Jailbreak

新しい世界の切り取り方

2020年上半期に自分がパワープレイしたアルバム9枚

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 2020年も半分が過ぎたので、恒例行事のよく聴いたアルバムをまとめておこうと思う。

それなりに音楽は聴いたが、音楽の評価にかける時間は減少傾向があった。とはいえ、時間がなくてもいい音楽に出会えている。アルバムは割とバランスが取れているのと、最近の作品が多いので、直近でオススメできるものばかりだ。

木村拓哉『Go with the Flow』

Go with the Flow (通常盤)

1.Flow
2.One and Only
3.I wanna say I love you
4.Unique
5.New Start
6.Leftovers
7.ローリングストーン
8.Speaking to world
9.サンセットベンチ
10.Your Song
11.My Life
12.A Piece Of My Life
13.弱い僕だから (session)

オススメ曲→2,5,9,11,12

 

別記事でも書いたのだが、キムタクって実は歌の個性が弱めなんだなってことと、ジャニーズの楽曲は相変わらずクオリティが高いなということに集約される。 

キムタクはSMAPの頃から分かりやすい歌声をしていたので、注目はしやすくはあった。それがソロになって、1曲を通して歌うと節回しが気になる曲もあった。例えば、「サンセットベンチ」はピアノとストリングスだけで、前半はほぼピアノとヴォーカルだけという実力が問われる曲だった。そのAメロやBメロの歌いまわしはキムタクそのもので、若干エグ目に歌って、正直そんなに好きではない。雑に歌っているわけではないのだけど、そこでそんなにこねくり回す!?と思いながら、どうも落ち着かない。でも、この楽曲のキモはやっぱりサビなんだなと分からせる圧倒的力があった。

サビの歌詞、”愛してる ずっと愛してる”がこんなに似合う男って、キムタク以外にいるだろうか。福山雅治あたりもいいんだけど、キムタクのストレートな「愛してる」ってドラマでもそうそう聴けないんじゃないだろうか。この一点突破にはやられた。

他の楽曲も槇原敬之やB'zの稲葉浩志、Superflyの裏方多保孝一と自分が好きなアーティストが提供した楽曲が含まれていて、これもまたよかった。前述の「サンセットベンチ」のようなバラードは少なくて、アップテンポに歌う「One and Only」なんかはキムタクの良さが出ていて、合う曲合わない曲もあるよなという至って普通の感想しか出てこない。

全体を通して楽曲のクオリティがピカイチなので、邦楽の他のアルバムよりもトラックを飛ばさずによく聴いたアルバムだったのは間違いない。

Five Finger Death Punch『F8』

F8

1.F8
2.Inside Out
3.Full Circle
4.Living The Dream
5.A Little Bit Off
6.Bottom Of The Top
7.To Be Alone
8.Mother May I (Tic Toc)
9.Darkness Settles In
10.This Is War
11.Leave It All Behind
12.Scar Tissue
13.Brighter Side Of Grey
14.Making Monsters
15.Death Punch Therapy
16.Inside Out (Radio Edit) 

オススメ曲→2,3,6,7,8,10,12,16

 

Five Finger Death Punch(以下、5FDP)ってこんなキャッチーさがあったっけ?というのが第一印象のアルバム。

このアルバムは割と最近聴き始めて、思っていたより聴きやすい作品だったので、よく聴いたというのが本当のところ。5FDPってもっとデス声で歌って、ベタベタのアタックとへヴィな差ウントというイメージがあった。そして、メロディアスさがあまりないので、ただ激しさを歌っているというというイメージ。それもそのはず、自分が持っている作品は1stアルバム『The Way of the Fist』(2007)、2ndアルバム『War Is the Answer』(2009)、3rdアルバム『American Capitalist』(2011)の3枚で、もう10年も前の作品しかない。そりゃ、イメージも変わるし、アメリカで売れ続けているのだから、それなりに評価もされてきているはずだ。今回たまたまチェックして本当に良かった。

ラジオでも流れまくっているのが、「Inside Out」らしく、確かに自分もこの曲の雰囲気でこのアルバムに引き込まれた。

案外歌ってるし、何ならコーラスの歌声こそガナってはいるが、メロディアスさはある。太い歌声だと思えば、全然悪くない。むしろ、へヴィなバンドサウンドに負けないカッコよさがある。この辺で、アレ?この作品はイケるのでは?と思い始めた。

個人的には、3曲目「Full Circle」、7曲目「To Be Alone」は特に気に入った。

いずれもコーラスのメロディアスさが刺さってくる。しかも、ベタベタに前にへばりつくようなヘヴィさがありながら、余韻による広がりがあるという壮大さという空間に音が満杯になる感覚がある。この壮大な音の壁とその風圧を感じながら、メロディアスさがあるという、天国の様な地獄のサウンドはもはや唯一無二。これぞ新章の始まりだ。

激ロックのインタビューを見ると、この作品の生みの苦しみやメンバーの変化について、しっかりと答えているのでとても読みごたえがある。この作品が気に入ったら、是非合わせて読んでもらいたい。

 

片平里菜『一年中』

一年中

1.デザート
2.冬の魔法
3.ラズベリータルト
4.sunny(album mix)
5.夏が待ちきれない
6.一日中
7.JUMP
8.赤い目の空
9.bloom in the city(album mix)
10.オレンジ
11.晴天の兆し
12.明日には 

オススメ曲→2,3,4,5,6,7,8,10,11

 

片平里菜の新章が初めての1枚になるなんて、最高の出会いだった。

片平里菜を知ったのは、スカパラとのコラボ曲「嘘をつく唇 feat.片平里菜」だった。これがアンニュイで、何とも言えない哀愁感があって、2017年上半期にパワープレイしている。

あれから約3年、新作が発表されたので、チェックすることにした。正直、過去の作品は全くチェックしていないという、自分には珍しいパターン*1のアーティストだったのだけど、これが大成功だったようだ。

アルバム全体がバンドサウンドで出来上がっていて、ただアコギを弾いて歌っている感じとは全然違った。自分は、アルバム全体で、ただアコギを弾いて歌うだけのシンガーソングライターはあまり好きではないので、この点が非常によかった。キーボードも入った、4ピースバンドでギターがあまり歪ませ過ぎないジャキジャキとしたエッジーなサウンドの中で、片平里菜の歌声が透き通って芯だけ伝わってくる。

アルバム全体を通して、バンドサウンドで、メチャクチャキャッチーな曲もないし、聴きたくないなと思うような曲も無くて、ずっと聴いていられる。 これは3年ほど前にも書いた「ずば抜けて良い曲はないが、全体としていいアルバム」のパターンで、珍しいパターンの良盤だと言える。

あえて挙げるなら、「冬の魔法」のイントロがSimply Redの「Stars」に似ていて、好きだし、「赤い目の空」のイントロのコーラスの感じとかちょっと重めのテンポのドラムの刻みとギターの絡みが好きだったりする。

 

歌詞の世界観は、もう少しゆっくり聴き込むことにしようと思っている。

このアルバムのインタビューが音楽ナタリーに載っていて、ベストアルバム後の次の一手として、アコギを持って歌っているイメージを変えたくてバンドサウンドを狙っていたり、とにかく壊しに行ったことを語っている。

アルバム全体のイメージとして、メチャクチャな明るさは無くて、薄曇りの中に所々光が差し込むくらいの感じがしている。この所々の光が片平里菜の歌声であって、薄曇りは普段の生活感なのかなと、感じている。日曜の午後の黄昏時くらいに聴くのが丁度よい作品なんじゃないかと思っている。

 

Revolution Saints『Rise』

Rise

1.When the Heartache Has Gone
2.Price We Pay
3.Rise
4.Coming Home
5.Closer
6.Higher
7.Talk to Me
8.It’s Not the End (It’s Just the Beginning)
9.Million Miles
10.Win or Lose
11.Eyes of a Child
12.Talk to Me (Deen’s Vocal Version)  

オススメ曲→1,2,3,9

 

シンプルに一言、Journeyの新作だよね? 

自分の新しい音楽の聴き方は、手に入れてからすぐに聴くことは少ない。数日から半年後に聴くので、その頃には購入の頃の情報が抜け落ちていることが多い。Revolution Saintsと言われて全然ピンとこないのだけど、Deen Castronovo、Jack Blades、Doug Aldrichのバンドだと思うと、一気に景色が変わる。バリバリのハードロックバンドじゃないかと思わざるを得ないし、実際ガッツリ王道のハードロックだった。

古き良きアメリカンハードロックなのだけど、問題はヴォーカル。このメインヴォーカルはドラムのDeen Castronovoで、以前自分が歌えるドラマーの一人として紹介したことがある。

Deen Castronovoはむさ苦しい見た目からは想像できない、ハイトーンヴォイスの持ち主。そして、その歌声が完全にJourneyの歴代のヴォーカリストのそれと酷似している。古き良き王道のハードロックでJourneyの歌声は、それはもうJourney。そんなこともあって、最初聴いたとき、「Journeyの新作か?」と驚いた。7曲目の「Talk to Me」ではちょっとJack Bladesの歌声も聴けるが、メインヴォーカルははあくまでDeen Castronovoである。

古き良きハードロックというとちょっと悪いイメージがありそうだが、そんなことはなくて、王道のハードロックを気持ちよく聴ける。しかも、全体にアップテンポでメジャーキーの曲が多いので、出勤の時に聴くにはとても気持ちが良かった。

 

SCANDAL『Kiss from the darkness』

Kiss from the darkness(通常盤)

 1.Tonigh
2.マスターピース
3.Fuzzy
4.最終兵器、君
5.ランドリーランドリー
6.NEON TOWN ESCAPE
7.セラミックブルー
8.記念日
9.まばたき
10.A.M.D.K.J.
11.月

オススメ曲→3,5,7,10

 

安定のSCANDAL。楽曲に死角なし。

SCANDALはこのブログで何度も取り扱うくらい、好きなバンドの一つと言っても過言ではない。デビュー当時から知っていて、その成長を知っていて、近年のバンドの楽曲の仕上がりに妙に納得しているという3拍子揃った状態。本当によく仕上がっていると思う。

新作は基本的にはチェックするのだが、 たまたまアンテナが低かったのか、本作の発売のタイミングを逃した。そして、ある時CMから流れてきたSCANDALのツアーのCM。そこで流れていたのが、「A.M.D.K.J.」だった。このPVがまたカッコイイんですよ、マジで。

白い背景や床に、黒い衣装のメンバー達。RINAのドラムのシェルの色だけ赤いのは何とかならなかったのか!?というツッコミはあるのだが、それも些細なことなくらいカッコイイ。サビの歌詞のカッコよさに、ハモリがガッツリキマっていて、アップテンポな中裏を強調するリズム、いずれもカッコイイ。このテンポでサビで裏打ちを強調するこのリズムはアリなのか?とも思ったが、イントロの様に大きな4ビートだとシャキっとしないんだよなと分かり、このアプローチに妙に納得したりもした。

他にも3曲目の「Fuzzy」のようにMAMIの浮遊感があるギターが押しまくる今風な曲があったり、TOMOMI作詞作曲の「ランドリーランドリー」のようにゆったりとしたポップな曲があるし、「最終兵器、君」のように声をケロケロにしてみたり、「まばたき」のようにデジタルに寄せてみたりと、バンドサウンドを基本としながら楽曲のふり幅はそこそこある。それでも、前述の「A.M.D.K.J.」や「Fuzzy」とともに「セラミックブルー」のようにストレートなロックサウンドをやり切ってくれる感じは、本当にたまらない。

ちなみに、「A.M.D.K.J.」は”あみだくじ”と読むようで、こういう歌詞が書けるようになったRINAの作詞家としての成長も嬉しかったりする。

東京スカパラダイスオーケストラ『TOKYO SKA TREASURES 〜ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ〜』

TOKYO SKA TREASURES ~ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ~(CD3枚組+Blu-ray Disc2枚組)

[DISC 1]
01. Good Morning~ブルー・デイジー feat. aiko
02. リボン feat. 桜井和寿 [2020 Remaster]
03. めくれたオレンジ feat. 田島貴男 [2020 Remaster]
04. 銀河と迷路 [2020 Remaster]
05. 道なき道、反骨の。 feat. Ken Yokoyama [2020 Remix & Remaster]
06. 流星とバラード feat. 奥田民生 [2020 Remaster]
07. 流れゆく世界の中で feat. MONGOL800 [2020 Remaster]
08. 白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介 (UNISON SQUARE GARDEN) [2020 Remaster]
09. 嘘をつく唇 feat. 片平里菜 [2020 Remaster]
10. Pride Of Lions feat. 伊藤ふみお [2020 Remaster]
11. 縦書きの雨 feat. 中納良恵 [2020 Remaster]
12. 爆音ラヴソング feat. 尾崎世界観 [2020 Remaster]
13. ちえのわ feat. 峯田和伸 [2020 Remaster]
14. All Good Ska is One feat. Angelo Moore [2020 Remaster]
15. Glorious [2020 Remaster]

[DISC 2]
01. 明日以外すべて燃やせ feat. 宮本浩次 [2020 Remaster]
02. 星降る夜に feat. 甲本ヒロト [2020 Remaster]
03. カナリヤ鳴く空 feat. チバユウスケ [2020 Remaster]
04. メモリー・バンド [2020 Remaster]
05. サファイアの星 feat. Chara [2020 Remaster]
06. 野望なき野郎どもへ feat. TOSHI-LOW (BRAHMAN / OAU) [2020 Remaster]
07. ずっと feat. Crystal Kay [2020 Remaster]
08. Wake Up! feat. ASIAN KUNG-FU GENERATION [2020 Remaster]
09. 追憶のライラック feat. ハナレグミ [2020 Remaster]
10. Diamond In Your Heart feat. 細美武士 [2020 Remix & Remaster]
11. 美しく燃える森 feat. 奥田民生 [2020 Remaster]
12. 風のプロフィール feat. 習志野高校吹奏楽部 [2020 Remaster]
13. 君と僕 2010 feat. 斉藤和義 [2020 Remaster]
14. 閃光 feat. 10-FEET [2020 Remaster]
15. DOWN BEAT STOMP [2020 Remaster]

[DISC 3]
01. Paradise Has No Border feat.さかなクン [2020 Remaster] (music by NARGO)
02. Break into the Light~約束の帽子~ [2020 Remaster] (music by 沖祐市)
03. 火の玉ジャイヴ [2020 Remaster] (music by 冷牟田竜之)
04. 太陽にお願い~Wish Upon The Sun~ [2020 Remaster] (music by 茂木欣一)
05. CALL FROM RIO [2020 Remaster] (music by 川上つよし)
06. そばにいて黙るとき-Silent By Your Side- [2020 Remaster] (lyrics by 谷中敦 / music by 沖祐市)
07. Perfect Future [2020 Remaster] (music by 北原雅彦)
08. 5 days of TEQUILA [2020 Remaster] (music by 加藤隆志)
09. Horizon [2020 Remaster] (music by 川上つよし)
10. Natty Parade “Shaken Mix” [2020 Remaster] (music by 北原雅彦)
11. STROKE OF FATE [2020 Remaster] (music by 川上つよし)
12. 暗夜行路 [2020 Remaster] (music by 沖祐市)
13. THE Movin’ DUB [On The Whole Red Satellites] [2020 Remaster] (music by GAMO)
14. White Light [2020 Remaster] (music by 加藤隆志)
15. One Night [2020 Remaster] (music by 大森はじめ)
16. 水琴窟-SUIKINKUTSU- feat. 上原ひろみ [2020 Remaster] (music by NARGO)
17. TONGUES OF FIRE [2020 Remaster] (music by 川上つよし)

 

The Best of Best盤。スカパラのベスト盤がアップデート。

あまりベスト盤をここで挙げることは少ないのだけど、これだけはちょっと特別だった。スカパラのベスト盤、アップデートされているので、是非手に入れましょうということです。しかも、コラボが満載なので、全部最高。

 

木村カエラ『ZIG ZAG』

ZIG ZAG

1.ZIG ZAG feat. BIM
2.時計の針〜愛してもあなたが遠くなるの〜
3.Wish upon a star
4.おはようSUN
5.時計の針〜愛してもあなたが遠くなるの〜 VaVa Remix

オススメ曲→2,4,5

 

木村カエラの哀愁感。やっぱり最高。

アルバムか?と言われると、アルバムでもないのだけど、ミニアルバムのようなので一応、ここで紹介をしようと思う。木村カエラは毎回作品をチェックするアーティストの一人で、今回もチェックしたというわけ。タイトルの「ZIG ZAG」はヒップホップな雰囲気はそんなに自分の琴線に触れず、「時計の針〜愛してもあなたが遠くなるの〜」が最高だったということだった。

サビの”愛しても 愛しても あなたが遠くなるの”という印象的な歌で、時間が経過して失ったことを、時間を戻すことで取り戻したいというシンプルな歌詞。過去を振り返ると、ある時点に戻りたいということはあるので、あるあるネタといえば、そうかもしれない。

個人的に木村カエラの好きなポイントは、ロック感・哀愁感・童謡感の3つだと過去に書いたことがある。

今回の作品は、この中の哀愁感がよいフックだったので、よく聴いた。 

 

Survive Said The Prophet『Inside Your Head』

Inside Your Head(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)

1.Inside
2.Your Head
3.Calm:Unison
4.Mukanjyo
5.Bridges
6.Last Dance Lullaby
7.Hero
8.Heroine
9.red
10.Never; Saying Never
11.3 A.M.
12.03:01

オススメ曲→2,3,5,6,8,9,11

 

日本のバンドでも、十分海外で戦えるぞ!と思わせてくれる実力を思い知らされる作品! 

Survive Said The Prophetは2017年下半期にパワープレイしたアルバム『WABI SABI』を1度紹介したことがある。

 

英語で歌って、モダンへヴィなサウンドとキャッチーなメロディを歌ってしまえば、それだけでカッコイイというものではない。やはり、そのベースとなるセンスだったり、アプローチを考えるアイディアの力が大きい。例えば、2曲目の「Your Head」は邦楽とは言い難い、洋楽に近い雰囲気がある。

アメリカのBrand of Julezや、オーストラリアのBetween You & Me、ドイツのFlash Forwardあたりの近年のエモの新機軸になるようなところと、対バンしても遜色ない楽曲を提示してくれる。前述のバンドはいずれも昨年パワープレイしたバンド達で、とても良い感覚を持って、ロックの先端側にいるアーティストばかりだ。

前述の「Your Head」や、「Heroine」のようにヘヴィに推していく曲や、「red」のように徐々に盛り上がってヘヴィになっていく曲であったり、「3 A.M.」のようにヘヴィなバンドサウンドを最後まで引っ張って使わないバラードであったりと、ロックとしては当たり前のアレンジなのだけど、いずれもヴォーカルのYoshの歌唱力が間違いない力を示している。こういういい感覚、と実力と、サウンドを作り上げる力を、分かりやすく示されると屈服せざるを得ない。

最後の「3 A.M.」からの「03:01」の流れはアルバムとしてちょっと鳥肌が立つレベルの出来上がりなので、必聴。

Black Swan『Shake the World』

Shake the World

1.SHAKE THE WORLD
2.BIG DISASTER
3.JOHNNY CAME MARCHING
4.IMMORTAL SOULS
5.MAKE IT THERE
6.SHE'S ON TO US
7.THE ROCK THAT ROLLED AWAY
8.LONG ROAD TO NOWHERE
9.SACRED PLACE
10.UNLESS WE CHANGE
11.DIVIDED / UNITED
12.MAKE IT THERE (ACOUSTIC REMIX)  

オススメ曲→1,3,5,6,9

 

好きなミュージシャンのやっている音楽が、好きな音楽となる。 

昔やっていたバンドが活動していなくて、自分が好きなミュージシャンがたくさんいる。それは、自分が楽器のプレーヤーだからもあるが、この人のギターが好きとか、この人のドラムが好きみたいな、バンドに寄らない個人が好きということに他ならない。

スーパーグループ*2の作品ができると知って、早速メンバーを調べたら、これはハマるに違いないメンバーだった。ギターのReb BeachはWhiteSnake時代のライブ盤が最高で大好きだし、ベースのJeff PilsonのDokken時代のコーラスや楽曲は大好きだし、ドラムのMatt StarrはボンゾっぽいパワフルなドラムスタイルでMr.Bigを支えてくれて大好きという、好きなメンバーの寄せ集め。ちなみに、ヴォーカルのRobin McAuleyは良く知らなかったが、Michael Schenkerと活動していたりとハードロックシンガーだった。

これまた王道のハードロックで、どうも80年代~90年代くらいの感じが漂う。自分はこの辺のハードロックは大好きなので、非常に嬉しい。PVでしか分からないが、Jeff PilsonやMatt Starrがコーラスに参加できそうなスタイルなのも、個人的にはツボ。

前述のRevolution Saintsも王道のハードロックなのだが、Black Swanのハードロックのスタイルとは異なるものだと思う。少なくとも今回の作品に限っては、Revolution~は陽気でカラっとしたアメリカ西海岸っぽいハードロックで、それに対して、Black Swanは憂いを帯びてちょい重めのアメリカ東海岸っぽいハードロックという印象。実際、『Shake the World』の楽曲はキーがマイナー(短調)の曲が多い。じゃあ、キーがマイナーだから暗い曲ばかりかというとそんなことは無くて、悲しさよりも憂いを帯びたカッコよさみたいなものがある。そして、Robin McAuleyのハードロック然とした歌唱がこれにピッタリ。

スーパーグループにも関わらず、こんなにバランスが取れて、いい楽曲ばかりだななんて、最初の作品だからか?と思いつつ、次回作にさらなる期待をしている。 

 

Tristan『The Spice of Five』

The Spice of Five

1.Hands Up
2.I Left My Jacket in the Van
3.1985
4.Amplify
5.Where Do We Go from Here
6.First You Believe
7.Bring It On
8.Neon Girls
9.Don’t Skip This
10.Night Train
11.Down Town
12.Travel
13.Hands Up (In Studio Live) [Japan Bonus Track]
14.First You Believe (In Studio Live) [Japan Bonus Track]
15.Jacket (In Studio Live) [Japan Bonus Track] 

オススメ曲→1,2,3,4,6,7,8,10,12

 

オシャレな音楽の手に入れ方としての、Acid Jazzを教えてくれたTristan。 

あまり普段聴かないジャンルとして、R&B/Soulといった分野がある。別に嫌いなわけではないのだが、なかなか手が回らない。そんなときに、新作アルバム紹介の中にあったのがTristanだった。

自分は、どうもロック方面ばかりにアンテナが立っているので、オシャレなジャズやブラックミュージック関連の情報に疎い。だからこそ、パリっと決まったリズムとオシャレな雰囲気の楽曲が刺さりまくるのです。

Tristanはオランダのソウルジャズ・フュージョンバンド。アシッドジャズのジャンルにも分類される。そして、フロントマンのヴォーカルEvelyn Kallanseeが女性ヴォーカルで、歌い方もソフトでバリバリ前に出てくることはない。それがまた、ロックと違って優雅で華やかだ。

このアルバムの中では「I Left My Jacket In The Van」が一番好きで、ドラムは2ビートなのに、フィールは16分で刻まれていて、さらに1拍目の裏を強調するのでスリップビートのような感覚がある。こういうズラしとリズム感はなかなかロックでは少ないアプローチだ。ギターの単音カッティングや、フレットレスベースのようなモアンとした音があるかと思ったら、バキバキのスラップが出てきたりと 、とにかく楽曲に合わせたアプローチがとても良い。

こういういい感じのバンドに出会うことは少ないのと、良くも悪くもロックの持つ下品さがないのでとても気持ちよく聴けるサウンド。テンポも良く自然に気分が上がるので、朝によく聴いていた。

 

Shrezzers『Relationships』

Relationships [Explicit]

1. Foreword
2. Mystery (feat. Dmitry Demyanenko of Shokran、ex-Shrezzers)
3. Knukles (feat. Slicky D)
4. Anaraak (feat. Ronnie Canizaro of Born Of Osiris)
5. E.M.O.J.I.Q.U.E.E.N (feat. Jared Dines and T. Wild of Wildways、ex-Sarah Where Is My Tea)
6. Vivacious
7. Reminiscent (feat. Natly)
8. Delight
9. Neglect (feat. Aaron Marshall of Intervals)
10. Spotlight (feat. Sergey Golovin)
11. Locals (feat. Kvik)
12. Maverick (feat. Aaron Matts of Betraying The Martyrs)
13. Relationships

オススメ曲→2,3,4,5,7,8,9,10,11,12

 

オシャレあり、へヴィあり、グルーヴィあり、メロディアスあり、デス声あり、ジャズあり、を一つの音楽にしちゃうハイブリッドなセンスに脱帽。 

ホント多彩と言ってよいのが、このアルバム。 基本はメタルっぽいゴリゴリの音をしているのだけど、サックスがいて、これがいい感じのピリっと効いてくる。時にオシャレに色気を醸し出し、時にヴォーカルのスクリームのように点まで突き抜けるような存在感を出す。グルーヴィなメタルで、ずっとゴリゴリ鳴っているわけではないので、面で鳴らず点で重たいので、案外サックスもいい感じで生きている。

日本だと、思い浮かぶのはUVERworldあたりくらいなので、自分がメタルっぽい音楽性でサックスがいるバンドを全然知らないのは大きいし、それが故にとても印象に残る。UVERworldはサックスがあっても、バックが面で鳴っているのが多いので、またちょっと違う。

このアルバムで、凄いのが フィーチャリングアーティストが多いこと。ラッパーのSlicky Dとコラボすると、ニューメタルのような仕上がりになって、しかもカッコイイ。女性ヴォーカルNatlyと組むと、ヴォーカルのIssam Arragのクリーンヴォーカルのさらに上行くクリーンヴォーカルで居場所を作ってカッコイイ。他にもゲストギタリストが参加してもカッコイイ。このカッコよさは、Shrezzersの音楽が隙間が多いというのが大きくて、全体的に面で音が鳴らないで点で音が鳴っているということが大きいと思う。面で音が鳴ると壁のようになるのだが、点で音が鳴ると、途中に稲妻が鳴るだけで、それ以外の部分で鳴る音が浮き出てくる。こういうアレンジがされているのが大きい。

このバンドがロシア出身だというから、ロシア恐るべし。 

 

最後に

アルバムで既存の音楽を掘り起こしたものはなく、曲編では以前から保有していた音楽を掘り起こすことがそこそこあった。やはり、アルバム単位で聴いていることが前提となるので、1曲だけ聴いてそこからアルバムを聴こうとはならなかった。

今回のアルバムで言うと、邦楽だとキムタクの『Go with the Flow』とSCANDALの『Kiss from the darkness』が同率でよく聴いていて、洋楽だと圧倒的にShrezzers『Relationships』を聴いていた。さらに、一番よく聴いたのはShrezzers『Relationships』だったかなと。2020年の上半期はShrezzers『Relationships』が一番だった。

 

こちらからは、以上です。

こんな記事も書いています

*1:普段だと気に入ったアーティストの過去作品はすべて手に入れて、聴きまくるのが自分のパターン

*2:すでに成功した有名なミュージシャンが集まったグループのこと