Jailbreak

新しい世界の切り取り方

アイドルの歌声の個性と無個性

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最近BiSHの楽曲をよく聴いている。楽器を持たないパンクバンドと名乗るだけあって、メッセージせいのある歌詞とバンドサウンドをベースとしたアレンジにとがった歌声は、自分のロックの琴線に触れてくる。とはいえ、実体はアイドルグループだ。

それと共に乃木坂46もかなり好きな部類のアイドルグループである。清潔感のある雰囲気と、分かりやすく美人がJ-Popとしてよい楽曲を歌うのはとてもよい。とてもアイドル然として、いわゆるアイドルの王道スタイルだと思う。

 

この2つのグループを比べると、明らかに違うのが歌声だ。BiSHは誰が歌っているか分かりやすいが、乃木坂46は誰が歌っているか分かりづらい。ヴァース・コーラス形式でいうコーラス、日本風にいうとサビはメンバー全員で歌うスタイルが崩れてきているのではないかとも思える。

 

乃木坂はAKBグループではないとはいえ、AKB系列ではあるので、古き良きアイドルのパターンを引き継いでいる。メンバー数が単純に多いのもあるが、個性的な歌声を持ったメンバーがいない印象がある。いや、個性的な歌声を求められないのだろう。2010年代以前のアイドルの常とう手段として、サビで全員歌うスタイルがあったように思う。モーニング娘も、SPEEDもサビはみんなで歌っていた。PVを見て初めて、どの部分を誰が歌っているか分かるなんてこともある。あまり歌が上手くない問題も含まれるのだが、歌だけでなく踊りもあるので、歌ばかりにリソースを割けないのもあるだろう。

 

それがBiSHだと事情が違う。コンセプトから違うのは確かで、可愛くて歌えて踊れるみたいなクラスのイケてる人が属するアイドルのようなものではなくて、陰キャで可愛いかどうか怪しくて踊れるかどうかよりも個性を売っていくような全然違う立ち位置にいるような感じがするのだ。そういうものもあって、サビはみんなで歌うのは最後の最後の大サビだけだったりするのだろう。

モーニング娘のOGの誰かが、自分の歌が使われるのがレコーディングではわからなくて、CDを発売して初めてわかったみたいな話があった。そのスタイルをBiSHがとっているかは不明だが、それくらいしていてもおかしくないとも考えてしまう。

 

アイドルの多様化はずっと前から感じていた。

 

アイドル自体が多様化しており、色んなアイドルが存在するのは今さら語るまでもない。いわゆる王道を行くだけでは難しい。差別化のための多様化で、コンセプトから違うアイドルがいるということなのだろう。

カヴァーをさせても、個性的に行くか、あえて個性を薄くいくかということがある。

今後、王道を行けない時に、音楽的に差別化していく方法として、サビをみんなで歌わない手法は一般的になっていきそうな気がする。それくらい、音楽の変化は大きくて、誰かがやったことはすぐ他の人が真似をする。個性的なことが、どんどん無効性になっていくんじゃないかということだ。例えば、秋元康が始めたという、女性が「僕」という歌詞を歌うのは、当時でこそ新鮮だったが、今では普通なことで、何ならAKBグループの常とう手段になっている。

こういう、一見そんなに珍しくないことを始めるのが難しい。そして、真似をするのはそんなに難しくない。なので、極端な才能と運を味方につけた人しか生き残っていけない。こうやって生存競争が進んでいく。

 

こちらからは、以上です。

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