Jailbreak

新しい世界の切り取り方

ライナーノーツのおかげで洋楽を自分のものにできた~アーティストと情報とMr.Big~

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先日、久々にCDを買った。
手にしたのはMr.Bigのニューアルバム『Defying Gravity』で、ほとんど情報集めのための試聴しかしないタワレコで。普段、音楽を手に入れる手段はダウンロードやレンタルがほとんど。年に数枚CDを買う程度で、本当に好きなアーティストや手元に置いておきたいと思うアーティストの新作を買うというのがここ5年以上続いている。
新しく買ったCDをiTunesにインポートしながらライナーノーツを読んで、これが大事な体験であり情報源となってアーティストとの距離を縮めてくれる大事な役割があったんじゃないかと思ったのだ。

 

ダウンロードではライナーノーツはないし、レンタルだとライナーノーツがあったりなかったりするし、何なら最近はインポートしている間にチラ見するくらいでそんなに読み込まない。そのせいか、山ほど音楽を聴いているが音楽を聴き始めたころ程1枚のアルバム、1曲1曲への思い入れが減っている。
確かに半年に1度パワープレイしたアルバムをまとめていてよく聴いているのだが、どうも感覚として思い入れが浅い。何よりアーティストの情報を知らない。自分の持っているCDは全部把握していたし、どのアルバムの何曲目が何というタイトルでどんな曲か空で言えた。

 

では、その思い入れがもっとあった時期がどんなだったか。

自分が小学校高学年~高校生くらいまでだったと思う。Mr.Bigと出会った頃、まだインターネットは黎明期であまり一般的ではなかった。それだけに音楽雑誌をよく読んだり、テレビで音楽番組もよく見たし、ライナーノーツも読み込んだ。
特にライナーノーツは英語がほとんど読めなかった当時にとってはとても大事な情報源だった。例えば、Mr.BigのベーシストBilly Sheehanの読み方。ビリー・シーンカタカナでライナーノーツに書いてあるため読めたわけだが、このメンバーの名前を呼べることがまずは大きな一歩だった。
さらに、和訳も載っているのでどんなことを歌っているかが分かり、ちょっと難しい単語には解説も入っていたおかげでどんな歌を歌っているアーティストかが分かった。そして、ライナーノーツの解説にはこのアルバムを作るまでの流れや、メンバーへのインタビュー、各楽曲の解説と多岐にわたり情報が溢れていた。そんな情報を知って、アルバムのこと、楽曲のこと、メンバーのことをよく知ったうえで再度アルバムを聴くとまたさらにいい曲に思えてくる。音楽を聴いて、情報を取り入れて、さらに音楽を取り入れる。そうやって深く音楽を聴いていた。
当時はお小遣いも少なかったから数か月に1回アルバムをやっと買えたくらいで、ペースはとても遅かった。それはそれは何度も同じCDを聴いたさ。頭の中で再生できる状態になるのは当たり前だったし、カラオケで歌詞なんか見なくても歌えたもんだった。

 

現在の様にiPodを中心とした音楽の聴き方に変化したため、どうも音楽を自分のものにできていない。
当時と違ってネットを気軽に使え、情報を得ようと思えば得られるのだが、ライナーノーツにあるようなレベルのものとは違う。ネットにある情報はライナーノーツに載るような内容より気楽なことが多く、ライナーノーツは音楽誌の一部のような情報がほとんどだ。
どちらが良いのかはわからないが、ネットでアーティストのブログを読んだことで親近感を持つことはある。例えば、自分は樋口了一というアーティストを本気で好きになったのは、ブログでスヌーピーに触れて考え方を示していたことが大きい。だから、ネットが悪くて、ライナーノーツが良いとは一概に言えない。

関連記事:どん底から救ってくれた曲~樋口了一と1/6の夢旅人2002~

 

ライナーノーツは今の音楽の在り方に対して合わなくなってきているのかもしれない。デジタルライナーノーツなんてのがあってもいいのかなとも思うが、全然一般化されていないし、今後普及するのかは疑問がある。
とはいえ、ライナーノーツには独特の良さがあって、情報の質の良さも合わせてとても貴重だと思う。

エピソードや思い入れがあると、音楽が自分のものになる。自分は自分のものになった音楽を増やす音楽の聴き方、情報の取り入れ方をもう一度考えてみるいいきっかけになった。

 

こちらからは以上です。 

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