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【レビュー】バンドの中心が変わったKoЯn(コーン)『The Serenity of Suffering』

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The Serenity of Suffering

 

1.Insane
2.Rotting in Vain
3.Black Is the Soul
4.The Hating
5.A Different World (featuring Corey Taylor)
6.Take Me
7.Everything Falls Apart
8.Die Yet Another Night
9.When You're Not There
10.Next in Line
11.Please Come for Me
12.Baby
13.Calling Me Too Soon

オススメ曲→1、6、8、12

 

アメリカのNu MetalバンドKoЯnの2016年10月21発売の12thアルバム『The Serenity of Suffering』を聴いた。

今までのKoЯnだなと思う一方で、バンドのバランスや楽曲に若干の変化があったように思う。

 

今までのKoЯn

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今までのKoЯnはサラっと不協和音から始まり、へヴィなリフに落ち着く6、7、12の安心感と安定感は今まで通り。ヴォーカルのJonathan Davisの声も良く出ていて、2のブリッジでは2ndアルバム『Life is Peacky』の1曲目「Twist」の始まりのような唸り声を聴かせてくれるし、10のブリッジではちょっとアグレッシブにラップしてみせてくれる。安定のサウンドとテンポ感は変わっていないのだ。

 

バンドのバランスにや楽曲の変化

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バンドのバランスは今までに比べてHip-Hop感が少なく、メタル感がとにかく前に出ている印象を受けた。今までのどのアルバムよりもバンドの中心にドラムがいる。例えば2、6、9のギターやベースとドラムの絡み方はどのアルバムよりもリフとバスドラのシンクロが気持ちよく聴こえ、どのアルバムよりも太い音で存在感を出している。さらに、ビートが多彩なためリフとビートがぶつかる時のカッコよさとシンクロする気持ちよさを行ったり来たりする。さすがにドラムのRay Luzierも加入して4作目なのもあってバランスの良いところを狙ってきたんだろう。その分、ベース単体にならないと分からないくらいベースのFieldyのトレブルのガリガリした音がほとんどしない。この辺のバランスの変化はアルバム間での違いがあるので、今回のアルバムはそういうバランスだったのだ。

Ray Luzierが加入して良かったと思って書いた記事もある。 

dankantakeshi.hatenablog.com

 

 

そして、こんなにJonathanって歌うんだっけ?と思うくらい、メロディアスに歌い上げている。4のようにギターとヴォーカルだけという歌モノのような始まり方をしたのには驚いた。コーラスほど歌い上げてはいないが、こんな風にちゃんと歌いながら始まった曲でしっかり仕上がった曲ってあったっけ?と。もちろん、この曲のコーラスはしっかりキャッチーに仕上がっている。そう、全体的にコーラスの仕上りがキャッチーで耳に残る。ポップなメロディではないし、耳コピした限りそんなに綺麗な言葉は歌ってなさそうだがちょっと歌いたくなる。

 

総評

 全体としてはバランス的にはカッコいいし、キャッチーだし、今まで通りへヴィでグルーヴィなアルバムなので文句なし。今までのアルバムの不健康さが無くなってしまっているので、KoЯnの不健康さとか闇の部分が好きだとちょっと物足りないかもしれない。

あとは、SlipknotのCorey Taylorがフューチャリングされている5はそんなにいい曲だとは思わなかった。Corey Taylorがいる感じがあんまりしない。何なら「Sabotage」くらいバリバリの楽曲で来てほしかった。

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もう慣れてしまったので自分にとっては今更なのだが、KoЯnの音楽はとてもおどろおどろしくて不協和音とミドルテンポというノれるがずっと聴いているとダークサイドに落ちそうになる。それは、ハウルの動く城のような要塞とナウシカのドロドロじょゆたいの巨神兵が無理やりいろんなところをギシギシ言わせながら動いている音みたいなそんな音なのだ。ただ、これに慣れてしまうと寿司に対するワサビのように多少多くてツーンとするが、無いと寂しく感じる。これがメタルの怖さであり魅力の一つだ。そういうものを今回も示してくれる作品だった。

 

こちらからは以上です。