Jailbreak

新しい世界の切り取り方

メロディーラインをなぞるギターソロはセンスが必要だが、キマるとカッコいい

 

2019年下半期に一番聴いたアルバムは夜の本気ダンスの『Fetish』だった。

非常にいい感覚を持った作品で、気になってインタビューを読んでみたところ、引っ掛かるところがあった。

――では最後にベタな質問なんですけど、フレージングやリフなど、音楽的な“俺のフェチはこれだ!”っていうのを教えてください。

米田「他のインタビューでも答えたんですけど(笑)、ギターソロで歌メロと同じっていう、たとえばニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」やウィーザーも結構そういう曲が多いじゃないですか?あれ聴くと感情が昂ぶる。それを「Forever Young」でやってるんです。途中でちょっと逸れるんですけど、だいたいサビのメロディをギターで弾くっていう。“あれやっぱいいよね”って、ぐっとくるポイントです」

夜の本気ダンス『Fetish』インタビュー――ダメなところもちゃんと持っといた方がいい より引用

確かに、「Forever Young」のギターソロは、メロディをなぞるものになっている。

この例として挙がっているNirvanaの「Smells Like Teen Spirit」のギターソロもまさに、ヴァースのメロディをそのまま繰り返している。

こういう有名曲を挙げるところに、米田のセンスを感じる。良い音楽を聴きながら、影響を受けて、さらに新しい音楽を作り出すネタにするのはとても良い。

ちなみにWeezerに関しては、通称Green Albumの曲あたりでメロディをモチーフにしたソロ(というには短い)はいくつか存在する。

他のアルバムだとあまり多くみられるわけではなかったので、 Green Albumをイメージしたと推察できる。それでも、Weezerを聴いているなんて、なかなかいいセンスしている。

 

メロディラインをなぞるギターソロを探してみると、案外見つからない。前述の夜の本気ダンスの「Forever Young」のようにメロディをモチーフにしながら、少し変える程度でもなかなか少ない。B'zは「Uritra Soul」のようにイントロでギターがメロディをなぞるようなパターンはあるが、案外ギターソロとなるとメロディをなぞるものはない。「LADY NAVIGATION」のようにリフを使ってメロディを上手くなぞる手法も別途あるのだが、今回は対象外とする。

 

 

ギターソロの役割を考えてみると、自ずと数が少ないことは納得できるはずだ。

ギターソロは、楽曲の中で展開となっており、メロディとは別なものを聴かせることで楽曲の広がりを持たせる。そこにメロディと同じものを繰り返すことは、広がりが生まれにくい。広がりが全く生まれないわけではなくて、ギターのトーンや歌い方を変えることまた違って聴こえることはある。実際、「Smells~」のギターソロはギターに強めのモジュレーションをかけて浮遊感のあるサウンドにしている。

他にも懸念することはある。メロディを繰り返すことにより、童謡感が出てしまう。例えば、Mr.Bigの「To Be With You」のようにアコースティックだと、若干童謡感が否めない。それでも、ギターソロとして成り立っているのは、Paul Gilbertのテクニックとセンスがなせる技だ。

シンプルなメロディなので、あえて装飾は多めになっているが、逆にこれくらいやらないとシンプル過ぎて場が持たないことは想像できる。 

 

今度は個性でゴリ押しすることで、クラシカルでありながらオリジナリティ満載の手法。Queenの「Killer Queen」でのBrian Mayのギターソロ。

チョーキングでニュアンスを出しながら、最後はお得意のギターオーケストレーション。ギターの音でハーモニーを重ねると、どうしてもBrian Mayに聴こえてくるから、これは専売特許に近い。そもそも、この曲はポップではあるが、クラシック的な雰囲気もあるので、ストレートなロックとは言い難い。

 

メタルだとテクニックを見せつけるのも、一つのメタルらしさだったりするので、ギターソロでシンプルにメロディラインを追うようなアプローチは少ない。そこで、Stone Sourの「Gone Sovereign」である。James RootとJosh Randのギターソロをかけあい、そのあとにメロディモチーフのギターソロがある。そこが聴きどころ。

メロディモチーフをツインリードでハモリを効かせるとは、とてもメタルらしく良い手法。メロディとして聴くと、案外シンプルなメロディだったんだということに気付く。実際はもう少しリズミカルに歌詞を歌い上げているのだが、そこをあえてツインリードのハモリを聴かせるために、音を伸ばしているのもさすがのアプローチ。

 

ここまで見てくると、やはりそのままメロディを弾くということはほとんどない。ギターらしいテクニックや音色を使いながら、ギターらしく歌う。こういうアプローチがあると思ってギターソロを聴くと、また音楽の聴き方が広がる。また、こういうシンプルが故に使うことが難しい手法に挑戦したギタリストに賞賛を贈りたくなるはずだ。

 

 こちらからは、以上です。