スリーピースバンドの洋楽編第1回。
以前までは邦楽編。
今回はスリーピースバンドのレジェンド達を紹介する。
Police
The Police - Every Breath You Take
Policeは1977年に結成し、1978年にデビューのイギリスのロックバンド。
スタートこそパンクバンドとして始まったのだが、ロックやポップスに限らずスカやレゲエを取り入れた楽曲によって幅広い音楽性を示している。
オリジナルアルバム5枚はいずれもUKでプラチナディスク認定を受け、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」では堂々の70位に輝いている。
Policeの魅力はメンバー各々の個の力が半端じゃないこと。
ベース&ヴォーカルのStingは嗄れ声の歌がいい味を出している。
後にBryan AdamsとRod Stewartと共に「All For Love」という曲をコラボするのだけど、みんな嗄れ声でユニゾンしても歌声が太くならないなんてことも。
ベーシストとしての評価はThe BeatlesのPaul McCartney同様、歌いながらのベースとなるので割とシンプルな弾き方が多いのでなかなか難しいが、歌の邪魔をしないベースを奏でる。
ギターのAndy Summersは元々ジャズ畑にいたこともあり、ロックギタリストとは一線を画す表現をする。
コードの構成音が多彩であったり、改造されたギターとエフェクターによる唯一無二のサウンド。それは誰にも真似できず、強い個性を放っている。
ドラムのStewart Copelandは千手観音のような手数を出したかと思えば、静かに歌に寄り添うビートを刻んだりもする。
歌心のあるドラマーとはこういう人のことで、ドラマーなら是非とも一度そういう観点でドラムを聴いてほしい。
3人が3人とも個性的で独創的だったため、ケンカが絶えなかった。
そんな話をAndy Summersが自伝で語っている。
Policeを聴くなら、「Message in a Bottle」、「Walking on the Moon」、「De Do Do Do, De Da Da Da」、「Every Breath You Take」を聴いてみるのをおススメする。
個人的には初期の勢いのある演奏だったり、レゲエが入ったサウンドも良いのだが、 「Every Breath You Take」のシンプルなのに多彩で歌の大事なエッセンスがふんだんに込められているのがたまらない。
Rush
1968年結成、1974年にデビューしたカナダのロックバンド。
デビュー以前から3人だったが、デビュー前にベースがGeddy Leeとなり、デビュー後にドラムがNeil Peartとなり、ギターのAlex Lifesonとの3人編成となる。
Rushは初期こそハードロックっぽいサウンドだったが、後にプログレッシブ・ロックに音楽性が変化していく。
それはNeil Peartの歌詞であり、Alex Lifesonのディレイ等の空間系エフェクターを上手に利用したサウンドの広がりであり、Geddy Leeのリフとハイトーンヴォイスが成せる業。
音楽性に伴い多彩な音が必要となるため、機材が大掛かりになりがちである。
特にNeil Peartの巨大なドラムセットは壁と呼ばれるくらいで、360度ドラムセットで覆いつくされるセットを使用していたこともあった。
そして、Alex Lifesonがキーボードを演奏したり、Geddy Leeがベースを弾きながら足元のMIDIキーボードを弾いたりととにかく3人だけで音を鳴らそうという意思を感じる演奏となっている。
Rushを聴くなら「Spirit Of The Radio」、「YYZ」、「2112」、「The Big Money」、「Limelight」あたりをおススメする。
個人的にはインスト曲の「YYZ」は大好きで、カナダ人の友人から「地元トロント国際空港のコードネームなんだよ」と教えてもらったり、出会ったのがこの曲のライブ盤での「Live in Rio」で観客がこのメロディをバンドに合わせて合唱するというスゴイ音源を聴いた衝撃が今でも忘れられないのもある。
スタジオ盤も良いのだが、Live盤の演奏の巧さが半端じゃないのも魅力。
Motörhead
Motorhead - Ace of Spades [Live Stage Fright][HD]
活動期間が1975~2015年のイギリスのロックバンド。
長い活動歴のなかで、唯一全て在籍するLemmy Kilmisterがリーダ。
一時期、ギターが2名在籍したこともあったが、基本的にはギター、ベース、ドラムの3名構成である。
Lemmyは自身のバンドサウンドをあくまでロックンロールだというが、へヴィ・メタルやスピードメタルと言われることもあり、それを嫌った。
スリーピースバンドではあるが、実質Lemmyのバンドであり、LemmyこそMotörheadだった。
その姿をドキュメンタリー化した「極悪レミー」という作品はMotörheadを知る上では欠かせない。
「1975年からシラフでいたことがない」とかジャックダニエルのコーラ割が好きだが、その割合がジャックダニエル:コーラが2:1だったり(普通は逆)となんともロックンロールな面がある一方で、読書家である一面もあってこれがLemmyの人間味だったんだと後で気付くことになる。
また、Lemmyは様々なトリビュートバンドやプロジェクトに参加しており、Ramonesへ曲を書いたり、Ozzy Osbourneのアルバム『No More Tears』では「Hellraiser」、「Desire」、「I Don't Want to Change the World」、「Mama I'm Coming Home」の4曲ををOzzyとZakk Wyldeと共作している。(後に「Hellraiser」はMotörheadのアルバム『March Or Die』でカヴァーされている)
このようにMotörheadはロックンロールなバンドだが、Lemmyに至っては広くロックに関わっていた姿が伺える。
2015年12月28日Lemmyが死去し、その後ドラムのMikkey Deeが解散を発表している。
享年70歳。亡くなって多くのミュージシャンから追悼のメッセージが集まったことは言うまでもない。
Motörheadを聴くなら、まず「Ace Of Spades」でありアルバム『Ace Of Spades』を聴くのが一番だ。
誤解を恐れないで言えば、曲調はほぼ同じ雰囲気であり、それが好きになれなければMotörheadを好きになるのは難しいと言っても過言ではない。
こちらからは以上です。
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