1. Dear Diary,
2. Parasite Eve
3. Teardrops
4. Obey With YUNGBLUD
5. Itch For The Cure (When Will We Be Free?)
6. Kingslayer Ft. BABYMETAL
7. 1x1 Ft. Nova Twins
8. Ludens
9. One Day The Only Butterflies Left Will Be In Your Chest As You March Towards Your Death Ft. Amy Lee
オススメ曲→1,2,3,4,6,7,8
Bring Me The Horizon(以下、BMTH)のEP『Post Human: Survival Horror』を聴いたのでレビューする。前作『amo』が2019年下半期に聴いたアルバムの1枚で、2019年の最高の作品という評価だった。そのため、期待して聴いたのだが、期待を裏切らない作品だった。全体的には『amo』と比べてサウンドがソリッドで、よりロック色が強い印象を受けた。さらに変化として、元々女性の声を上手くアレンジに取り込んできたが、今回はコラボレーションをすることで、広がりを持たせている。
どんな期待をしていたかというと、前作同様の「ロック色の強さとシンセやバンドメンバーだけでは表現できない部分での組み合わせによる広がり」と「メロディやリフのキャッチーさ」、「ヴォーカルOliver "Oli" Sykesの煽るような歌い方」というポイントがあった。これをほぼ網羅してくれた作品だったので、満足だった。
今回のコラボをしているアーティストは、4組。
YUNGBLUD
YUNGBLUDはイングランド出身のシンガーソングライター。現時点でアルバムを2018年に1枚、2020年12月にニューアルバムを発表予定というくらいのキャリアである。しかし、幅広い音楽性とジェンダーレスなヴィジュアルも相まって新たな魅力を発信しているアーティストである。
「Obey With YUNGBLUD」は他のアーティストとのコラボと異なり、Feturingではなく、Withという扱いになっている。 というものも、他のコラボと大きな違いはない様子。全体的にBMTHのスタイルにYUNGBLUDが乗っている形になっていて、YUNGBLUDらしさの要素はかなり少な目。それが故に、BMTHが好きなら普通に聴きやすい。
楽曲自体はヘヴィでアシッドな音色のシンセを上手く使ってサウンドの特徴を出しつつ、バンドサウンドを上手く融合させ、ガナるヴォーカルによってヘヴィな中にエッジを出していくBMTHお得意のスタイル。OliverのヴォーカルとYUNGBLUDが交互にヴァースを担当するスタイルで、割と分かりやすく歌声が変わっている。似た歌声であるのだが、良いコラボになっていると思う。気になるは、PVの出来なのだが、これは見なかったことにする。
BABYMETAL
BABYMETALは言わずと知れた、アイドル×メタルという掛け合わせにより、世界中でファンを獲得する日本のアーティスト。サウンド的にはBMTHのメタル感よりは、よりソリッドで刻みの多いスラッシュメタルスタイルや、バックバンドのメンバーによるデス声、Su-Metalの歌声とそれなりに差別化がしやすいポイントを持っている。
この曲のコラボも1コーラス目がBMTHベースのアレンジとなっており、コーラスでSu-Metalの歌が入ってきてやっとコラボ感が出る。2コーラス目からはBABYMETALのターン。Su-Metalがヴォーカルを取るので、分かりやすい。さらに変わったなと思うのはリズムで、特にドラムだ。BMTHはあまりツーバスでの連打を使わないし、フィルインでバスドラを絡めるようなスタイルではない。それに対して、2コーラス目のドラムはツーバスの連打もバスドラを絡めるフィルインも使用している。
全体的を通してBMTHとBABYMETALのサウンドをつないでいるのは、アシッドなシンセである。歪んだギターのような太さを持ちつつ、バンド対バンドの個性を生かしながら、1曲にするためにはとても大きな役割を持っている。Oliverのガナる歌い方に対して、Su-Metalのヴォコーダーをかけたようなクリーンでケロケロした歌声もいい意味で対比になっていて、面白い楽曲である。
Nova Twins
ギター&ヴォーカルのAmy Loveと、ベースのGeorgia Southの2人組ロックデュオ。バンドサウンドによるロックをベースとしながら、シンセとの融合による荒々しさとヘヴィさを持ったサウンドを得意としている。歌に関しても、BMTHのようにいつも歌うわけではなく、少しラップ調になって音程というよりはリズムで聴かせるパターンも持ち合わせている。少し似ている要素もあるが、BMTHのエモっぽい要素はあまりないのと、メタルスタイルの細かい刻みは持っていなく、どちらかというとパンキッシュなスタイルが中心なので、似ているかどうかでいうと、似ていないだろう。イングランド出身なのが共通点。
この曲は、結構メロディアスな楽曲だと思う。へヴィにせずに、ピアノ1本で弾き語りをしても十分に映える美しい楽曲だ。よりダイナミックに、よりドラマチックに仕上げるためのアレンジである。これも分かりやすく1コーラス目がBMTHのターン、2コーラス目がNova Twinsのターンとなっている。2コーラス目のAmyの歌声が聴こえてきたとき、意外とこの楽曲に歌声がマッチしていると感じた。
ただ、全体を通して、BMTH色が強くて、Nova Twinsの色が物理的に少ないと感じた。コラボというには、今回は一番コラボアーティストの色が少ない楽曲だったのは否めない。
Amy Lee
アメリカのロックバンド、Evanescenceのヴォーカリスト。コラボしたきっかけが前作『amo』収録の「Nihilist Blues Feat. GRIMES」がEvanescenceの曲と似ていると訴えられたことがきっかけ。AmyがBMTHのファンだということで、オファーに至った。
この曲は、思い切ったなという感想が一番だ。 今回のEPの中で一番静かでスローな楽曲をAmy Leeと組むこと自体は、最適解だと思う。Amyのクラシックのような正統派の歌声にたいして、Oliverの感情を込めたハードな歌声が絡むとき、それは最高のコーラスになる。Oliverはエッジヴォイスを持っているので、そのスタイルでAmyとコラボすると気持ちよいサウンドが待っていると分かるはずだ。
思い切ったなと思ったのは、アレンジ。BMTHらしさというよりは、今回のEPの中で異質で、むしろEvanescenceの雰囲気を纏っている。ぶっちりぎのテンションや、静と動の対比もなく、最後に盛り上がるかと思うと、盛り上がらずぶち切られて終り。こんなアレンジの楽曲を最後に持ってくるのは、かなりの英断だと思う。
コラボをしていない、BMTHの楽曲は実質4曲(「Itch For The Cure (When Will We Be Free?)」がほぼ歌がなくインスト曲)ある。前作よりもよりロック感を押し出している。例えば、1曲目「Dear Diary,」はBMTHが初期はメタルコアやデスコアのバンドだったことを思い出させてくれる。テンポの速さ、テンションの高いヴォーカル、近年のBMTHにしてはかなりハードに仕上がっている。
全体を通して、女性の声を上手く使った作品であると言える。もちろん、コラボの3組の女性ヴォーカルも含むが、2曲目の「Parasite Eve」のコーラス前のブレイクで別な人の声を使っていくのはかなりフックがあった。以前から使用している手法で、自分の大好きな「That's the Spirit」や「Wonderful Life」でも使用されている。この辺の上手さはさすがであった。
こちらからは、以上です。
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