「自分で考えるとどんな9枚が出るかな」と1週間ほど頭の中に置いてあって、そろそろ吐き出してみようかと思って書いてみたい。
自分のiTunesには70,000曲を超える曲と6,500枚を超えるアルバム数が入っていて、そこから厳選したものということなので、まさに自分の音楽観を作り上げてくれた大黒柱の9枚だ。
1.BOLERO (1997)/ Mr.Children
Mr.Childrenは自分にとって重要なアーティスト。
ある時は心の支えになり、ある時は新しい視点を与えてくれ、ある時は叱咤激励してくれる。
それが故にミスチルに頼ることもある。
そんなミスチルの出会いとなった曲は「Everything(It's you)」であり、人生で初めて買ったCDが『BOLERO』だった。
なので、多分自分が今まで一番聴いたCDになっているはず。
『BOLERO』というアルバムはちょっと変わったアルバムでして。
このアルバムの為に作られたわけではない「【es】 〜Theme of es〜」、「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」、「everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-」、「Tomorrow never knows (remix) 」が含まれていて、当時のベスト盤状態。
その一方で、このアルバム(深海と同時期だけど)に向けて作られた楽曲が入っていて、「タイムマシーンに乗って」「傘の下の君に告ぐ」「ALIVE」「幸せのカテゴリー」なんかはミスチルらしい素敵なアルバムの1曲が収録されている。
このアルバムの後にミスチルは活動休止してしまって、その間に少ないお小遣いをやりくりして全部のアルバムを揃えた。
そして、次のアルバムとなる『DISCOVERY』までテレビにもほとんど出演してくれず、ミスチル熱が冷めなかったのが大きい。
自分の中ではミスチルは「活動休止前」、「活動休止後」、「小林武史が介入」、「小林武史と決別」の4期に分けられると思っていて、最近の「小林武史と決別」については出来上がってきた楽曲からすると、ちょっと残念に思っていて。
その辺はまた今度書こうと思っている。
いやー正直、『深海』と迷った。
『深海』は自分が2枚目に買ったCDで『BOLERO』と大差ないくらい聴いている。
でも、『深海』はアルバム1枚としての完成度としては本当に良くて、というよりも自分の「あるべき姿のアルバムのカタチ」の1つだったりする。
アルバム1枚がつながっていて、しっかりと物語になっていて。
ま、それでもやっぱり最初のCDは大きくて。
当時自分は小学校高学年だったけど、アルバム1枚を何度聴き返したか分からない。
最初に出会った時の心のトキメキだったり、早く家に帰って聴きたくてウキウキする気持ちだったり、自分の中に新しい音楽が入って来て新しい景色を見せてくれてちょっと大人になった気分を得られたり。
そういう音楽の原体験がこのアルバムにはあるんだよね。
2.SINGLE COLLECTION+4(1997) / FIELD OF VIEW
初めて買ったCDは『BOLERO』なのだけど、初めて借りた(レンタルした)CDはFIELD OF VIEWの『突然』というシングルでして。
この辺は別記事になっている。
これも音楽の原体験で「J-POPサウンド」と「歌のあるべき姿」として未だに自分の中で主軸になっている。
だから、ヌケてこないスネアのサウンドは大っ嫌いなんだけど。
じゃあ、なぜ『SINGLE COLLECTION+4』か?というと当時の事情があって。
当時小学校高学年の自分たちはお年玉でCDとテープとMDが付いたコンポを買うのが流行していて、自分もコンポを買った。
ここには落とし穴があって、ハードがあってもソフトがないと楽しくない。
しかし、お年玉はほとんどコンポに使ってしまっている。
そんな時に友達とCDを貸し借りして、MDやテープに録音して同じコミュニティ内で音楽を回していた。
そこにはアイドルのように担当制が出来上がっていた。
当時たまたまビーイングのベスト盤が多々売り出されており、ある友達はWANDSのシングルコレクションを買い、ある友達はDEENのシングルコレクションを買い、そしてある友達はB'zのCDを買い漁っていた。
ここで、自分の担当が自然に(必然的に?)FIELD OF VIEWになった。
友達もFIELD OF VIEWは「突然」をCMの中で聴いているため、知っているアーティストの一つ。
あいつはFIELD OF VIEWのCDを持っているヤツということになったのだ。
アルバム自体はシングル曲ばかりで、とにかくキャッチーな曲ばかり。
サウンドはシンセの煌びやかさとともに、ロックバンドのサウンドがしていて骨太。
朝にスカっと聴けるアルバムになっている。
本当に「この頃の時代の音楽は明るくてよかったな」と思ってしまうばかり。
3.BIG, BIGGER, BIGGEST! The Best Of MR.BIG(1996) / MR.BIG
MR.BIGのベスト盤『BIG, BIGGER, BIGGEST! The Best Of MR.BIG』は自分がハードロックに目覚めるきっかけを与えたCDである。
これを買ったきっかけは8コ離れた従姉がいまして、正月に会った時に「ミスチルが好きなんだ!カッコいいんだ!」という話をしたら、「ヨウガクはもっとカッコいいバンドがいっぱいあるから聴いてごらん」と言ってくれたのだった。
この頃自分は小学校6年生。
昨年コンポも買って、CDも数枚持っている。
「ヨ、ヨウガク…orz」
この従姉がなかなか曲者で後にLenny Kravitzが好きでドレッドにしたりするくらいの人で、いらなくなったとくれたテープの詰め合わせがえげつない物だった。
Lenny Kravitzはもちろん、Stray CatsにRainbow、Halloween、Deep Purpleというロックごちゃ混ぜのテープが数十本。
もちろん、全部聴いてカッコいいとは思ったんだけど。
そんなこんなもあって、ヨウガクとやらを自分で買ってみようと思って。
Mr.Childrenが好きだった自分は、CDショップに並んでるMR.BIGのアルバムが気になって。
分かりやすい所にあって、ちょっとだけ聞いたことがある名前だったのもあって、「とりあえずベスト盤だろう」と買ったのだった。
当時ミスチルのフルアルバムは3,000円したが、このアルバムは2,500円。
「ヨウガクって安いやん!」
そんな想いを抱えながら、親父の運転する初代オデッセイでこのCDをかけてみた。
1曲目は「Daddy,Brother,Lover,Little Boy(The Electric Drill Song)」だった。
エンジンをかける音から、疾走する音に変わって、ギターの音に変わっていく。
そこから始まるイントロ。
へヴィなサウンドとともにキレのあるリフが飛び込んできた。
Mr. Big - Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)
超カッコイイ!!!!!
ヴォーカルは何を歌っているかわかんないけど、声が高くてカッコイイし、何だか全部カッコイイ。
カッコイイ…カッコイイ…カッコイイ…カッコイイ…
衝撃を受けて、いつの間にか家に到着していたので自分の部屋に全速力で向かって、昨年の正月に買ったコンポで聴いた。
やっぱりカッコイイ!!!
こうしてMR.BIGの虜になって、ギター小僧が出来上がるのに時間はかからなかった。
ミスチルを聴いていた頃からギターは弾き始めていたが、本当に上手くなりたいと思ったのはMR.BIGのお陰。
だから未だにPaul Gilbertが自分のギターの神様。
このアルバムについてはベスト盤なだけあって、とにかくハイクオリティな音楽が続いていく。
MR.BIGはテクニックをちゃんと楽曲に生かしているから本当にスゴイ。
また、みんな歌えるバンドというのも大きい。
自分の思うバンドの姿がここにまた一つ出来上がった。
ロックのカッコよさはこのアルバムに教えてもらった。
4.The Ozzman Cometh(1997) / Ozzy Osbourne
このCDは自分が初めてへヴィメタルに手を出した1枚。
MR.BIGと同様にベスト盤といえばベスト盤なのだけど、普通のいい曲詰め合わせとはわけが違う。
ミスチルが大好きで、FIELD OF VIEW担当がMR.BIGに感銘を受けて、ギターを本気で弾きだして中学生になっていた自分が次にやったこと。
雑誌「BANDやろうぜ」(通称:バンやろ)を買うようになったのだ。
それによって、洋楽・邦楽入り乱れた機材やCDやアーティストの情報が入ってくるようになった。
定期的に読み直し、記事と関係ない楽器屋の広告まで頭に入っている状態だった。
そんな頭スポンジ状態の自分にある記事が目に留まった。
それは、Ozzyの日本武道館復活講演のLVEレポート&機材レポート。
特にギターのZakk Wyldeのサークルギターはとにかく印象的だった。
「どんな音楽なんだろう?」と気になったOzzy Osbourne。
ベスト盤は間違いないとMR.BIGで確信しており、曲数が多い(何なら2枚組)『The Ozzman Cometh』を選んだのは必然だったのかもしれない。
このアルバムのスゴイところは当時のOzzyの音楽キャリアをほぼ横断的に聴けるということ。
OzzyはBlack Sabbathで音楽活動を始めて、脱退しソロキャリアへ移行。
ソロキャリアでは3人のギタリスト(Randy Rhoads、Jake E. Lee、Zakk Wylde)を発掘していた。
Black Sabbathの音源はアウトテイクでオリジナルのものとはちょっと異なるが、ギターのTony IommiのサウンドやBlack Sabbathがやっていることは十分に伝わった。
Randy Rhoadsのギターは「Crazy Train」や「Mr.Crowley」等で聴かせてくれるクラシカルな音の並び、性格の良さが出ているサウンドと丁寧な1音1音がホントにカッコいい。
Jake E. Leeの楽曲は収録が少ないけど、その荒々しさとサウンドのキレは他のギタリストを未だに寄せ付けていないんじゃないだろうか。
そして、一番のへヴィさを誇るZakk Wylde。
ギターの巧さはもちろん、フレーズの細かさやピッキングハーモニクスを使用したフレーズは本当にカッコいい。
Zakkのソロは自分の人生で10本の指に入るギターソロである。
スゲーギタリストが4人分も入っているアルバムって凄くない?
へヴィメタルって結構聴きやすい音楽だと思ったのもある。
こうして、ロック小僧が出来上がり、もっとロックを!もっとメタルを!状態になっていくのは当然の帰結であった。
5.Diabolus in Musica(1998) / SLAYER
自分にとってSLAYERの出会いのアルバムであり、マジでハマったアルバム。
それは「Reign in Blood」や「South of Heaven」というへヴィメタルの歴史として重要な作品を作ってきたSLAYERだからこそ届いた境地の一つなんだろうと思っている。
雑誌「BANDやろうぜ」を読んだ結果、へヴィメタルに傾いていった中学生の自分。
学校に行けば吹奏楽部でクラシックをやりつつ、その一方で家に帰ればギター小僧でロック小僧。
音楽がサウナの後の水風呂みたいなスゴイ温度差の中で生きていたことに気付くのはもっと後。
このアルバムとの出会いはバンやろで記事。
カラーページでもない、白黒のほとんど文字だけで見開き1ページの記事。
よくそんな記事までちゃんと読んでたなと思うんだけど、目を皿にして本当に興味のあることが書いてある本ってそうやって読めるもんで。
確か、ギターのJeff HannemanかKerry Kingのどちらかがインタビュアーの「どうしてこのアルバム名(『Diabolus in Musica*1:邦題 悪魔の鎮魂歌』)にしたの?」と問われて、「使っているスケール(音階)が悪魔のスケールってヤツで、そこからとった。中世の教会音楽では禁止されていたスケールなんだよね。ま、今回初めて使い始めたわけじゃなくて、ずっと使ってたんだけさ」という趣旨の回答をしていた。
これは聴くしかない!とCDショップに駆け込み、ちょっとだけ試聴して買った。
1曲目の「Bitter Peace」からそれはそれはえげつない始まりでして。
何かが始まる…
始まるんだけど、終わりの始まりみたいな破滅へ向かっている感じ。
この曲1:34~テンポチェンジして死ぬほど速くなる。
おどろおどろしい大砲が出てきたと思ったら、その大砲からすごい数の弾がマシンガンのように繰り出される音楽。
これまで聴いてきたポップスやロックとは一線を画していて、完全にKOされた。
これを聴かないと生きてる心地がしなくて、友達の家にもこのCDを持っていってかけてもらうという完全に中二病状態だったのは自分の黒歴史。
このアルバムだけではないし、爆速テンポの曲はSLAYERの得意技の一つなんだけど、こんなに効果的に圧倒的なパワーを伝えられる音楽って中々ないのかなって。
メタルの中毒性とアドレナリンが出まくる感覚を知っているので、このアルバムは外せない。
そして、ライブ盤のカッコよさを知って、明らかに色合いが違うのにSLAYERのアルバムを入れてしまうのはこれが原因。
いい音楽の定義は難しいんだけど、完成度の高さがクオリティになるはずだけど、パワーを伝えるのってどうやってやるんだろう?と未だに考えることがあって、その答えの1つがこういう音楽なんじゃないかと思っている。
6.Now You See Inside(2000) / SR-71
パンクやメロコア、流行りの音楽に目を向けることの重要性を自分に認識させてくれた1枚が「Now You See Inside」というアルバムは、当時の流行りと自分の好きな音楽との溝を埋めてくれた。
ここまでJ-POPから海外のメタルに目が向いてしまっていた自分も中学も卒業する頃になっていた。
別に周りの友達がGLAYが好きでもL'Arc〜en〜Cielが好きでもどうでもよくて、自分はとにかく洋楽ばかり聴いていた。
そして、2000年頃の日本ではR&Bが流行っていて、ギターソロはもちろん歪んだギターすらほとんど聴けない状態。
そして、パンクやメロコアがロックのメインストリートに食い込んでくるようになっていて、Green DayやThe Offspringの名前や楽曲が聴こえてくることはあったけど、正直あんまり好きになれなかった。
MR.BIGのようなテクニカルさもないし、SLAYERのような圧倒的なパワーもないし、サウンドが軽いし、リフがカッコよくない。そんな風に感じていた。
中学生にもなると夜更かしを覚えて、深夜番組の面白さに気付くことになる。
自分の住む北の大地には当時「まる音DX」というローカル音楽番組があって、そこでは洋楽ロックを中心にアメリカの流行りものから名曲までPVやインタビューやライブ映像を流してくれた。
その中で気に入ったのがライブで映像で見たSR-71の「Right Now」だった。
この曲のイントロはとにかくカッコいいリフで始まって、サビはキャッチーなメロディ。
メロコア直系ではないけれど、パンクやメロコアの要素は持っていた。
その上で、ギターソロまである!
どうもそれまで聴いてきた音楽は暗さがあったのだけど、Happyさを前に出してくれた明るい音楽だった点も好きになった要素だったように思う。
このアルバムの最大の功績は音楽には鮮度があって、古い音楽ばかり聴いていてはダメだと気づかせてくれたこと。
今まで大好きだと言ってきたアーティスト達の音楽はリアルタイムで聴いたわけではなかった。
リアルタイムではない音楽はそのサウンドや評価は成熟したものになっていたけれど、音楽としては乾物だったり、漬物状態だから腐らなかったということ。
最新の音楽には生野菜のサラダのような新鮮さがあって、その分鮮度が落ちるのは早いんだけどその時・その時代音っていうのが重要で別物だと教えてくれたのだ。
SR-71のお陰でハードロックやメタルだけを聴くことは無くなった。
当時流行っていた音楽をたくさん吸収した。
「Right Now」のプロデュースをしたButch WalkerのバンドMarvelous 3やLIT、Eve6あたりはよく聴いた。
どんどんアメリカナイズされたロックばかり聴くようになっていった。
このバンドのお陰で自分の中で曲を作ることの敷居が下がった。
簡単な構成で分かりやすくいいメロディを吐き出すことができるようになったのは、自分にとって大きなことだった。
7.By The Way(2002) / Red Hot Chili Peppers
音楽は歌を歌うことや楽器でソロをとるだけがメインではないと教えてくれて、ファンキーなグルーヴのカッコよさを教えてくれたアルバム。
ロック一直線、ディストーションが効いたエレキギターが最高のサウンドだと思っていた高校生の自分。
それはパンクやメロコアを守備範囲に加えてからも変わらなかった。
しかし、ここでも現れるローカル音楽番組「まる音DX」の功績。
何年も見ていると何回か出てきたPVは記憶に残る。
レッチリもその例外ではなく、「Give It Away」のPVを見て何だか気持ち悪い人たちだなと思っていた。
こんなキンキラ金のテッカテカの人たちが、わけわかんない言葉を連発している映像なんて到底受け入れられるものではなかった。
そんな風に思っていたある日に発売されたレッチリの『By The Way』というアルバム。
瞬く間にチャートを駆け上がり1位になってみせる。
これは尋常じゃないと思って、手に取ってみたのが最後。
ドハマリする結果となった。
特にアルバムタイトルになっている「By The Way」は楽曲としてのバランスの良さと完成度の高さにKOした。
サビに歌が出てくるし、その他はラップ。
ラップ自体あまり好きではなく、中学生の頃に流行ったLimp BizkitやKornやLinkin Parkは好きだけどラップそのものはあまりいただけなかった。
そのラップと歌がいい具合にミックスされていて、本当にカッコいいと思えたのだ。
そして、カッティングを中心としたファンキーなギターはディストーションが効いたロックにはないもので、自分のギターの固定概念を拭い去ってくれた。
そこに最高のリズム隊であるFleaのベースとChad Smithのドラムに出会えたのは大きい。
もう一つ重要だったのが「Can't Stop」という曲をライブ映像で見たこと。
このライブのイントロの何か始まるぞ…感はスゴイゾクゾクする。
これから始まることが分かっているが故に、そこを焦らされている感じがして、高揚感だけどんどん上がっていく。
これはSLAYERが示してくれたことと凄く似ていて、適宜焦らすことは音楽として効果的なんだなと思った。
「By The Way」というアルバム自体は今聴いてもおもちゃ箱をひっくり返したような、いろんなガラクタが並んでいるんだけど、ガラクタのはずなのにとても個性的で光り輝いている。
後にほとんどがJohn Fruscianteが書いた曲がベースだと知るのだけど、Johnは天才なんだなと痛感せざるを得なかった。
テクニックや極端なサウンドに寄らない音楽で、感銘を受けたのは久々だった。
PVがゲテモノだったり、ライブパフォーマンスが凄いのはレッチリの魅力だけど、それよりなによりいい音楽をやってナンボ。
新しいロック観、新しいギター観という新しい価値観を自分に示してくれた。
8.One By One(2002) / Foo Fighters
オルタナティブ・ロック(Alternative Rock)の定義って未だにちょうどいい言葉が見つからない。
その要因は一人一人のロックが違うことだったり、認識が違うことだと思っている。
王道ロックではないものをオルタナと呼ぼうかと思ったけど、王道のオルタナとかわけわかんない言葉も成立してしまうので、ジャンルを言葉で表すのはやめたくなる。
Foo Fightersは高校生だった自分にオルタナティブ・ロックってこういうもんだよと示してくれた。
その出会いは『One By One』というアルバム。
1曲目の「All My Life」からDave Grohlのハイテンションなシャウトが聴ける。
Dave Grohlが口ひげを生やす前で若干お猿さん感がぬぐえないのが残念なんだけど、この熱さはロック特融のものじゃないだろうか。
今まで聴いてきた歪んだギターはドンシャリである程度整っていた。
しかし、Foo Foghtersのギターサウンドは倍音含みまくりの暴れまくりの凄く生々しいものだった。
このアルバムの収録曲で一番の衝撃を受けたのが「Lonley As You」
メロディは普通に聴こえるのに、後ろで鳴っているギターのコードが何だかおかしい。
それもそのはずで、音楽の理論的には長調と短調が行ったり来たりするモーダルインターチェンジを使っていて、とても複雑なハーモニーを醸し出している。
これを直感的にやっているんだったら、(良い意味で)本当に恐ろしい。
自分が普通と思っていたサウンドではないカッコよいサウンドを示し、ハーモニーを壊してもメロディを生かして音楽として構築することのカッコよさを示してくれたのだ。
Dave Grohlというと、元NirvanaのドラマーでKurt Cobainの才能に隠れていてあまり凄さを感じなかった人も多かったかもしれない。
個人的にはNirvanaとFoo Fightersは別物だと考えているけど、Kurt Cobainの影響を確実に受けているDave Grohlがいるのも確かだと思う。
当たり前のことを当たり前にやって、当たり前のいい音楽を生み出すことが悪いことじゃないが、オルタナティブ・ロックはそこに少しでも当たり前じゃないものを足したり引いたりしてできたちょっと普通じゃないロックなんだと思う。
これを教えてくれたのはFoo Fightersであり、 Dave Grohlだった。
こんな音楽に影響を受けたら、作る音楽がどんどん変わっていて、高校生の頃書いた曲はどんどん変な曲になっていった。
高校生の頃はまだ若かった。
どんどん新しい音楽を吸収して、新しいロック観を構築していった。
9.パレード(2006) / GO!GO!7188
今まで選んできたアルバムが自分が中学生になって以降、洋楽ばかりなことにお気づきだろうか。
やはり、影響を受ける音楽が洋楽ばかりだと邦楽をほとんど聴かなくなる。
これは必然だったと思っていて、自分にとって聴く価値がある音楽が洋楽ばかりだったから。
もう1点今までの8枚のアルバムの共通点がある。
それは、メンバー全員男なのである。
ガールズバンドはもちろん、女性メンバーすらいない。
たまたまかもしれないけど、多分骨太のロックばかり聴いていたからなのもあるし、Avril LavigneやMichelle Branchあたりは聴いていたし好きだけど、自分を構成するほどの影響を受けたことはなかった。
最後の極め付けがスリーピースバンドが一つもない。
8組のアーティストのアルバムだがいずれも4人組バンドやその形をした音楽をやっている。
①日本の音楽で②女性が参加するアーティストで③スリーピースバンドという意味でGO!GO!7188は欠かすことができない。
だからこそ、何回もこのブログに登場することになるのだけど。
高校生の頃に「こいのうた」を好きな人からの着信音にすると恋がかなうと噂になり、ちょっと知っていたくらいのバンドだった。
これはこれとして名曲で、とてもスタンダードな構成と歌詞だとは思っている。
GO!GO!7188をちゃんと聴くようになったのは20歳を過ぎてから。
久々に再開した地元の友達と飲みに行くようになり、ソイツの家にあるCDを借りたときにGO!GO!7188のベストが含まれていて、大体知っている曲が入っていてスゴイいいアーティストだと思ったのがきっかけ。
そんなマイGO!GO!7188ブームの最中に発売されたのが『パレード』というアルバムだった。
いい感じのオルタナティブ・ロック感とメロディセンスの良さと独特の歌詞から生まれるオリジナリティ。
こんないいバンドが日本にいたんだと再認識した。
レッチリやFoo Fightersのお陰でオルタナティブ・ロックは大好きになっていたし、王道ではない風変わりなサウンドもアリになっていた。
そんな音楽的積み上げがあったおかげですんなり好きになることができた。
GO!GO!7188の音楽は基本的にはあまりめちゃくちゃなテクニックは寄らず、3人が自分の役割を分かって音楽の中の守備範囲を各々がしっかりと守っている。
アッコの歌詞の世界観が洋楽ばかり聴いていた自分にはストレートで新鮮だった。
自分の人生で一番ライブを見た回数が多いアーティストであることも大きい。
『パレード』のツアーも見に行ったし、その後のアルバム『569』のツアーも見に行った。
ライブでもちゃんとその魅力を発揮してくれるのはバンドの価値として当たり前だけれど、それだけに重要なことだった。
『パレード』というアルバム全体はちょっと変わった歌詞の変わった世界観が広がっていて、これがたまらない。
スリーピースバンドであることを逆手にとってあまりギターを何本も重ねたりしていないのも大事。
あとはドラムのターキーの気持ちいいスネアサウンドはドラマーとして出したいスネアサウンドの基本になってくれている。
洋楽ばかり聴いていたロック小僧が日本にもいいバンドがいて、洋楽とはまた違う良さがあることを再認識させてくれたGO!GO!7188の『パレード』というアルバムは、チェック対象となる音楽の幅を広げてくれた功績がある。
全体を通しての感想
選ぶのが大変かと思いきや、案外そうでもなかった。
この記事を書くにあたって、先に書いた通り1週間ほど頭の中に置いておいてから吐き出している。
紙を1枚おいて、一人ブレーンストーミング状態で思いつくままに大事なCDを書いていった。
今回書いたもの以外にも重要なアルバムはあるんだけど、この9枚ほどではなかったから書かなかっただけ。
この後にiTunesのアルバムを眺めてみたりもしたんだけど、やっぱりこの9枚に勝るアルバムは無かった。
曲が何曲あろうが、アルバムが何枚あろうが、頭に思い浮かぶアルバムは意識しようがしまいが重要なのは確かなことだと思った。
やっぱり頭に浮かんだアルバムには何かしらのエピソードがついていて、それを吐き出してから整形するのに時間がかかった。
この記事自体10,000字を超えてしまっているし。
最後に
画像を9枚にまとめるのが面倒だったんだけど、下記サイトを使ったら上手くできた。
先にジャケット9枚の用意は必要だけれども。
Online Image Editor | Pixlr Express | Autodesk Pixlr
自分の思う音楽は心震えたり、何かエピソードと紐づいていたりして、自分の体の一部みたいになっているものが多い。
そんな感動を忘れずにいたいと思っている。
こちらからは以上です。
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合わせて読みたい
*1:Diabolus in Musicaは「音楽の中の悪魔」のことで、悪魔のスケールって多分ロ短調(Dマイナースケール)。
詳しくは
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1133320086