の方向性は同じだ。それにKANについても触れられていて、サビが「まゆみ」や「言えずのI Love You」に似ているのは知っている方がいるかもしれない。

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これをパクリだと言うのは短絡的だ。コード進行が同じ曲やメロディが似た曲なんていうのは山ほど存在し、限られた選択肢の中での組み合わせなのだから似たようなものができることは仕方がない。また、KANに影響を受けていると桜井が公言しているのもあり、これはオマージュともとれる。好きなものに寄っていくことは自然なことで、双方が納得していれば問題はない。

 

全体としてはシングルよりはボリュームがあるし、ファン歴が長い方にとっては嬉しい音源が含まれているので買って聴いてみるのをおすすめできる。何より名曲「Over」について語られているし、近年の歌詞は自由に解釈してOKという桜井の姿勢から考えると珍しいことだ。

小林武のプロデュースから離れ、変化を続けるMr.Childrenが垣間見えるのは嬉しい限りだ。そういう変化を楽しんでいければよいのではないだろうか。

 

 こちらからは以上です。

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