1999年のデビューからサウンドや作風に変化はありつつ、素敵な音楽を届け続けてくれているBUMP OF CHICKEN。
4人のバンドサウンドを中心に構成された楽曲はギターが2本ありつつも、必ずしもギターロックに当てはまらない広い音楽性を持っている。
バンプの音楽のリリースの頻度は高くなく、近年は2~4年に1枚のアルバム発表にとどまっている。それでは物足りない、もう少し似たような音楽で良いから楽しめないか?と考える方にオススメアーティストを紹介したい。
BUMP OF CHICKENの魅力
BUMP OF CHICKENの魅力は以下4点ではないだろうか。
①ヴォーカル藤原基央の声
②セカイ系の歌詞
③男臭さよりも女々しさ先行
④素朴な親しみやすさ
ほぼ全曲の作詞作曲をヴォーカル・ギターの藤原基央が行っており、自ら歌っているので、どうしてもこのバンドの中心は藤原基央となってしまうし、歌声が好きで聴いている人は多いのではないだろうか。
その歌詞は様々なものがあるが、セカイ系と言われる君と僕の世界であったり、男くささゴリゴリのものよりは女々しさ相まって優しさが見え隠れする歌詞だったりが多いように思う。
そして、サウンド的にはいわゆるJ-POPの中にハマるサウンドでしかないが、ロック的に考えると泥臭さがなくてとてもクリーンで聴きやすい。
メンバーのルックスは濃い顔はおらず、全体的に塩かしょうゆ顔。全体に纏う雰囲気も洗練されてアーティスティックなものというよりは、もっと素朴で親しみやすい。
こんなところをポイントに似ているアーティストを選んでみた。
1.RADWIMPS
ヴォーカル藤原基央の声★★★★☆(4.0)
セカイ系の歌詞★★★★★(5.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★★☆☆(3.0)
素朴な親しみやすさ★★★☆☆(3.0)
合計 15pt
バンプが好きなら、まず聴いてもらいたいRADWIMPS。
野田洋次郎の歌声と歌詞の世界は バンプに通じるものがある。
ルックスがバンプと方向性が違ってサロン系というか緩めな印象なところが違ったり、楽器隊がバンプよりもテクニカルなことをするので、雰囲気という点ではかなり違う。バンドサウンドの幅広さもバンプより広めなので、聴けば聴くほどRADWIMPSってこんなバンドだっけ?と思うこともあるが、サウンドが変化してもその楽曲のクオリティの高さはピカイチだ。
RADWIMPSのメンバーはバンプからすると5コ下になるので、同世代とは言い難く感覚が違うところがあるが、初期(2010年くらいまで)の作品はバンプとは違う青臭さがあって良い。
2.スネオヘアー
ヴォーカル藤原基央の声★★★★☆(4.0)
セカイ系の歌詞★★☆☆☆(2.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★★★☆(4.0)
素朴な親しみやすさ★★★★☆(4.0)
合計 13pt
バンドサウンドをベースとして、聴きやすいサウンドと難しさの無い歌詞。
若干の女々しさや見た目の親しみやすさは、バンプ同様の優しさの元になる。
ともさかりえの旦那というのが一番目に出てきてしまうスネオヘアー。バンプと共通するのは女々しさと親しみやすさで、そこからにじみ出る優しさがポイント。楽曲自体も難しいことを難しくやろうとすることはなく、あくまで自然体。バンプぼどキャッチーではないが、メロディが歌詞が染みわたるタイプのアーティストだ。
バンプよりもアーティストというよりは俳優臭がするので、バンプの芸術性みたいなところが好きな方にはオススメできない。あくまで、無駄な力が抜けた肩肘の張らない日常の楽曲が良いアーティストだ。
3.Galileo Galilei
ヴォーカル藤原基央の声★★★★★☆(4.0)
セカイ系の歌詞★☆☆☆☆(1.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★☆☆☆(2.0)
素朴な親しみやすさ★★★★☆(4.0)
合計 11pt
高音の歌声のタイプは似ているし、歌っていることの青さは初期のバンプと類似するところがある。
初期のバンドサウンドから年月を重ねると、シンセが存在感を増してくるのも似ているポイント。
閃光ライオット出身のバンドで10代からバンド活動を行っているバンド。ヴォーカルの尾崎雄貴とドラムの尾崎和樹が兄弟であるのも一つの特徴。やはり兄弟が中心のバンドだったり、メインをやりたいと脱退したメンバーがFOLKSを結成したリ、このバンド自体も2016年10月に解散してしまっている。
バンプの歌詞とはまた違うGalileo Galileiの出身地である稚内を思い出すようなそれであったり、独特の世界観は方向性こそ違うが深さとしては十分。ギターロックバンドがメンバー全員DTMを行うことによってさらに音楽性を広げ、シンセ中心の音楽性に変わっていったことは進化であり、成長の証だった。そういう音楽に対する探究心がバンプとはちょっと違ったところで働いているので、そういう違いを楽しむのがよいだろう。
4.phatmans after school
ヴォーカル藤原基央の声★★★★☆(4.0)
セカイ系の歌詞★★★★☆(4.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★★☆☆(3.0)
素朴な親しみやすさ☆☆☆☆☆(0)
合計 13pt
歌声の類似度の高さはピカイチ。さらに歌詞の雰囲気もかなり似ている。
北海道出身の覆面バンドがやっと顔を公開した。
最初聴いたときに「バンプの新曲かな?」と思ったらphatmans after schoolだった。近年のバンプっぽいギリギリギターロック感を出しつつ、歌詞もバンプのような君と僕の世界を描かせると上手で良く似ている。
2011年のデビュー以来ずっと顔を隠した状態で活動してきたが、2017年に入り顔を公開した。案外イケメンの雰囲気があってビックリしたが、ミュージシャンはこうでなくちゃと言う感じだった。素朴さこそないけれどいい具合に中二病感もあり、バンプが好きなら気に入ってもらえるバンドじゃないか。
5.NOVELS
ヴォーカル藤原基央の声★★★★★(5.0)
セカイ系の歌詞★★★★☆(4.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★★☆☆(3.0)
素朴な親しみやすさ★☆☆☆☆(1.0)
合計 13pt
今回紹介する中でも中音~高音域の歌声が特に似ている。
世界観はバンプからもう少しダークなものが多いが、大いに楽しめる。
2014年にメンバーの脱退こそあったが、継続的に活動を続けるNOVELS。こちらもギターロックバンドだが、パワーコードで押さずにアルペジオとコードをかき鳴らすスタイルはバンプとも似ている。
何より歌声が似ている。特に中音~高音域の声が藤原基央とそっくり。割と歌詞が先行しがちでメロディが若干おざなりになることもあるが、全体的な雰囲気と言い良く似ている。ただ、見た目は塩顔の若干雰囲気イケメンでちょっとタイプは違うかも。
6.tacica
ヴォーカル藤原基央の声★★★★☆(4.0)
セカイ系の歌詞★★★☆☆(3.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★★★☆(4.0)
素朴な親しみやすさ★★☆☆☆(2.0)
合計 13pt
バンプがスリーピースロックバンドになったら、こんな雰囲気になっていたかもしれない。
難しくこねくり回すことはせず、割とストレートに表現する歌詞とアレンジ。シンプルな楽曲で勝負してメッセージを届けてくれる。
2014年にドラムが脱退し、2人体制になった。このバンドも2011年まで顔出しをしないスタイルだった。ヴォーカルギターの猪狩の嫁はチャットモンチーの橋本絵莉子なのは、知る人ぞ知る事実。
バンプに比べると歌詞だったり歌う姿勢がtacicaの方が前のめりで、熱さがあるように感じるかもしれない。あとは、アレンジもシンプルなので、初期のバンプが好きなら物足りなさを感じることはないと思うが、最近の作り込んだサウンドが好きなら必ずしもオススメはしない。
7.amazarashi
ヴォーカル藤原基央の声★★★☆☆(3.0)
セカイ系の歌詞★★★★(5.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★★★☆(4.0)
素朴な親しみやすさ★☆☆☆☆(1.0)
合計 13pt
セカイ系の歌詞をバンプにはない暑苦しさで歌い上げる。
低音域の歌声が似ている覆面バンド。
実質ヴォーカル&ギターの秋田ひろむのソロユニット状態になっているamazarashi。独自のアートワークと顔を出さないメディア戦略をとっているのも特徴。
歌詞は強いメッセージ性と平易な言葉で綴られているので、分かりやすいものになっていることが多い。バンプが暑苦しくなったらこういう方向になるのかなと思わせてくれる。
個人的には「ひろ」という曲が何とも私的で衝撃的だった。
8.back number
ヴォーカル藤原基央の声★☆☆☆☆(1.0)
セカイ系の歌詞★☆☆☆☆(1.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★★★★(5.0)
素朴な親しみやすさ★★★★☆(4.0)
合計 11pt
女々しくて女々しくて辛いのが好きなら是非とも聴いてほしい。
バンプとは違う君と僕の世界がそこにある。
ドラマやCMのタイアップも多いので、一度は耳にしたことがあるであろうback number。清水の見た目からは想像できない女々しい歌詞と、決してオシャレにまとまらない展開が特徴。サウンド的にはギター・ベース・ドラムを中心としながら鍵盤やストリングスといったオーソドックスなアレンジをするが、あまり凝ったものにはならないので聴きやすいだろう。
何よりバンプを超える女々しさからくる、恋愛の関係性の違いが大きく感じられるはずで、そんなポイントから違いを楽しむのをオススメする。
9.My Hair is Bad
ヴォーカル藤原基央の声★☆☆☆☆(1.0)
セカイ系の歌詞★☆☆☆☆(1.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★★★☆(4.0)
素朴な親しみやすさ★★★★☆(4.0)
合計 10pt
日本語で綴った私的な歌詞をキレのあるロックサウンドで貫く。
バンプと違う青くさや若さと勢いと女々しさがロックの初期衝動に入り混じる。
My Hair is Badは3ピースバンドで、ヴォーカル&ギター、ベース、ドラムのスタンダードな構成。出音はとてもストレートでカッコいいロック。それにも関わらず、歌詞は女々しくて歌声が若干半ベソ。これが絶妙なバランスなのである。カッコいいロックで男らしいロックをやったらただのマッチョバンドだし、女々しい歌詞を優しい演奏にのせたらただの優男バンドになってしまう。そこでカッコイイロックサウンドに女々しいサウンドで甘辛MIXの完成。
バンプにはないロックの初期衝動を感じつつ、歌詞の女々しさに落ち着くくらいの感覚で聴くとよいかも。
10.ココロオークション
ヴォーカル藤原基央の声★★★★★(5.0)
セカイ系の歌詞★★★★☆(4.0)
男臭さよりも女々しさ先行★★★★☆(4.0)
素朴な親しみやすさ★★★☆☆(3.0)
合計 16pt
今回紹介する中でのバンプとの激似度は最高度。
楽曲のストーリー性やメロディのキャッチーさ等バンプと負けず劣らずの完成度。
2016年にメジャーデビューしたココロオークション。真っすぐに届くメロディと歌詞が当たり前だけれど、当たり前のことをちゃんとするのは難しいことなんだなと痛感させられる。特別なことは何もないのだけど、何かいいんだよなと思わせてくれるのはバンプと同じ。
歌声が似ているのもあるが、新しいバンプの曲ですって聞かされたら気付く自信がない。この「蝉時雨」は3つの夏を繋ぐ短編映画の第一話になっていて、第二話「夏の幻」、第三話「雨音」と続いている。この流れを聴くだけでも十分な価値がある。
最後に
4つのポイントから似ているバンドを並べてみた。音楽は左記の4つのポイントだけでは測れず、それ以外にそのバンドの個性がある。なので、バンプを中心に考えてどんな方向に近いかであったり、バンプのこのポイントが特に好きだからそこのポイントで見てみるのはオススメできる。必ずしも総合ポイントが高ければバンプに似ているから気に入るというものでもないと思う。
また、各アーティストを聴いてからバンプの楽曲を聴くと、違って聴こえることがあるだろう。やっぱりバンプがいいと思うかもしれないし、バンプの曲がまた違う音楽に聴こえるかもしれない。音楽を比較して聴くのも悪くないもんだ。
こちらからは以上です。
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