2022年によく聴いた曲編。
アルバム編はこんな感じ。
前回はこんな感じだった。
例年通りだと、ポップな曲や邦楽が多めになる。
今回はどうか見て・聴いていただきたい。
- 「Fields of Sky-Blue Pink」The Grafenberg Disciples
- 「Finger Pies」Anika
- 「Breakdown (Re-Recorded)」Tantric
- 「What's in Your World」Daryl Hall
- 「Once Again」SHANK
- 「チキンライス (2020 ver.)」槇原敬之
- 「Rise」The Alarm
- 「マンハッタン・キス」田中裕梨
- 「one more time」SCANDAL
- 「Am I The Only One」Aaron Lewis
- 最後に
「Fields of Sky-Blue Pink」The Grafenberg Disciples
つながりが見えなくて危ういのだけど、ちゃんとつながっていく
2021年上半期にCory Wongと出会って、Funkをキーワードにして、音楽を探すことが増えた。
自分の好きなロックやポップスと違う文脈でも、良い音楽があることを知ったのである。
そこで、色んな音楽を聴き漁ったところ、この曲に出会った。
イントロがベースから始まり、ドラムが刻みを始め、ギターが鳴りだす。
何だか、どれも嚙み合っていないようなイントロで、微妙なグルーヴ。
それも、コーラスまで持っていけば、ファンキーな楽曲になっていく。
そのもどかしさと、バラバラな状態から、構築されていく様が何とも言えず気に入った。
「Finger Pies」Anika
「bad guy」を泥臭くブルースっぽくすると、こうなる?
正直、この曲を聴いたときの印象は、Billie Eilishの「bad guy」を思い浮かべた。
4つ打ちのバスドラに、直線的なベースライン。
しかも、歌いだすかと思いきや、語りのようなパターン。
やっぱり「bad guy」じゃないかと。
しかし、細かく聴いていくと、バスドラの4つ打ちは4つ目は8分音符で2つ叩いているし、ハイハットも刻んでいる。
何なら、後でスネアによるバックビートも入ってくる。
ベースラインこそ、変わらないが語りから、歌に変わる部分もある。
そうやって、些細な違いを楽しんでいると、ドツボにハマっていく。
「Breakdown (Re-Recorded)」Tantric
20年前のあの曲が蘇った
Tantricというと、20年ほど前の「Breakdown」の虫が体中をはい回るようなリフと、低く太くて枯れた歌声が印象的だった。
そんなTantricが『The Sum of All Things』というアルバムを2021年に発表したので、チェックしてあった。
そんな中に、あの「Breakdown」が再レコーディングされているではないか。
聴き比べてみると分かるのだが、ドラムのサウンドが一番違う。
もちろん、ギター、ベースもドラムもメンバーが変わってしまっているので、細かい手癖までコピーはしているわけではないので、その辺の違いを楽しむのが丁度よいんじゃないかと思う。
逆に言うと、ヴォーカルのHugo Ferreiraの歌声が全然変わらないのに驚きを隠せなかった。
やっぱり何度聴いても、不気味さと不快感が混じった暗い曲だなと思いつつ、中毒性にやられてしまう。
「What's in Your World」Daryl Hall
Daryl Hallは歌モノが最高
Daryl Hall & John Oates時代の楽曲は、70年代にBlue-Eyed Soulというジャンルでブラックミュージックを白人が演奏するスタイル。
そこから売れて、音楽プロデューサーになっている。
プロデューサーになっても、ソロでいい歌を作ることができるのは、さすがとしか言いようがない。
この曲の凄いところは、歌がどんどん乱れていくところである。
最後のコーラスには、転調してキーが上がる。
キーが高くなると、声を張り上げるので、さらに乱れていく。
この乱れが妙にエモくて、よいのである。
「Once Again」SHANK
分かりやすく、ストレートに明るい曲
曲の構成ががシンプルだと、歌っていること、メロディがとても引き立つ。
キーがメジャーキーなのと、コーラス/ヴァース方式で、コーラスが先に来ている。
これは、Queenの「I Was Born To Love You」のようなスタイルで、潔さと明るさが際立つ。
歌っていることは、成功が何なのかもう一度教えて欲しいと言っている。
夢を見ないでコツコツと勧めるが、本人は夢を追って頑張りたい様子である。
そうして、教えを説く人に成功を教えてくれと言っているように見える。
こういうメッセージをストレートな曲に載せて演奏するのは、Theメロコアスタイルである。
「チキンライス (2020 ver.)」槇原敬之
ご本人登場の名曲のセルフカヴァー
「チキンライス」自体は、浜田雅功と槇原敬之名義で発売されており、槇原敬之自身は作曲とコーラスで参加しているのがオリジナル。
作詞の松本人志による貧乏をネタにしつつ、クリスマスを絡めるというウルトラQをやってのけている。
しかも、それを相方の浜田雅功が歌うという、なんとも素敵な座組。
それを槇原敬之がセルフカヴァーしている。
もともと名曲なのは分かっているし、浜ちゃんの純朴な歌い方も良いのだが、マッキーの透き通るような歌声が、聖なる夜感を増していて、なんとも神秘的である。
当然、歌も上手いし、表現力としては文句のつけようがなく、作詞した松っちゃんの顔が思い浮かぶ。
やっぱりいい曲なんだなと噛みしめつつ、完成度が上がることで、また違う面を見せてくれるのだから、名曲のカヴァーは止められない。
発売当時は平成から昭和を見た曲だったが、時代は進み令和から昭和を見ている。
それでも、貧乏でも温かい心や家族の片鱗に触れて感動できるのが、何よりスゴイ。
「Rise」The Alarm
純朴さから熱い気持ちが溢れ出す
The Alarmのベスト盤を手に取ってみたところ、この曲が妙に響いた。
静かに始まって、コーラスに向かって盛り上がっていく。
意味は、孤独を自分にぶつけて、立ち上がろうと言っているようだが、あまり分かりやすい感じではない。
それが故に、始まりの浮遊感とコーラスのしっかりとしたビートが妙にしっくりくる。
コード進行も、Ⅰ→ⅠM7→Ⅰ7というクリシェを使っていたり、Ⅳmで締めたり、Ⅵ♭→Ⅶ♭→Ⅰのようなモーダルインターチェンジもあって、コード進行で楽曲により色を付けている。
さらに、ハモリが所々効いているし、コーラスにギターが応答するようなフレーズを返したりと、飽きさせな様な工夫が多々ある。
だからこそ、歌がストレートでも、つまらなくならないし、何回も聴いてしまう。
「マンハッタン・キス」田中裕梨
原曲にはない色気と気怠さ
原曲は、竹内まりやの作品であり、作詞作曲も竹内まりやであり、編曲はご存じ山下達郎。
不倫を描いており、決して幸せになれないやりきれない想いを歌っている。
田中裕梨の歌声は、竹内まりやと比べると、パワーに欠けて古内東子のように口先で歌うようなこともする。
そういう歌唱法が不幸な雰囲気を醸し出していて、楽曲に合う。
あえて言うなら気怠さなのだが、そこがまた余計な力が抜けているのを通り越して、若干調子悪いんじゃないかと思うくらいの脱力感がある。
気怠さは大人の特権であるような気がして、色気を感じてしまう。
テーマがテーマなだけに、健全に歌った竹内まりやに対して、色気で攻めたこの作品は、対比して聴くとさらに面白い。
「one more time」SCANDAL
ロックバンドがエレクトロニックを上手く取り入れた1曲
SCANDALは、本ブログでよく取り扱っている。
一番直近では、2020年上半期にパワープレイしたアルバムで、『Kiss from the darkness』を紹介している。
もちろん、本作が収録されている『MIRROR』も購入したのだが、全体的に聴くと言うよりは、この1曲が特に気に入って何度も聴くことになった。
もともとソリッドなロックが中心だったSCANDALは、近年打ち込みやシンセサイザーを上手く取り込みながら、楽曲を制作している。
しかし、今までだとエレクトロニック色が強すぎて、イマイチだったこともあるので、毎回どの程度のミックス感でくるのかは、注目するポイントになっている。
今回は非常にバランスがよかった。
ベースとなるスタイルがダンスだったのもあり、へヴィなバンドサウンドが不要であった。
そこがほどよいソリッド感と、その周りを彩るシンセやオルガン、リズムの打ち込みが軽さを出しているのである。
夜の街のイメージがして、踊りだしたくなるウキウキ感が、非常に気持ちよい曲である。
「Am I The Only One」Aaron Lewis
相変わらずいい歌声、いいメロディ
Aaron Lewisの名前を見ても、誰だかわからず、カントリー歌手かなんかだと思った。
それにしてもいい曲なので、誰なんだと調べてみたら、Staindのヴォーカルじゃないか。
色々が点がいったわけである。
Staindは「Believe」が大好きで、ヘヴィなサウンドで押していくスタイルのバンドのバラードってホント最高だと思うのである。
Staind時代から孤独を歌ってきたが、この曲でも孤独を歌っているように見せかけて、意外と他にも同じ考えの人がいるんじゃないのか?と問いかけているんじゃないかと思う。
とにかく、”私だけか?”と問いかけながら、賛同を得ようとしている歌にも聞こえてくる。
それでこそメッセージであり、音楽のスタイルが変わっても、貫いている部分もあるんだなとしみじみとしてしまう。
最後に
例年通りだと、もう少し邦楽からのセレクトが多い。
多分、今回はポップな洋楽が多くて、思わず聴いてしまったというのが、実情である。
次点としては、こんなところ。
・「DNA」Kissin' Dynamite
・「雨のタクシー」lego big morl
YoutubeやSpotifyのように、どんどん音楽が流れてくるものもたくさんあるので、音楽に出会うチャンスはある。
下半期ももっと新しい音楽に出会っていきたい。
こちらからは、以上です。
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