YOASOBIの「夜に駆ける」の歌詞が星野舞夜「タナトスの誘惑」を原作としていて、リンクして相乗効果を得ていることが凄いと話題になった。
YOASOBIのその他の作品も、音楽と歌詞がリンクしている。
そういえば、今までも小説のようなストーリーと音楽が紐づくことはあったように思う。
しかし、YOASOBIは新しいと言われる。
これは、本当に新しいのか疑問が浮かんだ。
結論としては、YOASOBI×小説は新しいという考えに至った。
今までのストーリーと音楽の紐づく時
まず、ストーリーと音楽の紐づく時を考えてみたい。
音楽の一つの形として映画音楽があると思う。
映画には、音響効果としての音(サウンドエフェクト)もあるが、映画音楽としての音楽もある。
一つ一つ映画の専用の曲が作られることは珍しくないし、元々商業音楽としては、映画に付随したものは昔からある。
例えば、ジブリ作品の音楽を担当している久石譲はイメージしやすいかもしれない。
歌のないインスト作品はもちろん、映画『天空の城ラピュタ』の「君をのせて」は久石譲の作曲である。
近年で思い浮かぶのは新海誠監督の『天気の子』での映画監督も務めたRADWIMPSの野田洋次郎である。
ストーリーと絡み合った音楽は、映画の世界観を広げて、より作品に深みを与えた。
テレビドラマも映画と同じようなことが言える。
主題歌は分かり易く、そのドラマの顔になる。
TBS系テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌の「恋」は恋ダンスも相まってとても人気が出た。
それ以外でも、挿入歌が売れる例もある。
少し古いが、フジテレビ系ドラマ『1リットルの涙』の挿入歌として使用されたレミオロメンの「3月9日」や「粉雪」が、主題歌であるKの「Only Human」よりオリコンチャート上位にランクインしたことを思い出す。
やはり、タイアップは音楽に対しても相当な効果がある。
ストーリーと音楽の非同期化
映画やテレビ主題歌だと音楽と同時に進んでいくという意味では、音楽とストーリーが同期している。
ストーリーが流れていく中で、適切なタイミングで適切な音楽が流れる。
これによって、ストーリーと音楽の相乗効果を得るものである。
しかし、YOASOBIの音楽の楽しみ方は、小説を読むことと、音楽を聴くことは別々である。
つまり、ストーリーと音楽を非同期化している。
そのため、音楽を聴きながら小説を楽しんでもよいのかもしれないが、映画やテレビドラマの様に同期を前提としていないため、音楽を聴きながら小説を読む必要はない。
もっと言うと、お互いが補完するものではなく、お互いが延長線上にあるため、同時に交わる必要がないのだ。
このように比べると、かなりの違いがあることが分かるだろう。
結論、YOASOBI×小説は新しいがコスパが悪いかも
何が新しいかというと、ストーリーと音楽を非同期化したということ。
音楽を紐づけるメディアを小説にしたことは、本質的なポイントではなくて、あくまで非同期化したことである。
その一方で、ストーリーと音楽の同時性がないため、別々に楽しむ時間が必要になる。
これは同期化した音楽と比べると、少し時間に対するコスパが悪くなる。
映画であれば、ストーリーと音楽を一気に楽しめるが、小説を読んで、音楽を聴くという2つの工程を踏む必要がある。
そんなコスパを気にする必要がないくらい良い時間を提供できるとき、非同期化された音楽の価値が本当に発揮されたと言えるだろう。
小説については、「夜に駆ける YOASOBI小説集」として発売されているので、 まとめて読みたいときは、オススメする。
「夜に駆ける」のリンクしている小説「タナトスの誘惑」はこちら。(R15なので、注意)
こちらからは、以上です。
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