先日、 ミスチルに関するちょっと気になる記事があった。
山県亮太のケガの時に支えられた曲として、「PADDLE」をあげたというもの。
「PADDLE」をあげるあたり、非常に嬉しいし、確かにビハインド状態からの心の持ちようを示してくれる曲としては、非常に良いセレクトだとも思った。
それに対するヤフコメがさらに興味を引いた。
ミスチルのアルバムの2曲目は必ずと言って良いほど良い曲が多いね。
応援歌というかポジティブに持ってく詞。
「PADDLE」は本当良い曲。
「虎視眈々と準備をしてきた僕だからきっと上手くやれる。行こうぜ!」
山縣選手にとって最高の歌詞ですね。
応援してます!
アルバムの2曲目に良い曲が多いという意見に引っかかった。
自分の感覚的にも、ミスチルのアルバムの2曲目はいい曲が多い気がした。
しかし、これを裏付けるものはない。
そこで、オリジナルアルバムの2曲目を聴きなおしてみようと思い立った。
しかし、良い曲というのは難しい。
客観的に曲には売り方のパターンがいくつかあると思う
・シングル曲
・アルバム曲で、PVがある
・CMタイアップ曲
・ベスト盤に収録されている曲
・ライブ定番曲
シングルや、PVがある時、CMタイアップ曲はビジネス的に売ろうとしていることが分かる。
他にも、ライブ定番曲や、ベスト盤に収録されている曲は、人気があったり、ミスチルサイドとしても、聴いてもらいたいと考えていたり、反応が良いと思っている曲と考えている可能性がある。
こういう点はプラスの評価として考えて良いだろう。
他は、完全に主観である。
自分は、ミスチルは好きだが、全部の曲をまんべんなく同じレベルで好きなわけではない。
個人的な感想も含めて、検証してみたいと思う。
対象は、オリジナルアルバムで、LIVE盤やカップリング集は除くものとする。
- EVERYTHING/「Mr. Shining Moon」
- Kind of Love/「All by myself」
- Versus/「メインストリートに行こう」
- Atomic Heart/「Dance Dance Dance」
- 深海/「シーラカンス」
- BOLERO/「Everything (It's you) 」
- DISCOVERY/「光の射す方へ」
- Q/「その向こうへ行こう」
- IT'S A WONDERFUL WORLD/「蘇生」
- シフクノオト/「PADDLE」
- I ♥ U/「Monster」
- HOME/「Wake me up!」
- SUPERMARKET FANTASY/「HANABI」
- SENSE/「擬態」
- [(an imitation) blood orange]/「Marshmallow day」
- REFLECTION/「FIGHT CLUB」
- 重力と呼吸/「海にて、心は裸になりたがる」
- SOUNDTRACKS/「Brand new planet」
- 最後に
EVERYTHING/「Mr. Shining Moon」
1stアルバムの中で「Mr. Shining Moon」は軽快でちょっと大人な雰囲気を持った曲であり、ミスチル流シティポップの第一号といってもよい曲。
コード感はもちろん、イントロのオクターブを上手く重ねたギターのリードであったり、リズムが3連系でハネていたりするのが大きい。
歌詞の雰囲気は、恋の心躍る感じをよく表していて、デビュー当時の桜井さんの歌声と相まってとてもフレッシュである。
個人的には、ミスチルのアルバムの中でしっかりとポジションを持っている曲であると思う。
適度なキャッチーさがあったり、分かりやすい歌詞だったりするので、どこかのシーンでハマることはあり得るのかなと。
そういう点から、良曲であると思う。
Kind of Love/「All by myself」
全体的にポップで、聴きやすいサウンドと、当時のミスチルの青臭さがまだフレッシュに光っていたアルバムである『Kind of Love』。
その中で、「All by myself」は影がある雰囲気と、落ち着きながら細かい刻みがあるお陰で、とても大人な雰囲気に仕上がっている。
歌詞の内容的には、ビハインドの状態からそれでも諦めない気持ちを持っているような内容になっている。
とはいっても、超名曲「終わりなき旅」のように超プラスに持っていくというよりは、ボコボコにやられても、目の奥の光は消えてないくらいの雰囲気なので、強い希望を感じるわけではない。
歌詞の内容的にも割と現実に近いのと、アルバム全体を引き締める役割があったりするのもあり、良曲であると言えると思う。
ちなみに、ガットギターによるギターソロはギタリストの小倉博和によるものらしい。
結構なテクニックを見せつけているギターソロだが、残念ながらミスチルのメンバーのものではない。
Versus/「メインストリートに行こう」
前作『Kind of Love』のポップさは引きずりつつ、もう少しアルバム全体の雰囲気をダークに大人に仕上げたのが『Versus』である。
まだ桜井さんの歌詞も青臭さは引きずりつつ、でも3歳くらいは年齢を重ねたかな?と思うような視点にはなっている。*1
「メインストリートに行こう」はそんなアルバムの中でも、陰と陽でいうと完全に陽を担っている曲である。
ちょっとアップテンポな雰囲気に、ホーン隊を上手く取り入れたシティポップサウンドに仕上がっている。
歌詞の内容的には、仲間内には付き合っていると知られないようにしている関係のなか、ドライブがランデブーになり、きっと夜のデートなんだろうなと想像できる。
そして、このタイトルの「メインストリートに行こう」は仲間内にも関係をオープンにしようということなんじゃないかと思う。
楽曲の雰囲気も相まって、初期のライブでは盛り上げ曲であった様子。
分かりやすい歌詞と、明るい楽曲というのもあって、良曲だと思う。
Atomic Heart/「Dance Dance Dance」
前作3作から一気に殻を破り、全体に不思議な雰囲気と現在・過去・未来を行きかうような広い世界観をもった作品になっている。
累計300万枚以上を売り上げて、ミスチルを一躍トップアーティストに導いた作品でもある。
アルバムが全部で12トラックあり、2曲はSEであるため、実質10曲収録されている。
その中で意外とシングル曲としては、「CROSS ROAD」、「innocent world」の2曲しか収録されていない。
それでも300万枚以上の売り上げたので、「CROSS ROAD」、「innocent world」を目当てに購入した人が多かったということだろうか。
「Dance Dance Dance」は1トラック目の「Printing」がSEで、そのつながりで始まるため、実質1曲目という状態である。
シングル曲ではないにもかかわらず、『Mr.Children 1992-1995』等のベスト盤に収録されるレベルの曲であると言える。
アップテンポで、タイトル通り踊れるようなビートが気持ちよい。
歌詞の内容的には同時期に発売されたシングル「everybody goes
-秩序のない現代にドロップキック-」に似た、現代的な社会の中での歌になっている。
少し社会風刺もありつつ、未来へ飛び込むような感覚もある。
この曲は間違いなく良曲でしょう。
未だにライブでも演奏され、ギターのイントロが聴こえてくるだけで、テンションが上がる。
深海/「シーラカンス」
一躍有名アーティストに躍り出たミスチルが、NYレコーディングを経て作成したのが本作『深海』。
アルバム全体が1つの楽曲の様につながっており、交響曲『深海』と言っても過言ではないような、ポピュラーミュージックとしては珍しいアルバムである。
当時、桜井さんが精神的に疲弊していた時期なのもあり、全体に漂うダークな雰囲気を持っているが、その中でも書く楽曲のストーリーが色を出す名盤となっている。
このアルバムの2曲目は「シーラカンス」だが、1トラック目「Dive」がSEであり、そのつながりで2曲目に突入している『Atomic Heart』方式となっている。
歌詞としては、シーラカンス自体は古いもので原始的なものの象徴として扱われていて、古いものと新しいもの、原始的なものと現代的なものの対比しつつ、自らの心に問いかけるような内容になっている。
アレンジ的にもアコギ+ウィスパーボイスで始まるヴァースと、歪んだエレキによって展開するハードなコーラスを繰り返し、最後にはリズムがハネるという展開を持っていて、1曲の中の様変わりが激しい。
そこから、3曲目の「手紙」へと突き抜けていく。
アルバムの印象を決定づける曲であり、かなり作りこまれた曲であるのは確かである。
ミスチルのロックっぽい初期衝動が聴ける珍しい曲で、良曲と言えるのではないだろうか。
BOLERO/「Everything (It's you) 」
前作『深海』とは、対となって作られたといわれる『BOLERO』は、『深海』を引きずり、ダークな面が漂う中、「Tomorrow never knows」や「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜 」等、今まで収録され来なかったシングル曲の明るさの対比が独特なアルバムである。
2曲目は13thシングル「Everything (It's you)」である。
1トラック目の「prologue」は実質SEなので、1曲目にあたる。
君への愛を歌う、分かりやすいロックバラードに仕上がっている。
その愛は、君がより良い人生を歩めるのであれば、自分は踏み台にしてもよいし、捨ててもらっても構わないという、自己犠牲を含んでいる。
これに関して好き嫌いはあるだろうが、ただ愛してると歌うアメリカンロックというよりは、ちょっとマイナスな雰囲気も含むブリティッシュロックっぽさがある歌詞である。
この曲に関しては、日本テレビ系ドラマ『恋のバカンス』主題歌というタイアップもついており、シングル曲でもあるので良曲と言え、個人的には名曲だと思う。
Mr.Childrenのザ・バラードと言っても過言ではない。
DISCOVERY/「光の射す方へ」
活動休止期間を挟み、約2年ぶりにリリースされたアルバムである。
全体に重い曲・軽い曲、ロックな曲・ポップな曲、暗い曲・明るい曲が割とバランスよく散りばめられている。
ちょっと聴いただけだと、暗い曲に聴こえても、歌詞はマイナスからプラスに向かう方向性があったりと、聴けば聴くほど味がある曲が並んでいる。
このアルバムの2曲目は16thシングルである「光の射す方へ」である。
打ち込みのリズムや、SEが入っていたり、桜井のヴォーカルに強めのエフェクトがかかるブリッジがあったりと、多種多様な音が入っているアレンジがされている。
ロックのような重さもありつつ、へヴィになり過ぎず、デジタルにもなり過ぎず、とにかく中庸を狙ったサウンドである。
歌詞は現代社会で、上手くいかないマイナスから、光の射す方へ行くことでプラスに向いていく、ミスチルでは頻出スタイルの歌詞である。
これも良曲と言ってよいのではないだろうか。
シングル曲であり、ライブでもアレンジを変えてよく演奏されていた時期もあるので、ミスチルの中でも大事な立ち位置がある曲だとも言える。
Q/「その向こうへ行こう」
2000年9月に発売された本アルバムは、Mr.ChildrenがProToolsでのデジタルレコーディングをより本格的に使用した作品である。
4人でセッションしている時にも、ProToolsを回しておいたため、容量が足りなくなる等使い方を考える必要があったが、結果的にうまく使いこなしている。
サウンド的にも、音楽的アプローチとしても挑戦的で、変わったエフェクターを使用したり、楽曲のテンポをダーツで決定したり、酒に酔った状態で歌のレコーディングしたりと、各楽曲にアイディアが散りばめられている。
それもあってか、シングル曲以外は不思議な雰囲気を持っていたり、なかなか王道とは言い難い楽曲に仕上がっているのだが、それが逆に実験的で独特なものになっている。
2曲目の「その向こうへ行こう」はまさにこのアルバムらしい曲で、Aメロ・Bメロにたいして、サビが全く違う雰囲気を組み合わせたフランケンシュタイン状態である。
イントロのギターのモジュレーションも、ウネリがあり不思議な雰囲気を後押しする。
歌詞はまさに「その向こうへ行こう」をテーマに、色んなものを現状と理想とを対比して、取り扱うものが桜井節というオリジナリティあふれるものになっている。
実はこの曲、隠れた名曲なんじゃないかと思う。
アルバムの1曲でライブでもほとんど演奏されてきていない。
しかし、このアルバムの不思議な雰囲気とマッチして、増大させ、世界観を広げている。
歌詞もひねってあるので、これってこういう意味だったんだみたいな発見もあるので、聴いていてなかなか楽しい曲でもある。
また、「その向こうへ行こう」というテーマも割といろんなシーンで当てはまりやすいので、その人のシチュエーションにマッチしやすいのではないかと思う。
IT'S A WONDERFUL WORLD/「蘇生」
Mr.Children10周年のデビュー日に10枚目のアルバムを発売するという、知っているとちょっと感動するような演出が入った本アルバム。
全体的にメンバー4人のソリッドな音というよりは、ストリングスやホーン隊を織り交ぜ、シンセや打ち込みによってさらに世界観を広げることに成功している。
『IT'S A WONDERFUL WORLD』となっているが、割と個人の個別の感情を歌っているのだが、個人が集まって世界ができていると認識させられる作品である。
このアルバムの2曲目は「蘇生」だが、これも1トラック目「overture」がインストでつながりがある状態。
実際、ライブでも「overture」とセットで演奏されることが多い。
アップテンポにもかかわらず、とても軽やかな楽曲という印象を受けるが、それは打ち込みのバスドラの軽さと、ギターの刻みの軽さが醸し出している。
歌詞もマイナスからプラスへスタイルで、ひねくれた比喩もなく、ポジティブに受け止められる歌詞になっている。
なかなかの良曲だと思う。
ライブ定番曲であり、ベストアルバム収録曲でもある。
ライブでこの曲を聴いたら、メチャクチャ盛り上がるというよりは、内なる熱さを秘めつつ、バスドラの4つ打ちに身を委ねたくなる。
シフクノオト/「PADDLE」
佐藤可士和がアートワークを手掛けた本作は、Mr.Childrenの文字に1色ずつ色が割り当てられていて、おもちゃのような印象を受けるが、その中身は『深海』以来の内向的なダークさを持つ作品になっている。
シングル曲が4曲あり、アルバム全体の雰囲気やメッセージの背骨になりつつ、そのほかの曲もシングル曲に負けない存在感と立ち位置を持っている。
特に最後の「タガタメ」から「HERO」の流れは、本作のハイライトである。
このアルバムの2曲目は「PADDLE」であり、カップヌードルのCMのタイアップ曲でもある。
アップテンポながら、イントロのコードがマイナーで始まるので少々欝々とした雰囲気を持って、サビに向けてポジティブになっていく歌詞が印象的である。
何より、この記事を書くきっかけになった曲でもある。
この曲は良曲を通り越して、名曲であると思う。
上手くいかない時も、向上心を持って準備をしておく。
スポーツ選手でなくても、来る日に備える心持は、大事だよなと改めて教えてくれる曲である。
I ♥ U/「Monster」
売上枚数だけで言えば、前作『シフクノオト』と『HOME』には及ばないが、100万枚の大台は超えている。
四家卯大ストリングスがストリングスを支えていたり、ホーン隊もいるのだが、割と小林武史のアレンジが効いていて、ポップに仕上がっていて、聴きやすい作品である。
「Worlds end」や「未来」のように分かりやすくアップテンポな曲も良いが、「僕らの音」、「CANDY」、「Sign」のような、こちらも分かりやすい落ち着いた曲も良かったりする。
このアルバムの2曲目は「Monster」。
その名の通り、自分の中の他人に受け入れられないであろう部分=怪物をテーマにしている。
珍しくイントロがベースのフレーズから始まり、全体的にはコードの変化が少ないロックスタイルの仕上がりになっている。
歌声もエフェクトをかけたり、すこしクニャクニャしながら、時に強めにガナってみたりと、どんどん変化していく。
この曲も良曲といってもよいのではないだろうか。
Mr.Chilの中では、あまりないロックスタイルの曲であり、歌詞も工夫されていて、とても面白い曲である。
ライブでは、本作のツアー以外に2009年の「Mr.Children DOME TOUR 2009 SUPERMARKET FANTASY IN TOKYO DOME」や大分間が開いて2018年、2019年にも披露されている。
この曲の独特の魅力が、ミスチルの中でライブに必要だと言う判断がされているというのも、後押しになる。
HOME/「Wake me up!」
日常をテーマとしており、それがそのままアルバムタイトルに現れた『HOME』。
ありふれたタイトルかもしれないが、それをその時のミスチル流で料理すると、いいものにしてしまうのだから、さすがである。
全体はとてもポップな曲が多いが、振り幅として時にジャジーに、時にダークに、時にすっとぼけてみたりもする。
全体には爽やかさがあるので、その振り幅も許容できないほどではない。
このアルバムの1曲目の「叫び 祈り」は歌こそ入っているが、叫び声だけであり、実質インストである。
そこで、2曲目に「Wake me up!」が流れてくる。
タイトルの通り、目を覚ますように促す歌ではあるが、イントロからいきなり頭を叩くのではなく、少し暖機運転をしながらサビに向かって上がっていくようになっている。
自分が上手くいかないことなんて、関係なく日は上り、地球は回っている。だからこそ、新しい朝に目を覚まして、前を向いて進んでいくように促してくれる曲である。
この曲も良曲と言ってよいのではないだろうか。
メロディのキャッチーさと、分かりやすいメッセージ性は、聴く人のハードルも下がる。
SUPERMARKET FANTASY/「HANABI」
カップリング集『B-SIDE』を挟み、15枚目のアルバムとなった本作。
カラフルでとてもキラキラした印象(実際にラメも入っている)を持ったアルバムジャケットで、ワクワクさせてくれるような音楽が待っていそうな気さえする。
実際、楽曲はとてもポップで聴きやすく、捨て曲が全くない、恐ろしくクオリティの高い楽曲が並んでいる。
このアルバムの2曲目はみなさんご存じの「HANABI」である。
33rdシングルであり、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の主題歌だったのもあり、ミスチルの楽曲の中でストーリーミング再生が1億回を始めて記録した曲でもある。
その影響もあってか世代によっては、ミスチルの代表曲は?と問うと「HANABI」をあげることもあるくらいである。
この曲については、良曲を越えて、名曲といっても過言ではないだろう。
1度売れて、さらに代表曲と呼ばれてもおかしくない曲を、時間を開けてリリースできるミュージシャンとしての底力に脱帽する。
SENSE/「擬態」
ミスチルのメンバー4人+小林武史の5名がコアとなり、内向的に少し冷静さを持った作品である。
シングル曲は「fanfare」のみで、タイアップソングとして「365日」があったくらいで、12曲中11曲がアルバム曲という、ミスチスルにしては珍しい曲構成である。
しかし、そこはさすが、アルバムの1曲だからクオリティが低いなんて思ってはいけない。
お得意のマイナスからプラスへパターンの歌詞が散りばめられている
このアルバムの2曲目は「擬態」であり、アルバムの1曲でありながら、ベストアルバムに収録されるほどの曲である。
アルバムのリード曲として、先行してオンエアされていたのもあってか、このアルバムのイメージを印象付ける1曲である。
色んなマイナスをイメージしてみて、それは本当にマイナス何だろうか?実はうまく隠されていたり、もっと良い価値が埋もれているんじゃないか?というメッセージが入っており、凹んだ気持ちを救ってくれるような曲でもある。
この曲は名曲といってもいいレベルだと思う。
名だたる曲の中からベストアルバムに入るくらいなのと、アルバムのリード曲であるというのは大きい。
曲のメッセージの視点であったり、プラスへの持って行き方も、急激でないところがまたよいところである。
[(an imitation) blood orange]/「Marshmallow day」
記念すべき20周年を飾るアルバムでありながら、東日本大震災を経て制作された作品でもある。
11曲中、タイアップやシングルとして発表されていないのは3曲のみという、全く発表されている作品がなかった前作『SENSE』と比べると、全体像からそれほどズレが生じなかった作品とも言える。
全体にストリングスを使用して、壮大で優雅な雰囲気を持つが、バンドとしてのソリッドさに欠ける曲ばかりなので、全体的に印象がボケてしまって、あまり良い評価を得られていない作品でもある。
このアルバムの2曲目は「Marshmallow day」は、CMタイアップ曲でもあるので、聴いたことがある人もそこそこいるだろう。
ストリングスの入った軽快さと、ホーン隊、ピアノが中心となったとてもポップな仕上がりで、テンポの速さも相まって、疾走感だけではない華やかさを持った曲である。
歌詞も恋愛の甘さとチューインガムやマシュマロというお菓子の甘さ上手く絡めながら、ワクワクする気持ちを歌っているのは、分かりやすく、日常のシーンにも合いそうな内容である。
この曲も良曲と言っていいのではないだろうか。
CMタイアップ曲で、分かりやすさもある。
この曲でギターをもっと押し出すと「優しい歌」のような雰囲気になるんだろうなと勝手に思っている。
REFLECTION/「FIGHT CLUB」
ミスチル5人目の男、プロデューサー小林武史の完全プロデュースから解き放たれ、セルフプロデュースの割合が圧倒的に増えた作品である。
脱小林武史の流れができた作品なのもあってか、前作に比べてずっとギターの存在感が増しており、一つ一つのパワフルさが増している。
『{Naked}』『{Drip}』の2形態での発売ということも珍しい点である。
このアルバムの2曲目は「FIGHT CLUB」である。
映画「ファイトクラブ」を持ち出しながら、過去を振り返って、何かと戦っていた自分を回想する曲である。
テンポが早く、疾走感がありながら、イントロのギターのリフや、ブリッジのベースのリフがあり、ロック感も打ち出すことにも成功している。
また、短くはあるが珍しくギターソロがある。
この曲は良曲と言ってよいのではないだろうか。
過去自分が戦っていたこととも重ねやすく、楽曲としてもフックがある。
実はアレンジが凝っていて、何度も聴いていくと発見があって、楽しい曲でもある。
重力と呼吸/「海にて、心は裸になりたがる」
完全セルフプロデュースとなった、本作。
キーボードやピアノは、世武裕子、森俊之、SUNNYが担当しており、小林武史の影は無い。
ライブをイメージして制作されたこともあってか、メンバー4人のソリッドなサウンドが目立つ。
それもあってか、ミスチルロックに仕上がった作品になっている
このアルバムの2曲目は「海にて、心は裸になりたがる」である。
アルバムオープニングを飾る「Your Song」が希望を歌い叫ぶ、エネルギーが内から外に向いている曲であるのに対して、「海にて、心は裸になりたがる」はより俯瞰した目線で描かれている。
だからこそ、目の前のことにばかり焦点を当てず、全体を見通してみると、大事なことが見えてくる。
そういうポジティブなメッセージが含まれている。
サウンド的にも、テンポが早く、ソリッドなギターとベースが8分音符を刻み、ドラムがそのビートを後押している。
この曲は良曲と言ってよいのではないか。
アルバム全体が良いのもあるのだが、その中でも個性が出ていて、珍しいビートロックである。
メッセージとしても、お得意のマイナスからプラスへパターンで、ポジティブなものになっている。
SOUNDTRACKS/「Brand new planet」
本作は、メンバーが50代に突入して、その変化のせいか、全体的に落ち着いたアルバムである。
もちろん、今までのどのアルバムとも違う位置にあるアルバムであるが、ライブで聴いて盛り上がることや、楽しめるイメージはあまり湧かず、その楽曲の深くまで耳を澄ます方がより楽しめる。
ストリングスが全体的に上手く使われており、説得力と広がりを持たせっている点と、割と明確に打ち込みが使われているのが、特徴的である。
2曲目はドラマ『姉ちゃんの恋人』主題歌としてタイアップしている「Brand new planet」である。
この曲の印象を握っているのは、ドラムのビートである。
1番のサビでは、ハーフテンポで刻みが始まる為、とてもゆったりした印象を受ける。
しかし、2番のAメロに入ると、本来のテンポで4つ打ちが始まり、もともとのテンポがハーフテンポだと気づく。
その勢いで、2番のサビに突入するが、今度は16ビートとなって、より細かいパターンを打ち出して、スピード感を出す。
ギターソロに入って、またハーフテンポに戻り、最後のサビ前で一度ストップする。
最後のサビの後半でバスドラの4つ打ちを打ち出し、転調後の大サビで16ビートを打ち出す。
これだけこまめにリズムパターンを変えて、展開を生んでいる。
あとは、ラストのアウトロでギターが同じフレーズの繰り返しが残るのは、ロンドンで録音したというのもあり、The Beatles 「A Hard Day's Night」へのオマージュなんじゃないかと思う。
歌詞のテーマ的には、挑戦をしたいと思っている人の背中をそっと押してくれる歌詞で、しかもその押し方が割とソフト。
楽曲の壮大さに比較して、歌詞はそれほど強くないというのが、面白いところ。
この曲も良曲と言ってよいのではないだろうか。
分かりやすくキャッチーなサビと、背中を押してくれる歌詞が、ポジティブでありながら、それを強く押し出さないことで、気持ちの良い日向ぼっこの様な感覚を心に届けてくれる。
アレンジ的にも展開や細かい聴きどころがあるので、飽きがこない。
アルバム全体のなかでも、屈指の良曲であると思う。
最後に
概ね名曲/良曲で、Mr.Childrenのアルバム2曲目は良曲説としては、間違いではないのではないかという結論に至った。
それよりも、そもそもミスチルの楽曲に良曲が多いということかもしれないなとも思うわけである。
ミスチルの楽曲には、頑張ろうとするときに背中を押してくれるようなものが多々あるので、ご自身に合う楽曲を見つけてみるのもよいと思う。
こちらからは、以上です。
こんな記事も書いています
*1:『Everything』が1992年5月10日で、本作が1993年9月1日発売なので、実質1年くらいしか経過していない。