1.insane dream
2.ninelie with chelly(EGOIST)
3.twoface
4.Higher Ground
5.for ロンリー with 阿部真央
6.蝶々結び
7.カタオモイ
8.Hz
9.声色
10.closer
11.Falling Alone
12.us
13.Stars in the rain
Aimer(エメ)の2016年9月21日発売の4thアルバム『daydream』を聴いた。
何の前情報もなく手に取ったのだが、どうも自分の思っているAimerと違うのだ。自分の知っているAimerは2011年のカヴァーアルバム『Your Favorite Things』のイメージでバンド感は多少あるが、あまりロック感は出していなかったと記憶している。今までのAimerはこんなに煩い中で歌ってはいなかった。
アレンジがエモい曲が多いのだ。1、3、4、10、12、13曲目がONE OK ROCKやVAMPSあたりのへヴィなロックのテイストをそのまま出力を1~2割減したくらいのエモやロック感が漂う。それでもAimerはAimerのままで声を張り上げることはなく、いつものウィスパーボイスで歌い上げる。なので、3曲目の「twoface」の歪んでいる上にドンシャリなベースにジャキジャキのギターが鳴ってしまうと歌が弱くなる。今までのスタイルとは明らかに違うロック臭がするサウンドに包まれたAimerの姿がそこにあった。
シングルになっている6曲目「蝶々結び」はRADWIMPSの野田洋次郎プロデュース作品でギター・コーラスがハナレグミ。しかし、コーラスの音域が低いせいか永積タカシの声が野田洋次郎の声に聴こえて仕方がない。後半に終わってしまうかに見せて、さらに続いていくアレンジはなかなか良かった。
「蝶々結び」は全体のサウンドもセカイ系の歌詞も今までのAimerのものとよく似ていたので、今までのAimerを知っている人なら安心して聴ける曲になっている。
また、EGOISTのchellyや阿部真央とコラボした曲が1曲ずつあり、EGOISTのchellyは対等に渡り合っているが阿部真央の方が阿部真央の曲のカヴァーなのもありAimerは押されがちだった。阿部真央のドスの効いた声で歌う恋愛観の重たい女の歌はAimerには合わなかったのかもしれない。
何だか今回のアルバムはコラボが多く、今までのAimer感がなくておかしいなと思って公式サイトを除いてみたら納得できた。
・1、4、10、11、13はONE OK ROCKのTakaが楽曲提供。
・3、7はandropの内澤崇仁が・プロデュース。
・8はスキマスイッチ楽曲提供・プロデュース。
・9、12は凛として時雨のTK楽曲提供・プロデュース。
さらに、1、10、11のアレンジはONE OK ROCKのアレンジも行っているColin Brittainが担当しており、そりゃワンオク感満載なはずだった。そして、内澤崇仁の作品も7のみをアレンジしているが、3もプロデューサー陣が狙ってandropのようなサウンドに仕上げている。唯一スキマスイッチが関わった曲だけ妙にピアノを弾きならしているせいでポップなガチャガチャ感があるが、他の曲は割と2010年代のロックを反映したサウンドになっているのも合点がいった。
今までのAimerを壊すのがコンセプトのアルバムだっただけあって、今までのAimerを期待すると簡単に裏切られてしまう作品だ。1曲1曲も書いている人が違うので良い意味で統一感はないが、Takaが楽曲提供している曲が多いため全体にエモく感じる。他だってandropに凛として時雨だと思えばハードでエモい作品に仕上がることは容易にイメージできるだろう。10曲目の「closer」なんかは英歌詞だし、そのままワンオクがやっても違和感がないくらいだ。
今までのAimerは神様みたいな神々しさをもって歌っていた気がするが、今回の作品は神様が山の麓まで降りてきて野生動物と一緒に雄たけびをあげてしまったといったところか。もっと現実的に感情を前面に出して、言葉を吐き出す。これだけではその辺のエモいバンドとやっていることは変わらないのだが、独特の歌唱法によって決してフルパワーで声を張らない。この辺のバランスをとるためにバンドサウンドの太さも1~2割減ぐらいでも十分へヴィに聴こえるのだろう。
もちろん、自分の様にゴリゴリのロックサウンドに慣れてしまっていると振り切らないメーターに少しイライラするのだが。それでもAimerの歌声とメロディラインの特徴である所々フラットする音程が一番の個性なのだし、聴きどころはそこなのだ。
違和感を与える組み合わせは最近だとBABYMETALに感じて、アイドル×メタルを目の前にした第一印象は「変なの」くらいにしか思わなかった。それでも何度も耳にするうちに慣れてきて楽しむポイントが見えてきたことがあった。
それと同様にこのアルバムも聴いていくうちに楽しむポイントが見つけられそうな気がしていて、へヴィなサウンドにウィスパーヴォイスの組み合わせがポイントになりそうだ。ライブでこのアルバムの曲をやった時にバンドサウンドにAimerの声が埋もれてしまいそうな気がするのは杞憂に終わればよいが。
こちらからは以上です。