W.E.T.『Rise Up』(2013)
名門FRONTIERS RECORDSの呼びかけに賛同したWORK OF ARTのロバート・サール(Key、G)、ECLIPSEのエリック・マーテンソン(G、B、Key)、TALSMANのジェフ・スコット・ソート(Vo)が集められ、それぞれが活動したバンドの頭文字をとったW.E.T.を結成。2009年にデビュー・アルバムをリリース。その高品質なメロディアス・ハード・ロックは大きな話題を呼ぶ。W.E.T. スピニングより引用
Wigelius『Reinventions』(2012)
中心メンバーのアンダース・ウィゲリウス(Vo)が、スウェーデンの国営テレビのタレントコンテスト番組に出場しJOURNEYのカヴァーを見事に熱唱した映像が、本作のプロデューサーのダニエル・フローレス(ISSA他)の目に留まり、ウィゲリウス始動のきっかけとなる。20代前半ながら真のメロディック・ロック・ファンというアンダースは、自身が影響を受けたテイストの楽曲を書き上げた。バンドメンバーとして実兄のエリック・ウィゲリウス(Ds)、ジェイク・スヴェンソン(G)、クリス・ペターソン(B)が加わり、名門Frontiers Recordsとのディールを獲得。ハリー・ヘス(HAREM SCAREM)によってマスタリングされ完成した本作で、日本でも遂にデビュー!WIGELIUS スピニングより引用
Khymera『The Grand Design』(2015)
デニス・ワードは、アメリカ出身ながら1987年にドイツはカールスルーエで結成されたPINK CREAM 69に参加。以後、現在までバンドの中心人物として活動。2005年に元HELLOWEENのマイケル・キスクが久々にリード・ヴォーカリストを務めるプロジェクトとして立ち上がったPLACE VENDOMEに参加。このバンドを母体とし、ギタリストとしてGAMMA RAYのカイ・ハンセン、KROKUS のマンディ・メイヤーが加わり結成されたUNISONICでは音楽的中心人物としても活躍する。
ベーシストとして活動する一方で、プロデューサー/エンジニアとしても広く活躍。ANGRAをはじめとして多くの名作を手掛けている。
そのデニスがリード・ヴォーカリストとして白羽の矢が立ったのが、マルチ・プレイヤーとして知られるダニエル・リヴェラーニを中心に活動をするプロジェクト、KHYMERAの2005年に発表された2ndアルバム「A NEW HOPE」だった。元々バッキング・ヴォーカルにも定評があったデニスが、リード・ヴォーカルを取るということで話題になったこのアルバムでは、ヴォーカリストとしての魅力をいかんなく発揮。続く2008年発表の3rdアルバム「THE GREATEST WONDER」でも同じく美声を披露する。それから7年、プロジェクトの中心はダニエルからデニスへ移行する形でKHYMERAが復活。EDGUYのフェリックス・ボーンケ、EDEN’S CURSEのポール・ローグらの協力を得て4thアルバム「THE GRAND DESIGN」を制作、発表する。
タワレコをネットで見ていて、たまたまサイドバーに人気だったか関連作品だったかで表示されてジャケットが気になって手に入れた作品。
こういう中二病っぽい派手なジャケットの作品に良作が多いことを自分は知っているので、試聴もそこそこに買ったのだ。
元々ベーシストのデニス・ワードがどんな歌を歌うんだろうと思ってしまう内容なのだけど、これがまた伸びやかでちょっと枯れていてとてもいい声をしている。
ベースも努めつつベースをとる姿が目に浮かぶ。
このバンドもまたキーボードが効いていて、いい感じで爽やかで。
オープニング曲の「Never Give Up On You」みたいなサウンドを聴くとJourneyを思い浮かべるのはWigeliusとも似ているかもしれない。
やっぱりこのバンドもテクニックに走ることなく、王道のハードロックサウンドを鳴らしてくれていて、メロディはキャッチー。
サウンドこそ新しいけれど、80年代のアメリカンハードロックっぽさを持つ作品かもしれない。
ただ、JourneyのようにNeal Schonの様なギタリストがいるわけではないので、めちゃくちゃなギターソロは期待しちゃいけない。
オススメ曲は「Never Give Up On You」、「Tell Me Something」、「I Believe」、「A Night To Remember」、「Finally」。
前述の「Never Give Up On You」のJourney感だったり、「A Night To Remember」のシンセの刻みに対して他の楽器が歯切れよくリフで絡む感じは本当に気持ちがいい。
バラードもあるのだけど、メジャーキーのテンポが速い曲がこのアルバムの良さじゃないだろうか。
Nordic Union『Nordic Union』(2016)
プリティ・メイズのロニー・アトキンスとエクリプス/W.E.T.のエリック・モーテンソンによるニュー・プロジェクト“ノルディック・ユニオン”始動!北欧出身の両名ならではの叙情派サウンドとロニーのエモーショナルなヴォーカルが心地よい2016年度注目のメロディック・ハード・ロック!
スウェーデン産北欧のハードロックに、デンマーク出身と言いつつアメリカンな雰囲気満載のRonnieの声が乗っているのが、ちょっと不思議だけれど決してアンマッチではない。
メロディにこだわって作ったらしく、全体的にキャッチーでへヴィ。この辺はここまでのバンドと同じく、シンセが入っていてソリッドになりすぎないバランス感が良い。
きっと北欧のハードロックがこういう方向性なんだろうかねぇ。
Halestorm『The Strange Case Of...』(2012)
ペンシルバニア州レッド・ライオン出身。フロントのリジー・ヘイルと、彼女の弟であるアージェイ・ヘイルが中心となってバンドを結成する。ティーンエイジャーの頃となる1999年、二人は父親の力を借りてEPをリリース、その後2003年にジョー・ホッティンジャーが、そして2004年にジョシュ・スミスが加入し、現在のラインナップが形成される。
2005年には早くもATLANTIC RECORDSとの契約を交わし、まず2006年にライヴEPを発表、アルバム・デビュー前にも拘らずその後2009年にアルバム『ヘイルストーム』でアルバム・デビューを果たす。デビュー前から絶え間ないツアーを続け各地にファンベースを築き上げながらバンドとしての強い結束力&パフォーマンス力を培ってきた彼らは、デビュー・アルバムにしてUSチャート40位を記録、一気に注目を集めるロック・アクトとしてシーンに知られるようになった。
Howard Bensonがプロデュースしている割にはストレートでソリッドなロックをやってくれる。もちろん、このアルバムのプロデュースもしている。
そして、聴きなおしていく中で自分が1stアルバム『Halestorm』、3rdアルバム『Into the Wild Life』は持っているが2ndアルバムの本作を持っていなくて聴いたことがなく、慌てて手に入れたアルバム。
1stアルバムも3rdアルバムも良いアルバムだったのだけど、聴く順番のせいなのかHalestormの作品の中で一番良いアルバムだなと思った。
いつも通りのガナりを聴かせてくれるのがヘイル姉さんの良さであり魅力。
女性ヴォーカルの割には割と低い音程も歌えるからこそ、極太のサウンドに負けない歌声を出せるのがカッコイイ。
そうかと思いきや、「In Your Room」という曲では今までに聴いたことのないクリーンな歌声が聴けて、「なんだ、ガナらないで歌えばAna JohnssonとかAvril Lavigneとかその辺になってしまうのね。」と思ったのは確か。
でも、この歌い方を通している曲はオリジナルアルバムでこの曲だけなのもあって、何だかプレミアム感があるような気がしてならない。
あとはやっぱりHalestormは名前にヘイルが入っているだけあって、バンドのパワーバランスとして姉も強いが弟も強いんだろうなと思ってしまうドラムを叩いている。
BABYMETAL『Metal Resistance』(2016)
2010年結成。2014年3月には日本武道館ワンマンライブ2DAYSを行い、女性アーティスト史上最年少記録を樹立。さらにファーストアルバム「BABYMETAL」が全米ビルボード総合チャートにランクイン、同年夏からは初のワールドツアーを行い、アメリカではレディー・ガガの北米ツアー5公演のサポートアクトに抜擢される。2015年にはさいたまスーパーアリーナ、幕張メッセ、横浜アリーナでの国内アリーナワンマンライブを含む、北米、中南米、欧州など10カ国を巡るワールドツアーを行い、イギリスの音楽誌「KERRANG!」と「METAL HAMMER」が主催するミュージックアワードでは日本人アーティスト初となるアワードを受賞。そして2016年には日本人アーティスト史上初となるイギリス・ウェンブリーアリーナでのワンマンライブ、ワールドツアーのツアーファイナルとして東京ドームでのワンマンライブを開催することが発表された。BABYMETALの“メタルレジスタンス”によって、我々は国境を超え、共に繋がり、ひとつになる時が来たのだ。
多分、 この流れでBABYMETALが入ってくるのに違和感を感じるのが正しい反応だと思う一方で、それだけ日本でハードロックやメタルに関わる作品が売れてこないってことなんじゃないかと思うわけで。
BABYMETALはアイドル+メタルなので、メタル要素は音楽を聴く限りは40~70%を行ったり来たりしているのだけど、PVとかライブ映像を見るとメタル感が50%を切っているのは否めない。
PVとか映像作品を含めて楽しむのがBABYMETALの楽しみ方だと気づいたのは去年のことだった。
どうしても比較する対象が1stアルバムとなってしまうが、よりメタル感とへヴィさはパワーアップしつつ、メタルを音楽をナメてる感が減った作品になっていると思う。
オープニングの「Road of Resistance」がゴリゴリのメタルを前面に押し出してくれる曲だからこそ、このアルバムがきっとカッコいいものになっていそうだと期待させてくれてそのワクワク感が半端じゃない。
それだけに、オープニングがいきなりこのアルバムのハイライト何じゃないかと錯覚するのだけど。
メタルを音楽をナメてる感については「KARATE」、「GJ!」、「Sis. Anger」あたりの曲で垣間見えるのだけど、このメタルの激しさに対して気の抜ける可愛い声でキャッチーなだけで内容の無い軽めの歌詞が並ぶのに慣れないために発生しているもので、ここがBABYMETALの良さの一つであり、苦手な人にとっては最も苦手な部分になるんじゃないかなと、やっと聴き慣れてきて思えてきた。
あと「BABYMETALはメタルじゃない」みたいな批判があると思っていて、それは同意できるけど違うんじゃないかなと思うところもあって。
イントロとかヴァースはメタルだけどサビがあって、それじゃJ-POPなのは確かなのだけど、現在の主流のハードロックとかメタルの曲の構成ってそういうものが多くて日本で売れている海外のバンドってそういう要素があることが往々にしてあると自分は感じている。
あとは当然、アイドル要素があるのでメタル100%ってわけじゃない。
でも、今時メタル100%で売れるのってとても難しくて、聞き覚えのある曲にしかならないのがその理由。だから、オルタナ感を足したりヒップホップとか他の音楽の要素を足すから他の音楽と違うことで価値を生み出すしかないのは、90年代以降のメタルの成長の仕方を考えれば分かるんじゃないかと。
なので自分はBABYMETALに対して、違和感があるけどそういうものとして受け入れて楽しんでみようというのをスタンスにすることにした。
ただ、SU-METALはメタルの歌姫だと思ってない。自分の思うメタルの歌姫は別記事にある通りの超実力派で個性派ばかりなので。
オススメ曲は「Road of Resistance」、「KARATE」、「No Rain, No Rainbow」。
この中で聴きやすくてメジャー感があるのがこの辺というだけで。
「Road of Resistance」ではDragonForceのギターHerman LiとSam Totmanがツインリードを聴かせてくれたり、タイトルからしてどう考えてもMetallicaの「St. Anger」にしか見えない「Sis. Anger」だったり、このイントロの展開はDream Theaterの「Only A Matter Of Time」・「Take The Time」がモチーフだろと思えてならない「Tales of The Destinies」があったりとメタルファンも胸アツな作品だということを付け加えておく。
Conquer Divide『Conquer Divide』(2015)
フル・アルバム・リリース前にして既に注目を集めていたUSの全員女性メンバーで構成されたメタルコア/ポスト・ハードコア・バンド、'15年発表のデビュー・フル。
伸びやかな女性Voが歌い上げるキャッチーでキュートなクリーンVoパートをメインに、随所にスクリームも加えたサウンド。目新しさはないものの、聴き手の耳を捉えるメロディのキャッチーさはしっかりと持っており、決して話題だけではないバンドの実力を感じさせてくれる。
AMARATHE、DEADLOCKあたりからEYES SETS TO KILL、初期のFLYLEAFあたりが好きな人にオススメ!!
あまり前情報のない状態でこのバンドを試聴してみたのだけど、スクリームがあって「きっとそれ用ヴォーカルが男性でヴォーカルが女性なんだろうな」くらいにしか思っていなかったのだけど、全員女性でビックリした。
アルバム全体はメタルコアっぽい感じで男性ヴォーカルだけど、Killswitch Engageあたりが近いスタイルで低音で細かく刻んでグルーヴを出すメタル。
Black Stone Cherry『Kentucky』(2016)
ケンタッキー州エドモントン出身、2001年結成。グラミー賞を受賞したこともあるTHE KENTUCKY HEADHUNTERSのメンバーの息子であるジョン・フレッド・ヤングとクリス・ロバートソンがまずバンドを結成し、まもなくジョン・ローホンとベン・ウェルズが合流し、現在のラインナップとなったのが2001年6月の事だった。地元を中心に活動を続け、その後バンドはジョンの父親のバンドが使っていたリハーサル小屋に入りリハーサルを行い、2006年にデビュー・アルバム『ブラック・ストーン・チェリー』をロードランナーより発表、デビュー・アルバムながらビルボード・チャート初登場90位を記録する。デビュー・アルバム発売後に地元の学校から招待を受け、自らが卒業した中学校の体育館で凱旋ライヴを行い、1500人もの観客を集めるなど、地元からの愛情を強く受けながら、STAINDやHINDER、BUCKCHERRYといったバンドと共に全米をサーキットするなど、確実に人気を手中に収めていく。
Black Stone Cherry / ブラック・ストーン・チェリー プロフィール|ワーナーミュージック・ジャパンより引用
2000年以降に結成されて売れているロックバンドの一つBlack Stone Cherry。
昨年アルバムを聴いてすぐに気に入って全ての作品を手に入れた。
ブルージーだけど自分の好きな王道のロック感があるハードロックがとても気に入って。
その5thアルバム『Kentucky』は間違いなく今までの作品を積み重ねてきて最高のものになっている。
Black Stone Cherry - Long Ride (Kentucky) 2016
ブルージーさはギターが醸し出していて、あまりドンシャリにならない太いディストーションと枯れたギターのサウンドが良くて。
それはThe Black Crowesみたいな雰囲気を持ちつつ、そこまでブルージーさを振り切らない適度なミックスの仕方をしていて、ロックとブルースの絶妙なバランスが今回の作品の一番の良さ。
他の特徴として、オープニングの「The Way Of The Future」や「Hangman」で聴けるブリブリに歪んだベースからのイントロや、「War」、「Rescue Me」での派手なコーラスワークは今までになくてアイディアとしてもフックが聴いていてカッコイイ。
Chris Robertsonのダミ声がブルージーさとハードさを増強させているのは今まで通り。
オススメ曲は「The Way Of The Future」、「Long Ride」、「Rescue Me」、「Hangman」あたり。
バラードがいい感じで仕上がっているのと、前述のアレンジがカッコいい曲なんかもあって、ただのハードロックというわけではなく退屈しない仕組みをしっかりと持った音楽になっている。
あとはこれ系のハードだけど渋めの音のロックが好きになれるかどうかは、ロックを聴く幅が広がるかどうかとして大事かもしれない。