Jailbreak

新しい世界の切り取り方

イントロからドラムソロで鬼フィルイン・鬼タム回し

広告

 

楽曲のイントロは、楽曲の第一印象を決める大事な役割がある。

だからこそ、イントロから特定の楽器がカッコいいのは、印象に残る。

イントロからベースがカッコイイ曲~ロックを中心に~ - Jailbreak

今回はイントロからドラムが鬼フィルイン、鬼タム回しをする楽曲を紹介したい。

なお、ドラムから始まっていても、鬼フィルイン、鬼タム回しをしていない楽曲は含まれない。例えば、どんな印象的であっても、Aerosmithの「Walk This Way」やQueenの「We Will Rock You」のような楽曲は含まれないのであしからず。

鬼フィルイン、鬼タム回しとは?と思ったら、一旦楽曲のイントロを聴いていただきたい。壮絶な音符の応酬が待っている。

また、実は、大きく2パターンに分かれていて、その2パターンからさらに発展形を紹介していく。

目次

パターン①:Ozzy Osbourne/「Over The Mountain」

まず、大きなパターンの1つとして、Ozzyの「Over The Mountain」のようなイントロのドラムがある。これは、右手、左手、右足でバスドラを絡めた鬼フィルイン。実はシンプルなパターンなのだが、これを高速で繰り出すことで圧倒的な迫力を出すことができる。 

Led Zeppelinの「Rock And Roll」のアウトロでボンゾがキメるのも、これに近いパターンで、バスドラを絡めたフィルイン。ワンバス(バスドラ一つ)でも十分対応ができる。 

この楽曲自体は、ツーバスでドコドコしているメタルらしいスタイルで、ある意味もうスタンダードな曲。 

パターン②:Judas Priest/「Painkiller」

もう一つのパターンはJudas Priestの「Painkiller」 。Scott TravisがJudas Priestに加入して一発目にガツンとやってくれたパターン。若さ溢れるScott Travisの勢いがたまらない。

完全にツーバスフレーズで、片足で踏むだけでもそこそこ印象的なところを、両足でバスドラを踏むことで、勢いと重厚さを増すという荒業。こちらも、バスドラを絡めるという意味では、似ているのだが、バスドラがリズムの中心で、両腕は割とシンプルであるのが、このパターン。

Smash Pumpkins/「Doomsday Clock」

音符の数こそ少ないが、タイプ的に「Painkiller」パターンのこの曲。ちょっと変拍子なのか?と思わせるようなシンバルのキメのせいで、トリッキーに聴こえるが、ちゃんと2小節で収まっているフレーズ。ちゃんと数を数えなくても、最後のスネアの8分音符8つを外さなければ、イントロとして入ることは可能。

バスドラとタム類はアタックの強いバチバチとした音に対して、きらびやかなシンバルとアタッキーでメタル感があるスネアがまたカッコイイ。

その後もギター・ベースともゴリゴリのメタルのようなフレーズと、スネアのハリのある金属的な鳴りがとても攻撃的でカッコいい曲でもある。こういうメタルっぽいフレーズがありながら、メタルに聴こえないようにする技術も腕の見せ所だったりする。

Mr.Big/「Out Of The Underground」

こちらは「Over The Mountain」パターンのイントロ。Pat Torpeyのパワープレイが光るシンプルながらカッコよい。微妙に違うのが、「Over The Mountain」は4分の4拍子だが、この曲は8分の12拍子であるということ。同じく2小節のプレイだが、一回し分多くなる。スネアを多用しているのも、このフレーズの特徴。

これくらいドラムの迫力を聴かせると、そのあとのフレーズでダレてしまいそうなものだが、キレキレのリズムで重ねてくるPaul GilbertのギターとBilly Sheehanのベースが半端じゃないから均衡を保っている。

アルバム『Hey Man』の流れの中でも聴くのは最高なのだが、左記のアルバムを受けたツアーの『Live At Budokan』のバージョンが胸アツ。Paulのワウペダルを絡めた「さくらさくら」からのイントロリフの刻み→鬼フィルインの流れは是非とも聴いていただきたい。 

Dead Quiet /「Let It Die」

こちらも「Over The Mountain」パターンの鬼フィルイン。 部屋のアンビエントなのかリバーブなのか不明だが、適当な余韻があるため音の太さと迫力が出て、最高にカッコいい。Dead Quietはメタルバンドだが、キメの多いロックフレーズが繰り出されるこの曲に対して、このドラムを持ってくるのはなかなか勇気がいると思う。

他の曲と比べてちょっと、あれ?と思うところは、思いのほか曲が始まるとテンポが遅いのだ。先述の曲では、それなりのテンポがあったり、勢いをつけるためのものだったりする意図は感じる。しかし、この曲では全くそういう意図を感じず、案外威勢の良い啖呵を切ったけど、思いの外のっそりしてるぞ?という不思議な感じ。ただ叩きたかっただけじゃないのか?とも思えるが、楽曲の中でも多めの手数を出しているし、Jasno Danaのスタイルだと思えば、案外受け入れられる。

Decyfer Down/「Rearrange」

短めの「Over The Mountain」パターンの亜系。ワンバスというよりは、ツーバスで2連打のバスドラを絡めたパターンであり、1小節という短い間に手数を尽くそうとすると、こうなるんだろうなという例でもある。

メタルバンドだと、どうしてもギターのリフが印象的になりがちなので、ドラムが分かりやすく前に出る必要があることもある。そして、この曲に関しては、ヴォーカルがメロディラインを歌うという荒業を繰り出しているので、音楽的にはボリューム満点。メロディアスさを忘れていないので、絶妙なバランスの楽曲なので、イントロならずとも全て聴いていただきたい楽曲。

Rival Sons/「Back in the Woods」

これも「Over The Mountain」パターンだが、若干フリーテンポで乱打気味に始まる亜系であり、ボンゾが「Rock And Roll」のラストでみせたパターンなので、ある程度スタンダードなネタではある。これではなくても、楽曲の最後に楽器隊がぐちゃぐちゃに演奏して、サインでジャーン!と終るパターンでは、この手のことはやっているので、特別なことではないはず。

だからといって、才能がないとか平凡だということではない。 この手のイントロを繰り出すのは、ドラムの技術はもちろん、アレンジとしてバンドのコンセンサスを取る必要がある。どんなにドラムがカッコよくたって、他のメンバーから「それやっちゃダメ」とNGが出たら終わりなのだ。

この楽曲の聴きどころは、イントロのドラムだけではない。 イントロのリフはイーブンな4分の4拍子だが、歌が始まるヴァースに入るとなんとリズムがハネてシャッフルになっているのだ。それに気づくのがドラムの裏で入るスネアなので、ここも聴きどころ。そして、コーラスはイーブンなノリに戻る。こういうリズムチェンジの方法として非常にカッコいい楽曲なので、要チェックだ。

Nine Inch Nails/「You Know What You Are」

これはツーバスで刻みながらのフレーズになるので、「Painkiller」に近いパターン。NINはインダストリアル・メタルと言われ、とても機械的な打ち込みを組み合わせた特殊な音楽性。そこで、このイントロとリズムを前に出すのは、なかなかいいセンスしている。

実はこのドラムは元NirvanaのDave Grohlがプレイしている。Daveもボンゾスタイルを踏襲しているのでこういうパワープレイに出るのもお手の物。Daveを上手く楽曲に取り込んだTrent Reznorはさすが。

One Ok Rock/「完全感覚Dreamer」

シンプルではあるが、「Painkiller」と似たような構成。このイントロは今まで紹介したどのフレーズよりもシンプルで、音数が少ないので簡単に感じるかもしれない。しかし、簡単に聴こえるが、実は難しいというのが楽器演奏で、難易度に関わらず演奏はサラっとやってのけるのがプロの仕事。案外やってみるとテンポキープも難しいし、音のバランスと気を付けないといけないところは多々ある。

楽曲への勢い付けという意味でも、なかなかいい役割を果たしている。この曲がライブで始まる時の、この曲だと分かった時のテンションの上がり方はなかなかのもになるはずだ。

最後に

イントロのドラムのフィルインにスポットを当てて、楽曲を紹介した。こんな風に楽曲には色んなアプローチがあるので、そのポイントに絞った聴き方をするのもなかなか面白い。 今回はドラムだったが、ヴォーカル、ギター、ベース、キーボード、DJ…と色んな視点で音楽を切り取ってみてはいかがだろうか。

こちらからは、以上です。

関連記事