Jailbreak

新しい世界の切り取り方

2019年上半期に自分がパワープレイしたアルバム10枚

 

 2019年も半分が過ぎたので、この半期でよく聴いた音楽をまとめておこうと思う。

 2019年上半期は審査待ちだった楽曲を一気に1万曲くらい聴いたタイミングが数か月あって、それのおかげ(?)で日本ではマイナーな洋楽を聴きまくった。

 そういうわけで、あまり邦楽はなく、洋楽ばっかりになっているので、そういうつもりで見ていただけると助かります。

THE FEVER 333/『STRENGTH IN NUMB333RS』

Strength In Numb333rs

1. ...
2. BURN IT
3. ANIMAL
4. PREY FOR ME/3
5. ONE OF US
6. INGLEWOOD/3
7. THE INNOCENT
8. OUT OF CONTROL/3
9. AM I HERE?
10. COUP D’ÉTALK

オススメ曲→3,4, 5,7,8,10

このバンドの楽曲を一聴して、ロックの次の一手だと思った。 

近年、ロック単体の音楽ってあんまりなくて、ロック+ポップスだったり、ロック+ファンクだったり、ロック+ヒップホップみたいに、音楽の要素の一つとして扱われることが多いと感じている。 それだけロック自体が当たり前の手法だと思うし、いろんなジャンルの割合で、ロックの要素が大きいと〇〇ロックとか言われたりするんだろうなと、思うわけです。

THE FEVER 333を聴いていて、ロックは感じたのだが、ロックの中心となるギターの割合を減らした脱ギターロックだと思ったので、記事にした。

めちゃくちゃ新しいわけではないが、今までにあまりなくて、次の展開が気になる音楽性だった。こういう新しいテイストが感じられつつ、今までの流れも踏まえている感じの音楽性は大好き。

これもそのうち慣れてしまうのかもしれない。そうしたら、彼らの新しい作品が待ち受けていて、どんどんアップデートしていける未来を期待してしまう。 

Destine/『Forevermore』

Forevermore

1.Forevermore
2.Down And Out
3.Demons
4.Anywhere You Wanna Go
5.Rock Paper Scissors
6.Coming Home
7.Stuck In The Middle
8.More
9.Heart To Life
10.Unconditional Light

オススメ曲→ 1,2,3,4,10

ヘヴィだけど、爽やかでポップ。いやらしさが一切なくて、とてもクリアなアルバム。

エモ系のバンドを聴き漁っていて、その中にこのオランダのエモバンド、Destineが含まれていた。 エモらしい、ヴォーカルもありつつ、ギターバンドらしいサウンド。オランダのバンドではありつつ、英語が下手という感じもしないし、ヴォーカルのRobin van Loenenの歌声がロック然としておらず、めちゃくちゃポップだったりと、とにかく聴きやすいロックなのだ。これで、ヴォーカルがしゃがれ声だったりすると、一気に泥臭いロックっぽさが出てしまうのだが、とてもストレート。だからこそ、聴きやすさが前面に出ている。

アルバムの頭4曲がかなり良かったのもあって、かなり印象が良かった。

イマイチ、嫌いになる要素がないのバンド。あえて言うと、普通過ぎる感じがして、色んな個性満載のバンドと比べると、オリジナリティが弱いかもしれない。だが、いつも個性的な音楽が聴きたいか?というと別にそんなこともないと思うのだ。例えば、毎回ど真ん中のボール1個分の範囲でしかボールを投げてこない、コントロールの良いピッチャーみたいな感じ。丁寧なコントロールがされているので、いい感じの王道のストライクゾーンをしっかり貫いてくる。なので、やっぱり嫌いになるポイントがなく、よく聴くこととなった。 

KYONO/『YOAKE』

YOAKE(DVD付)

1. EQUAL SOCIETY feat. MAH (SiM)
2. DOMINATION
3. BREED feat. JESSE (RIZE / The BONEZ)
4. YOAKE feat. Tokyo Tanaka (MAN WITH A MISSION)
5. INFLUENCE
6. FLY!!!
7. SUN IN CLOUD
8. CREATURES
9. ONE WORLD
10. MIRAI x SEKAI -Acoustic Ver.-
11. EQUAL SOCIETY -KYONO Ver.-
12. BREED -KYONO Ver.-
13. YOAKE -KYONO Ver.-

オススメ曲→ 3,4,11

MADの新作か?と思いきや、コラボで世界を広げた新作。

最初にこの作品に触れたのが、ラジオから流れてきた「BREED feat. JESSE」だった。カッコイイ曲だ!とすぐ分かり、ラジオDJが曲を紹介してからすぐ検索した。なるほど、JESSEが関わっているなら、カッコイイ。RIZEもThe BONEZも大好きな曲がある。

アルバム全体を聴いて、第一印象がMAD(THE MAD CAPSULE MARKETS)じゃないか!ってしか思えない。いや、MADは好きなんだけど、こんなにMADの寄せて大丈夫?というのが強かった。確かに、KYONOが作詞作曲をしているし、アレンジはMAD名義なので、分からないでもない。

やっぱりMADを好きだと、このアルバムのサウンドは好きなんじゃないかと。ヘヴィだし、リズムは重たいし、ハイファイなギター&ベースだし、これは完全にMAD。もちろん、いつもの如く英語で歌っているので、その辺も余計にMAD。MAD、MAD、MAD…

ここまでMADを連発するのは、きっとKYONOの音楽性のアイデンティティはMADにあるんだろうなということ。サウンドがMADで歌声がKYONOだと、MADじゃんとしか思えない。これは、正しくMADの延長戦。 

Decyfer Down/『Crash』

Crash

1.Crash
2.Desperate
3.Fading
4.Best I Can
5.Ride With Me
6.Wasting Away
7.Over My Head
8.Moving On
9.The Life
10.Forever With You

オススメ曲→ 3,4,6,7,8,9

最先端、最新の音楽性ではないが、安定した音楽のクオリティが感じられるアルバム。

アメリカのクリスチャンロックバンドDecyfer Down。エモと並行して、クリスチャンロックバンドと分類されているバンドを聴いてみよう、と思ったのがきっかけ。『End of Grey』、『Crash』、『The Other Side of Darkness』と彼らの作品を聴いたのだが、全体的に楽曲のクオリティが高い。

ロック然として、へヴィなサウンド辺りはもう当然として、 メロディが良い。歌ものをしっかりやり切れるバンドが案外少ないと感じている。その点、Decyfer Downはバラードを歌わせても良いし、テンションの高いロックもメロディアスにまとめる。バンドも適度にテクニカルさを持っているので、若いボーイズバンドがえい!と勢いでやってしまっている感じは全くない。そういう意味では、落ち着いて聴けるロックである。

この『Crash』というアルバムの良いところは、ロック色よりも歌モノとして優秀だという点。なので、 ヘヴィでテクニカルな曲をいっぱい聴きたいというよりは、Nickelbackや3 Doors Downのようなオルタナ感のある歌モノが好みなら、このアルバムはどストライクなはず。

個人的には、ちょっと仕事で疲れた時の帰り道に、クールダウンとして聴くのがちょうどよかった。 

Camera Can't Lie/『The Album』

The Album

1.Shut Up and Show Me
2.Call Me Crazy
3.Last Dance
4.Standing Still
5.Not Everyone Leaves
6.I'll Wait for You
7.The One That Got Away
8.Losing You
9.Casualty
10.Dakota
11.Over and Over
12.What's On My Mind

オススメ曲→ 1,3,4,5,7,8,10,11,12

2000年代初頭のオルタナティブロックのノスタルジーにやられた。 

どこでどんな風に出会ったか全然覚えていないバンド、 Camera Can't Lie。この作品こそ、2012年のものにも関わらず、自分が感じたのは2000年代初頭のオルタナティブロック。もっというと、「Calling All Angels」を歌っていた頃のTrain。アルバムで言うと『My Private Nation』辺りがとてもよく重なった。当時、幸と不幸を行ったり来たりして、最終的にちょっと不幸くらいで終わるような楽曲をよく聴いていて、何だかそれと似ているなと。

このアルバム、結構優秀で、12曲中9曲の出来がかなりよくて、残りの3曲もアルバムの中にあるなら、聴いていられる楽曲ばかり。つまり、アルバム1枚を通して聴ける貴重なアルバム。ダラっとしたオルタナティブロックが多いが、適度にヘヴィでハリのある曲もあるし、聞き流すにもよいし、ちょっとよく聴いてみるとそれはそれで、発見がある。

いわゆる歌モノバンドで良いと思うし、あまりテクニカルなことはやらないので、全体のバランスとか雰囲気がとにかく好きなアルバムだ。 

David Cook/『David Cook』

David Cook (Snys)

1.Declaration
2.Heroes
3.Light On
4.Come Back To Me
5.Life On The Moon
6.Bar-ba-sol
7.Mr. Sensitive
8.Lie
9.I Did It For You
10.Avalanche
11.Permanent
12.A Daily Anthem 

オススメ曲→1,2,6,7,9,10,11,12

とにかく音楽として優秀。 

アメリカンアイドル出身のアーティストはできる限りチェックするようにしていて、David Cookも自分のiTunesのライブラリには入っていた。しかし、ちゃんと聴く時間が取れずにいて、ここにきてやっと聴くことができた。そして、もっと早く聴いていればよかったと後悔した。

基本的な要素として、歌が上手くて、楽曲が良ければ、それは良い結果が生まれやすい。それがまたアメリカのトップオーディション番組から選ばれているのだから、正にお墨付き。やっぱり曲も良いし、Davidの歌声を生かす歌になっている。とにかくいい曲ばかりで、オススメ曲以外も聴けるアルバムを通して聴けるアルバム(本日2回目)なのだ。 

Davidのロック然とした歌い方と、キャッチーなメロディがあるあまり泥臭くないロックはとにかく聴きやすかった。 

5 Seconds Of Summer/『5 Seconds Of Summer』

5 Seconds Of Summer

1.SHE LOOKS SO PERFECT
2.DON'T STOP
3.GOOD GIRLS
4.KISS ME KISS ME
5.18
6.EVERYTHING I DIDN'T SAY
7.BESIDE YOU
8.END UP HERE
9.LONG WAY HOME
10.HEARTBREAK GIRL
11.ENGLISH LOVE AFFAIR
12.AMNESIA
13.HEARTACHE ON THE BIG SCREEN
14.THE ONLY REASON
15.WHAT I LIKE ABOUT YOU
16.REJECTS
17.TRY HARD
18.SOCIAL CASUALTY
19.NEVER BE
20.VOODOO DOLL

オススメ曲→ 2,5,6,8,9,13,15

若さと青春の青さのパワーが炸裂した作品。 

この作品が5 Seconds Of Summerのデビュー作品であり、当時彼らは17~18歳くらい。なんとも若さ溢れる時期で、それに伴ってフレッシュ感が凄い。ちょっとパンキッシュで、キャッチーな雰囲気は彼らが影響を受けたというGreen DayやBlink-182やBustedあたりのイメージと重なる部分は多い。聴きにくさはなくて、尖ったところはあまり感じられないところが、ボーイズバンドと言われてしまうのは仕方ない。

先述のバンドの影響を受けているので、アップテンポの曲が多いかと思いきや、案外ミドルテンポやスローテンポの楽曲が多い。もっというとメロコアの様な超ハイテンポの曲は1曲もない。だからこそ、落ち着いて聞き流しておきやすいし、アルバム全体の楽曲の方向性が似ているので、突然変な楽曲に驚くこともない。

Army Of Freshmen/『Happy To Be Alive』

Happy to Be Alive

1.America, You're Breaking My Heart
2.Ava
3.Cape May Diamond Ring
4.Paperweight
5.Deland Avenue
6.Concrete Hope
7.Devotion
8.Skyscrapers
9.Fault Lines
10.We'll Always Have Forever

オススメ曲→1,5,8

爽やかな西海岸のキーボードロック。 

確かエモ周辺のバンドを探していた時に引っかかってきた。ジャケットがちょっとバンクシーっぽくて、思いっきりハードな音楽性かと思いきや、めっちゃ爽やかというギャップにやられた。

それこそ、アルバムのオープニング「America, You're Breaking My Heart」のイントロなんか、全盛期のHoobastankか?と思うくらい勢いがあって、へヴィ。でも、楽曲が展開していって、コーラスになると超爽やか。この曲が1曲目だったから、アルバム全体のイメージも外さず、いい感じで聴ききれる。特に午前中に聴くにはとても気持ち良い。

爽やかさの秘訣は、キーボード。黙っているとギターロックで、ベースも大きめにミックスされているので、とてもソリッドなサウンドになりそうなもの。そこを中和して、聴きやすくポップにしているのがキーボード(特にピアノ)の音。たまにシンセリードがあったりするが、ほとんどがピアノが使われている。また、ダイアトニックコードを使っているので、違和感が少ないのもある。ゴリゴリのメタルばかり聴いていると、こういう音楽性が妙に心に響くのだ。

打首獄門同好会/『10獄 ~TENGOKU~』

10獄〜TENGOKU〜

 

1.DON-GARA
2.私を二郎につれてって
3.デリシャスティック
4.まごパワー
5.88
6.ヒゲは走る
7.ドーナツ歌現象
8.ヤキトリズム
9.フローネル
10.ファミチキ
11.失われし平和な春の日よ
12.上野ZOO
13.カモン諭吉
14.AJPN
15.今日も貴方と南武線
16.How do you like the pie?

オススメ曲→1,2,3,7,8,10,12,13,14,16

タイトルからイメージし、歌詞を聴いて得られるアハ体験。そして、嘲笑からの尊敬。 

もともと名前は知っていたのだが、激ロックで特集ページがあったり、NHKでも取り上げられたりしていて、これは今聴くべきだ!とTSUTAYAに走った。そうしたら、これまたスゴイバンドで、お気に入り確定。その結果、2019年上半期のMVPの1つになった。(ちなみにもう一つは後述のBring Me the Horizon) 

打首獄門同好会の良さは、生活密着型ラウドロックというだけあって、歌詞のテーマの身近さ。スゴイ渋いイントロが始まって、へヴィでゴリゴリ押してきたと思ったら、不思議な歌詞が繰り出される。何のことだろう?と考えて、ピンと来た時の謎解き感がたまらない。そこで、「つまらないことを歌詞にしているな」とちょっと嘲笑したくなるのだが、「ちょっと待てよ、こんなことをテーマにして本気で歌いきれる(バカになれる)のってスゴイんじゃないか…?」と思ってきて、スゲー!カッコイイ!となる。これが毎回自分の中で起こっている。

スリーピースバンドだが、全員歌う(ここ重要!)ことによって、メンバー各々の歌声や個性が飛びぬけてなくても、男声+女声という組み合わせと3人の歌声が組み合わせられることで、とてつもない個性になっている。大澤会長がリードボーカルを取りがちだが、他のメンバーがリードボーカルも取るし、何ならリードを食う勢いでコーラスをしている。こういうことをやっていることは珍しい。

聴きまくったのが、結局ベスト盤じゃないかと批判したくなるかもしれない。最新作の『そろそろ中堅』もすごく良いんだけど、結局10年積み上げてきた名曲達が詰まったベスト盤にはさすがに勝てない。

Bring Me the Horizon/『amo』

AMO

1.i apologise if you feel something
2.MANTRA
3.nihilist blues (feat. Grimes)
4.in the dark
5.wonderful life (feat. Dani Filth)
6.ouch
7.medicine
8.sugar honey ice & tea
9.why you gotta kick me when i'm down?
10.fresh bruises
11.mother tongue
12.heavy metal (feat. Rahzel)
13.i don't know what to say

オススメ曲→2,5,7,12

出来が良すぎると混乱させられるが、間違いなく最高の1枚。 

Bring Me the Horizon(以下、BMTH)自体はずっと追いかけていて、今回も激ロックでニューアルバムがでると特集が組まれていたのでチェックした。ただ、正直今までそんなに好きだったわけじゃなく、イマイチ良さが分からずにいた。しかし、今作でその価値を掘り起こし、過去の作品まで気に入る結果となり、打首獄門同好会とともに、2019年上半期のMVPだった。

5曲目の「wonderful life (feat. Dani Filth)」がどストライクの楽曲で、ヘヴィでキャッチーなオルタナティブロックだった。この楽曲を中心に聴こうとすると、どうもブレる。BMTHの音楽性がロックにハマらなくなっていて、打ち込みやEDMっぽいシンセを上手く組み合わせている。つまり、ギターロックだけではないバンドで、その方向性として打ち込みや、EDMを組み合わせている。このアルバムの中で割とソリッドなロックは前述の「wonderful~」、2曲目「MANTRA」、7曲目「medicine」、8曲目「sugar honey ice & tea」、13曲目「i don't know what to say」くらいで、後の楽曲は打ち込みとEDMっぽさが中心にあって、何ならバンドサウンドがど真ん中にあるわけではない。ロックバンドというより、ミュージシャン然として、楽曲に対するアプローチとして何ができるか?という考え方なんだろうと想像する。

これでBMTHが気に入って、過去の曲も漁ったところ、めちゃくちゃいい曲があった。このアルバムの前作、『That's the Spirit』の「Happy Song」が最高にかっこよかった。

こんな風にBMTHにハマっていったわけで、午前中に聴くよりも午後に聴く方がいい楽曲が多いのもBMTHの雰囲気。そして、脱ギターロック、脱ソリッドなバンドサウンドという方向性はなかなか革新的だ。こういう新しい音楽性にちょっと拒否反応を起こしつつ、怖いもの見たさでちょっとずつ触れていくと、そのうち好きになっていくパターンが待っている。

最後に

半期に一度、こうやってよく聴いたものをまとめてみると、色んな発見がある。やっぱりロックは脱ギターロックが進んでいるし、近々メインに躍り出そうな予感。歌モノは相変わらず、いかにキャッチーかが大事。そろそろ4つ打ちのハイハット裏打ちは下火で、8ビートが戻ってきた感覚がある。

最初に書いた通り、2019年上半期は戦略的に山ほど音楽を聴いていて、なかなか苦しい時期もあった。そのおかげで審査待ちの楽曲が1000曲を切っている状態を維持できているので、よかった。ちょっと鮮度が落ちかけていたので、ここでなんとか持ち直した感じだ。

そう、自分は個人的に音楽を評価している。

 これは最強のプレイリストを作るためであり、自分の人生に必要な音楽を仕分けていくことである。

もう下半期も始まっているので、今度はもう少しペースを落として、自分にとって新しい音楽に出会っていこうと思う。

曲編も洋楽が多い、珍しいパターンになりそうなので、乞うご期待。

こちらからは、以上です。