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Jailbreak

新しい世界の切り取り方

イントロからベースがカッコイイ曲~ロックを中心に~

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どうしてもロックバンドの中心はメロディを持つヴォーカルや、目立ちやすいギターを聴いてしまう。それ以外だと全体のアンサンブルであったり、音色であったり、歌詞であったりと音楽には聴きどころがある。どうしてもその中でベースは影を潜めやすい。他の楽器よりも前に出ずらい音域と音色で、あまり前に出過ぎるのもバランスが悪くなりやすい。そういう意味でLUNA SEAのJのベースはバランスが良くて、カッコイイ。ベースとして良い仕事をしているのだ。

だからベースが目立ってはいけないわけではない。むしろ、アレンジとして効果的に働くのなら前に出るのだって問題はない。それもロックなら、思い浮かぶ曲がいくつもあるので、そんな曲とベーシストを紹介したい。

「Addicted To That Rush」 Billy Sheehan(Mr.Big)

いきなりこの人のこの曲はどうかと思ったが、インパクト重視で Billy Sheehan。指弾きとは思えない固い音色に、ギターと高速ユニゾンを楽々こなすテクニックの持ち主。しかも、ハイトーンでコーラスまでできるという無敵のベーシスト。派手なところ以外はしっかりとルート弾きに徹したり、ベースなのにビックリするくらいハイポジションを弾いていたりする。

「Addicted To That Rush」はイントロからタッピングを伴った高速トリルで始まる。普通はベースの音だと思わない訳の分かんない音。そこからギターのリフが入ってギターとベースのユニゾン。普通こんなレベルでユニゾンキメたりしないのだが、これがMr.Bigの代名詞。そして、ギターソロ明けには、歌、ギター、ベースの掛け合い。デビューアルバムの1曲目にこんなにモリモリにしていいもんだろうか?と今更ながらに思う。

方向性的にはIron MaidenのSteve Harrisが指弾きでバリバリ鳴らすが、ここまでメチャクチャなテクニックを見せたりはしない。掛け合いという意味では、The Whoの「My Generation」辺りを想起させるし、いずれにしろ色々な要素が入っているのは確か。他にもMr.BigのドラマーPat Torpeyと共にB'zと共演した「ギリギリchop ver51」もなかなかいい仕上がりなのでオススメ。 

あとは、ライブになるとやけにベースの音量だけ大きいのは言っちゃいけないぞ。

「Around The World」Flea(Red Hot Chili Peppers)

好きなベーシストTop10に必ずと言っていいほど名前があがるベーシストFlea。ライブでもPVでもど派手に動き回るが、ベースプレイには一切影響がなく、しっかりベースを弾ききる姿や、ファンキーなベースラインと効果的に効かせるスラップ。何よりレッチリ自体がミクスチャーバンドの先駆けとしての地位があるのもあり、Fleaが個性を生かし切ることがレッチリにおいてのミッションなんじゃないだろうか。

レッチリの曲は個性的でカッコイイベースラインの曲は多々あるが、歪んだベースのイントロから始まるこの曲が挨拶代わりで良いんじゃないかと。ヴァースの細々刻むベースラインからコーラスでの滑らかなベースラインと変わっていき、ずっと存在感を示している。ハイトーンを使いすぎて、実質ベースがチャドのバスドラだけになるのはある意味お約束みたいなもので、低音がスカスカになってもいい音楽なのがレッチリの音楽性。

似たパターンのベーシストで考えると、311とかミクスチャーは近いかもしれない。だが、メタル感やサウンドとしてのヒップホップはあまり感じさせないので、Limp BizkitやKornなんかのラップメタルと言われるバンドとはちょっと違う。みんなスラップはするのだが、5弦以上の多弦ベースを操ることが多く、とにかく低音をアタッキーに弾くようなベーシストが多い中で、Fleaのベースが個性的に聴こえる。

「G.W.D」ウエノコウジ(ex.THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、the HIATUS他)

元THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、現在はthe HIATUS他多数のバンドに参加しているウエノコウジ。細身かつ高身長でいかにも悪そうな人相。プレべをピックで力強く弾く様が本当に様になる日本人には珍しいタイプ。どうしてもTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの頃のガレージロックやパンクに影響を受けたシンプルなコード進行に乗せたベースライン・リフを弾くイメージが強いが、他のバンドの活動を見てみると必ずしもそういうスタイルばかりではないので、ベースラインに注目して聴いてみるのも楽しい。

G(ガナル)、W(ワレル)、D(ダレル)で「G.W.D」のタイトルやら歌詞がまずいいセンスしているのだが、注目すべきはイントロのベース。オールダウンピッキングで刻まれるガリガリに歪んだ音色と、それでも低音は失われずギターと融合してへヴィなサウンドに仕上がっている。サウンドのカッコよさ、潔いフレーズのカッコよさ。そして、案外簡単にこの感じが出ないコピーの難しさ。歪んだベースの良さが凝縮されている。

案外有名プロデューサーの亀田誠治も同じようにプレべでガリガリブリブリ歪ませて弾いてるし、Me First and the Gimme Gimmesの「She Believes in Me」あたりで聴けるFat Mikeのベースも近い雰囲気と音色だ。とはいえ、二人ともちょっと畑違い。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのライブ盤を聴いてみると、さらに

「Runnin' with the Devil」Michael Anthony(Chickenfoot、ex.Van Halen)

元Van HalenのベーシストMichael Anthony。髭面のクマ親父みたいな見た目からビックリするようなハイトーンでコーラスをキメる意外性の持ち主。現在Van Halenのベーシストの座はEdward Van Halenの息子にとられてしまって、別バンドで活動中。

そんなMichael Anthonyの潔すぎるベースライン。4弦解放を四分音符で刻むだけなので、サルでもできるベースライン。ギターソロの裏ではもう少し刻んではいるが、全体に超シンプル。だが、大事なことはこんな簡単なフレーズをブっ込んできたセンスだ。もちろん、音色もベースの低音を失くさずに歪んでいる。この潔さがカッコいい。

ただ一言「センス」で済む話なのだが、ベースラインは細かく刻めばいいってもんじゃないと教えてくれるのがこの曲。ド派手なスラップやギターみたいな速弾きをしなくたって十分ベースがカッコよいことを示してくれる。

「Out of the Black」Mike Kerr(Royal Blood)

へヴィな音してるだろ。ウソみたいだろ。ギターは入ってないんだぜ。

ベースとドラムの2人組Royal Blood。ギターレスなのにこんなへヴィな音を出している。そして、Mike Kerrはベースを弾きながら歌っている。現時点ではアルバムを1枚出しているだけだが、ドラムとベースと歌だけで独自の世界を貫いている。

元々の世界観がカッコいいだけに、ベースのフレーズがどうのというよりはそのオリジナリティが凄すぎる。もちろん、この「Out of the Black」はベースのフレーズとドラムの絡みがイントロから最高にカッコいいし、キマっている。

大分前の記事だが、Royal Bloodに感銘を受けて情報を集めたことがある。

「Ace Of Spade」Motörhead(Lemmy)

生き様そのものがロックンロールなLemmy。ベースだけでなく、ヴォーカルも担当して曲も書くのでバンドの中心というのもあって、存在感が凄い。Lemmyのトレードマークは髭とやや上向きに歌う為に、普通よりも高い位置にあるマイク。

Motörheadの代表曲といえば、この「Ace Of Spade」。イントロのベースがずっと楽曲の中心を貫いている。リッケンバッカー+マーシャルという独特の組み合わせで歪んだサウンドを作るが、前述のBilly Sheehanの歪みとも違ってかなり深めに歪んでいる。この曲がカッコいいのは確かなのだけど、それよりもLemmyのオリジナリティがカッコいいから余計にこの曲がカッコいい。

Lemmyは残念ながら2015年12月28日にこの世を去っている。もう、生であの歌声、ベースの音を聴くことができないのが残念でならない。

 「Heart of the Sunrise」Chris Squire(Yes) 

プログレッシブ・ロックバンドYes。プログレらしくテクニカルで複雑かつ長編大作で折り重なり、時に全体をコンセプトが貫くという、やろうと思いついたものを詰め込んで作りこまれたロックを演奏するのが特徴。だからとして、本筋のメロディや歌詞も手を抜かずいい音楽を数々残しているバンドでもある。Yesの中心人物であり、メンバーチェンジが何度もありながらずっと在籍をしていたのはベースのChris Squire。190cm近い巨体でリッケンバッカーから放たれる”リッケンバッカーらしくない”独特の音が特徴で、ピックで弾く固い歪んだ音が何ともカッコイイ。

「Heart of the Sunrise」自体はCMに使われることもあり、とにかくキャッチーなイントロのユニゾンがキマっていて、プログレらしくいかにもという仕上りで。当然、このユニゾンにベースも入っていて、勢いを殺さずに低音を支えている。この曲以外にも「Roundabout」のベースもカッコイイぞ。

こういうプログレ系ド派手ユニゾンが好きだと、Rushの「YYZ」なんかも最高だと思えるはず。もっと近年(といっても10年以上前だが)だとDream Theaterの「The Test That Stumped Them All」とかあたりもいけるかも。フュージョンとはちょっと違ったロック感とテクニックが聴けるのはプログレならでは。

Chris Squireは2015年6月27日に亡くなっている。前述のLemmyも2015年。2015年には偉大なベーシストが2人も亡くなっているのだ。

「Another One Bites the Dust」John Deacon(Queen) 

最後はQueenの「Another One Bites the Dust」。作詞作曲もベースのJohn Deacon。どうしてもQueenは才能豊かなバンドとして語られ、亡くなったヴォーカルFreddie MercuryとギターのBrian May、ドラムのRoger Taylorが前へ出てしまうため、John Deaconはベースという担当もあり、本当に縁の下の力持ちのイメージが強くついてしまっている。全員曲を書けるというのは音楽性に幅が出るし、飽きない音楽制作を続けられる可能性があって良い面がある一方、バンドのパワーバランスが乱れやすくなったり、音楽性が定まらない可能性もあってメリットばかりではない。

John DeaconもQueenの中ではいくつも作詞・作曲を行っており、「Another One Bites the Dust」もその1曲に過ぎないのだが、シンプルなリズムに乗せたシンプルなベースラインがカッコいい。シンプルではあるが、リフとしてのキャッチーさを持ち合わせており、バンドメンバーもそれを理解している為アレンジもシンプルではあるが、ファンキーなグルーヴを大事にしたものになっている。

ベースラインが主役となっている曲だとBen・E・King「Stand by Me」なんかとタイプは一緒で、ベースがリフを弾いてしまうというパターン。

この曲の邦題が「地獄へ道づれ」。タイトルの原義を頑張って訳したのはいいのだが、こういうあまりセンスを感じない邦題があるのが洋楽の面白さでもある。 

最後に

本当はベースがカッコいい曲を紹介したかったのだが、書いていくうちに「実はこの曲全部イントロのベースが分かりやすくカッコイイいんじゃないか?」と思い、ちょっと路線変更をした。 イントロはその楽曲の顔になるし、音色もクリアなので分かりやすい。

今回紹介した曲はいずれもかなり特徴的にベースが前に出ている曲なので、いつもこういう立ち位置にいるわけではなく、あくまで目立った例。たまにはフューチャーされたベースを楽しむのも良いだろう。

こちらからは以上です。

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