2017/02/04 歌詞に関する記載を修正
昨年からどうもゲスの極み乙女。が耳につく(目につく)
そして、その音楽はキャッチーで斬新さがある。
一つ一つはが真新しいわけではない。
音楽バカでシステム屋の自分が分析してみようと思う。
題材はTX系ドラマ『アラサーちゃん 無修正』オープニングテーマの「猟奇的なキスを私にして」
セリフのような歌詞
まずはこの曲のAメロをお聞きいただきたい。
歌詞はこんな具合だ。
猟奇的なキスを私にして - ゲスの極み乙女。 - 歌詞 : 歌ネット
音程は一定であるが、言葉を詰め込んでいる状態。
一切韻は踏んでいないのでラップとはまた異なる。
あえて言うと、リズムに乗ったセリフ。
メロディに乗っていないからミュージカルのようにならない。
また、歌詞の世界観として「完全にぶっ壊れている」or「女目線」or「女々しい男目線」という路線を持っている。
今回の曲は女目線だろう。
それにしても川谷絵音の歌詞は独特である。
サビのキャッチーさ
これは分かりやすい。何より一発聴いたら頭から離れない。
メロディーのキャッチーさはピカイチである。
合わせてこのサビの歌詞「猟奇的なキスを私にして」というところがあまりにも非日常すぎて印象に残る。
川谷が作詞作曲をしているが、川谷はオリコンの1位~10位を聴く感じでJ-POPを聴いており、それからゆらゆら帝国とRadioheadに出会ったと語っている。
直接的な何かの影響を感じるわけではないが、オリコンのトップ10を聴いていたというところで、様々なジャンルのエッセンスが入った旬な10曲を聴いていたわけだから、キャッチーな曲が体に染みついているのではないか。
ファンクなノリ
この曲ばかりではないが、全体的なノリがファンキーなのである。
例えば、イントロの後半なんかはどうだろうか。
ドラムがハイハットでクローズ・オープンを繰り返して裏打ちすることで、リズムがファンクやディスコのようなノリになる。
それに合わせてルートのオクターブを中心としたベースラインがのる。
他の曲でも裏打ちや16ビートを基本としたリズムが多い。
これはドラムのほな・いこかがSUPER BUTTER DOGに影響を受けており、ファンクが好きなのがあるのだろう。
自分の様なゴリゴリのロックドラマーでは出せないファンクのリズム感。
そこに休日課長のベース。このベースの安定感がたまらない。ちょっと歪んだ濃いめのサウンドは今風である。
リズム隊あってのこのバンドのノリが出る。
サウンドの不思議さ
このバンドはギターバンドでもないし、ピアノバンドでもない。
大体バンドにどちらかがいれば、どちらかの方が前に出てくるのだが、そんな感じがしないのである。
ピアノといっても、シンセサウンドやオルガンも使う。
ギターだってクリーンから思いっきり歪んだサウンドまで使う。
イントロの前半~AメロはちゃんMARIがずっと飛び道具的なリフを弾いている。
実はこのリフなかなか印象的なのである。
あくまでも曲に寄り添ったアレンジ。
ギターが前に出てこないのは川谷自身がヴォーカルも兼任しているからではないだろうか。
ちゃんMARIのキーボードがこれだけ自由にしていられるのは、休日課長のベースがあるからベースラインを任せていられるからだろう。
それでも一番のメインは歌である。
その素敵な歌は絶対に邪魔してはいけないという掟は守っている。
音楽のぶっ壊し方
今回の曲ではやってくれていないが、何でそうなるの?というアレンジを入れてくることがある。
例えば、キラーボールでは曲の真ん中で突然ちゃんMARIがショパンの「幻想即興曲」を弾き出す。
まったく脈絡のないところにクラシックのピアノ曲をブっ込んでくるのだ。
他にも壊れている系の曲はある。
アルバム「魅力がすごいよ」収録の「列車クラシックさん」だ。
ガッタンゴットン言っている裏にギターのノイズとピアノのフレーズが切り貼りされている。
その中からピアノだけが残り、ラヴェルの「水の戯れ」へと曲が変化していく。
もう意味不明すぎて、完全に壊れている。
普通に考えてはダメなのだ。
最後に
ここまで特徴を書いてきて分かったと思うが、セリフや音楽をぶっ壊すといった個性的な面とキャッチーなメロディやファンキーなリズムの親しみやすさを兼ね備えたハイブリッドバンドであるということだ。
今回紹介した曲以外にも同じような要素で曲が構成されている。
この魅力を知りたい方は、シングルも良いが是非ともアルバムを聴いてその世界観に触れてほしい。
こちらからは以上です。
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