ライブ盤(ライブアルバム)と言われる音源をご存じだろうか。
ちゃんと1枚のアルバムになっていると、ライブ盤。
ライブバージョンとしてシングルのカップリングやボーナストラックで入っているのはライブ版。
ライブには音楽の魅力がたっぷりなのだが、その魅力についてお話したい。
ライブにしかない空気感
ライブの空気をふんだんに含んでいるのがライブ盤の良さの一つだ。
ライブに行くと分かるのだが、独特の雰囲気がある。
そして、最初の曲が始まるときの観客の歓声。手拍子。
当然そんな音も拾っている。
そして、曲と曲の間にMCがあるときはそのMCへの反応。
メンバーの名前を呼ぶ声。
ライブになると、歌詞の一部をアーティスト自身が歌わず、観客に歌わせることがある。
これもライブの醍醐味。(批判もあるが)
その時、一瞬一瞬を閉じ込めたものがライブ盤なのだ。
音の違い
CDとしてリリースしている普段のバージョンと大なり小なり音が異なる。
特に打ち込みを多用しない、生演奏を中心とした楽器構成であれば尚更だ。
ギターの歪み、ベースの音の太さ、ドラムのバスドラやスネアの音、ピアノの音……全く同じ音源を再生しても、鳴っている空気を含んでいるから微妙に違う。
そして、ヴォーカルの歌声や歌い方の違いもハッキリしてくる。
生放送のテレビ番組でも生歌を歌うと分かるのだが、ライブだと尚更だ。
同じ曲なのに、こんな側面もあるのか!?と思ってしまう。
アレンジが違う
完全にライブ用に別アレンジになっているのはもちろん、ちょっと歌の入り方が違ったり、アコースティックバージョンになっていたりと、CDとはことなるバージョンでの披露はよくある。
Mr.Childrenはよくこれをやってくれるのだが、楽曲の新しい価値を掘り起こしてくれるので楽しみである。
このせいで、何度曲の評価が変わったかわからない。
逆にCDのそのままを再現するというのも、それ自体を売りにすることがあるので、良しとしよう。
打ち込みと完全にシンクロして最高のパフォーマンスを見せてくれることもある。
MR.BIGは超テクニカルな曲をそのまま再現してくれる。
これは本当にスゴくて、プロがなせる技なのだ。
あとは、ライブだからテンポが上がってしまって、これが良い方向に作用することがある。
Metallicaのライブ盤はテンポが速い曲ほど、さらにテンポが速くなるのだがこれがカッコイイ。
本来ドラマーはテンポキープが必要で、CDと同じにしましょうというのがある程度の定説なのだが、それをぶっ壊してもカッコイイものにしてしまう。
ベストな選曲
ライブはその時聴かせたい曲(新曲やニューアルバム収録曲)とお客さんが聴きたいであろう曲をセレクトする。
当然その時の最高の選曲になる。
キャリアの長いバンドであれば、昔のヒット曲から最新曲まで混ざった選曲となることが多い。
ベスト盤が無い場合、実質ベスト盤となることもしばしば。
差し替えもあるから注意
プロとは言え、人間なので当然ミスをする。
そして、普段のレコーディングと同じようにトラック単位で録音されているが故に、そのトラックの差し替えが行われることがあるらしい。
気づいてしまうような差し替えはよろしくないが、ライブ盤だからと言って、全てその時の演奏とは限らないのだ。
自分セレクト~ライブ名盤~
ここからは自分がセレクトしたライブ盤の中でもおススメのアルバムを紹介していく。
ロックが中心で、さらに洋楽が多いのだがこの辺りはご容赦いただきたい。
また、聴いていただくときのおススメポイントがあるので、そんなところを頭に置いて聴いていただけると嬉しい限りである。
その1.Mr.Children 1/42
実はこのライブ会場に居たのだが、ライブの興奮を思い出す作品だ。
このアルバムのDISC2「ラブ・コネクション」のイントロ部分でのギターソロの掛け合いや、「ニシエヒガシエ」の2番サビ後~3番サビまでの超展開等、聴きどころ満載。
そして、アンコールの「innocent world」のサビの大合唱は10分以上続いた記憶があるが、大幅にカットされているがこんな感じだったなと懐かしく思う。
こんな方におススメ
・(昔の) ミスチルが好きな方。
・J-POPのライブアルバムを初めて聴く方。
その2. MR.BIG RAW LIKE SUSHIⅡ
MR.BIGのライブ盤はどれも素晴らしいのだが、その中からあえてこの1枚を。
一曲目の「Daddy, Brother, Lover, Little Boy」が始まる前のドリルの音ともエンジン音とも取れるところからの楽曲スタート。
そして、最大の見せ場Makitaドリルでのドリル演奏。
「ドリルまで、こうやってつなぐのね……」と思うだろう。
最近は全然やらなくなったが、ヴォーカルのエリック・マーティンの何者とも言い難いシャウトを聴くことができる。
選曲はアルバム『Lean Into It』の発売後であるため、同アルバムからの選曲がほとんどだが、ビリー・シーン在籍時のデヴィッド・リー・ロスバンドの「Shy Boy」のカヴァーや「Woman From Tokyo」からの「Baba O'Riley」といった、選曲がいかにもMR.BIGらしいのである。
CD1枚に7曲しか入っていないのだが、ギターソロ・ベースソロも含まれておりコンパクトにMR.BIGのライブの凄さが分かる1枚である。
こんな方におススメ
・ドリル奏法をライブでどうやっているか聴きたい方
・エリック・マーティンのシャウトを聴きたい方
・楽器の魅力を高次元で発揮している楽器隊のライブを聴きたい方
その3.ASIAN KUNG-FU GENERATION ザ・レコーディング at NHK CR-509 Studio
打って変わってアジカンのスタジオライブアルバム。
スタジオライブはお客さんがいないor少ないことと、基本的に一発録りとなっていることが多いので、ライブと同じ臨場感をスタジオサウンドで楽しむことができる。
特に4曲目の「リライト」は中間部分でソロの掛け合いとなるようにアレンジがされており、見せ場が作られているのが特徴だ。
また、1曲目の「遥か彼方」の勢いがすごいのだ。
同じ曲だが少しずつアップグレードしている印象を受けるので、今までのCD音源にはない新鮮さが魅力だろう。
こんな方におススメ
・スタジオライブを聴いてみたい方
・楽曲の経年変化した形を聴いてみたい方
・ライブ盤だけど、いい音のライブを聴きたい方
その4.VAN HALEN Live:Right Here, Right Now
その長いキャリアの中で、 Van Halenのライブアルバムはこれ1枚である。
エディ・ヴァン・ヘイレンはライトハンド奏法を世に広めたが、ライブでの音源は貴重だろう。
幸か不幸かヴォーカルがサミー・ヘイガーだが最高峰のヴォーカリストであり、ギターはご存じエディ・ヴァン・ヘイレン。
ベースのマイケル・アンソニーはボトムラインと共に超高音のコーラスをかまし、アレックス・ヴァン・ヘイレンのドラムは独自のモタり感とサウンドが相まってへヴィなものとなっている。
つまり、ヴァン・ヘイレンらしさが出ている最高のライブアルバムなのである。
やはり選曲もベストなものとなっており、これ以上を求めてはいけないのではないかと思う位だ。
こんな方におススメ
・Van Halenのライブを聴きたい方。
・サミーへイガー在籍時のVan Halenが好きな方
その5.Cymbals requests!
Cymbalsといえば、土岐麻子が在籍したバンドである。
そのサウンドはポップス・ジャズ・ロックを融合したオシャレなものである。
しかし、このバンドこの後に解散してしまっている。
最初で最後のライブアルバムなのである。
ベスト盤もあるのだが、こちらもベストな選曲になっているのは言うまでもない。
こんな方におススメ
・土岐麻子のヴォーカルをもっと聴きたい方。
・オシャレなライブアルバムを聴きたい方。
・最初で最後のライブアルバムに惹かれた方。
その6.SLAYER Decade Of Aggression
スラッシュメタルの4羽鴉であるスレイヤーのライブアルバム。
こんなライブを30年以上(当時で約10年)やってきたタフな野郎達のアルバムだ。
楽曲1曲1曲が洗練されているため、イントロが始まると武者震いがするくらいカッコいいのである。
例えば、「South of Heaven」や「Raining Blood」のイントロが始まった時のゾクゾク感や、ラストの発表当時世界最速と言われた「Chemical Warfare」の始まりがこの世のものとは思えない位邪悪だったりともう後は身をゆだねるしかなくなるのである。
それにしても、スラッシュメタルというエクストリームミュージックをすごい(速い)テンポで合わせられるなと感心する。
途中に店舗チェンジがあるが、全然ズレないのである。
そして、ジャケットは今は亡きジェフ・ハネマン。
ご冥福をお祈りします。
こんな方におススメ
・ スラッシュメタルでゾクゾクしたい方
・本物のメタルを聴きたい方
その7.TOTO Absolutely Live
TOTOはスタジオミュージシャンの集まったバンドだ。
だから、そのライブの完成度が低いわけがない。
Jeff Porcaroを亡くした後のライブで、ドラムは後に加入するSimon Phillips。まだバンドに馴染む前なのである。
また、普段は専任のヴォーカルがいるのだが、サポートヴォーカルだけでルークがメイン歌っている。
ガタガタになってもおかしくないのに、ならない!
普段聴けない女性が歌う「Hold The Line」があったり、いつも通り好き勝手やっている「Rosanna」などいつも通りのTOTOに飽きた方には非常に良いだろう。
こんな方におススメ
・スタジオミュージシャンの本領発揮している音を聴いてみたい方
・整った普段のTOTOじゃないTOTOを聴きたい方
・女性が歌うTOTOを聴きたい方
その8.Whitesnake Live: In the Shadow of the Blues
ハードロック界のKABA.ちゃんこと、デイヴィッド・カヴァデールのバンドであるWhitesnakeの2006年のアルバム。
正直、Whitesnakeが全盛だったのは1980年代であり、今じゃない感があるかと思いきや、メンバーがどんどん変わっているので全然問題なし。
むしろ、ダグ・アルドリッチ、レブ・ビーチという豪華なツインギター構成のため、全体の完成度が高い。
そして、トミー・アルドリッジの素手で叩くドラムソロまで収録されている。
全体に脂がのって旬なギタリスト2人のおかげで最高なハードロックサウンドとなっているのである。
こんな方におススメ
・旬なギタリスト2人による、ツインギターの魅力に触れてみたい方
・王道のハードロックのライブを知らない方
その9.King's X Live All Over the Place
King's Xの2004年発表のライブアルバム。
musician's musician(ミュージシャンの為のミュージシャン)であるが故、この手のオルタナティブロックが聴けない人もいるかもしれない。
その技術は洗練されていて、息ピッタリ。3ピースバンドであるにもかかわらず、音の薄さが感じないようなアレンジが施されており、常にへヴィなのだ。
また、コーラスも全員参加。普通にやれることは全部やっているのだ。
このバンドの最大の魅力はヴォーカル/ベースのダグ・ピニックのヴォーカルだ。
1950年生まれなので、54歳にして野太い声をきかせている。
最近はジョージ・リンチとレイ・ルジアーと共にKXMというバンドをやっているので、要チェックだ。
こんな方におススメ
・本物のライブバンドによるライブ盤を聴きたい方
・こんな54歳ってアリ?というダグ・ピニックのヴォーカルが気になった方
その10.Ozzy Osbourne Live & Loud
オジー・オズボーンが引退を発表して最後のライブアルバム。(後に復活し、活動を再会している)
ギターがザック・ワイルド、ベースがマイク・アイネス、ドラムがランディ・カスティロなのだが、個人的にオジーのバックメンバーの中では最高のメンバーだと思う。
当時最新アルバムの「NO MORE TEARS」の楽曲を中心にブラック・サバス時代から全ての楽曲の中で、名曲のオンパレード。
やっぱりオジーは旬な時期であったが、ザック・ワイルド(当時30歳くらい?)はまだまだこれからだった。
オジーのキャリアの集大成としようとしたライブなのだからハズレなしだ。
こんな方におススメ
・ラストライブの最高のクオリティを聴いてみたい方
・オジー・オズボーン最強の布陣を目の当たりにしたい方
その11.Metallica S&M
メタリカが1999年に発表したライブアルバム。サンフランシスコ交響楽団とコラボした作品。
過去にも交響楽団とコラボしたCDはあるが、ちょっとコンセプトが違う。
あくまで、メタリカとその楽曲を中心としてオーケストラアレンジをしている。つまり、メタリカはいつも通りなのである。
やはりメタリカのライブなので、テンポが速い曲ほどテンポが上がる。
それにくっついていくオーケストラ。
新しいメタルとクラシックの競演なのだ。
こんな方におススメ
・攻撃的メタルを加速させるオーケストラアレンジを聴きたい方
・新しいメタルとクラシックの競演って何ぞや?と思った方。
その12.Red Hot Chili Peppers Live in Hyde Park
レッチリのライブ盤。2004年発表で収録も2004年なので、ジョン・フルシアンテ時代のものだ。
アルバム「By The Way」発表後、新曲入りのベスト盤を出した後のライブであるため、選曲的には「By The Way」が若干多いか。
レッチリはライブの始まりをジャムセッションから始めちゃうのだが、これがカッコいい。
その他の曲の終わりでもジャムセッションしちゃうんだから、曲が終わらない。
この時アンソニーは何してるんだろうと想像してみるのも悪くない。
何より、1曲目から2曲目の「Intro~Can't Stop」の流れは鳥肌モノ。
Introに本来のCan't Stopのイントロも含まれているのだが、この16分音符で徐々に盛り上がってくるところからリフが始まるこの流れが、ザキヤマ的「来る~」ではなく、本当に「キタ―!!!!!」となるのだ。
他にも楽曲全体的に、ライブのおかげかCDよりも元気のあるサウンド・ノリとなっている。
こんな方におススメ
・ジャムセッションって何?って方
・ライブの始まりで鳥肌が立ち、「キタ―!!!!!」という爽快感を味わいたい方
・原曲よりも生き生きとしたライブ音源を聴きたい方
最後に
今回はロックの名盤とされているライブ盤(Deep Purpleの『Live In Japan』とか)は登場しない。
上記以外にもたくさんのライブ盤があるので、1曲1曲を聴くもよし、曲の流れを聴くのも良し。
あえて、映像なしでライブの雰囲気を存分に味わっていただきたい。
●愚痴
それにしても書くのに時間がかかった。
5枚くらいにする予定が倍以上になった。
でも、書きたくなるくらいの内容だもの。
だって、人間だもの(誤用)
こちらからは以上です。

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