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Superflyと中村達也がタッグを組んだらスゴいことにしかならない~Superfly & The Lemon Bats~

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算数だと、1+1=2だが、人間はそうは上手くいかない。

一流のアーティストが一流のアーティストと共演したからといって、必ず良い結果が生まれるわけではない。

1+1=-100になることだってある。

ただし、上手くいくと1+1が500にも1000にもなることがある。

 

人と人が組むことによってカッコいい楽曲を残した例が確実にある。

それはSuperflyと中村達也がタッグを組んだ時である。

 

今回はスゴイ人とスゴイ人が組んでできたカッコいい曲を紹介したい。

 

Superflyと中村達也

Superfly BEST (通常盤)

 

Superflyは越智 志帆のソロユニット。

元々はギターの多保孝一とのユニットだったのだが、多保が表舞台に出たくないとの理由で現在の形となる。

その音楽性はロックンロールやブルースやソウルをベースとしていて、志保のパワフルなハイトーンボイスが一番の売り。

そんなSuperflyの分かりやすい魅力を理解するには2ndシングルのマニフェストを聴けばわかる。


Superfly - マニフェスト

マニフェスト

マニフェスト

  • Superfly
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

こんなにロックをカッコよく歌える女性アーティストは少ない。

日本ではトップクラスのヴォーカルと古臭くて新しい楽曲はとても魅力的である。

 

 

prints (プリンツ) 21 2011年夏号 特集・中村達也 [雑誌]

 

中村達也はドラマーである。

役者としての活動もあるが、今回は省略させてもらう。

中村達也が在籍したバンドは多々あり、サポートメンバーとしてライブに出演することもしばしば。

そんな野良ドラマーと言っても過言ではない中村達也の在籍したバンドで一番有名なのがBLANKEY JET CITYである。

BLANKEY JET CITYはロックンロールバンドだが、浅井健一の独特な詩の世界と歌がメインとなってとてつもない個性を発揮するバンドだった。


Blankey Jet City ロメオ

 

いろんな楽曲がありすぎてこれを聴けばBLANKEY JET CITYが分かる・中村達也が分かるという曲はない。

ストレートなロックでハイテンポでも勢いを殺さないドラミングと野性的なアクション。

それでいて、手数は多く簡単に飽きてしまうようなドラムは叩かない。

それはまさに野良ドラマーとして生きてきた生き様そのものが表れている。

 

 

Rock And Roll Hoochie Koo 

 

Superflyと中村達也が初めてコラボしたのがこの曲。

シングルの「My Best Of My Life」や「Wildflower & Cover Songs:Complete Best 'TRACK 3'」で聴くことができる。

 

 

この曲に関しては逸話がある。

そもそもは志帆が、かねてから好きだったというリック・デリンジャーの代表曲であり偉大なるロック・アンセムの1曲「ロックンロール・フーチー・クー」をカバーしたいと言い出したことがきっかけのようだ。

提案を受けたプロデューサー蔦谷好位置は、この楽曲を演るなら超ロックな個性派ミュージシャンとやるのが面白いと判断、それぞれのミュージシャンと志帆の激突で物凄いケミストリーが生まれることを志帆に逆提案し、今回の夢の超ド級セッションが実現することになったという。

ドラムに中村達也(Ex.Blankey Jet City)、ベースに日向秀和(STRAIGHTENER)、ギターに百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)という面々に、Superflyのライヴ・サポートギタリストの草刈浩司が加わったこのバンドは、当然のように一緒にスタジオに入り、一発録音でレコーディング。5人個性がぶつかり合う化学反応によって、「ロックンロールフーチークー」は、オリジナルに勝るとも劣らぬ個性的なカバー作品を生み出したという。

BARKSより引用

 

蔦谷好位置が良い仕事をしたといえばそれまでなのだが、これは本当に始まりに過ぎなかった。

 

 

 

Rock and Roll Hoochie Koo

Rock and Roll Hoochie Koo

  • Superfly
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

志保のパワフルな歌声がゴリゴリのロックサウンドの中でも突き抜けている。

この存在感こそ彼女の歌声の最大の魅力。

そして、日本人だけどそこまで英語が下手じゃない。

 

 

この「Rock And Roll Hoochie Koo」はリックデリンジャーのカヴァーで、原曲を聴くといかにカヴァーの方がへヴィなサウンドになっているかが分かる。


Rick Derringer - Rock and Roll, Hoochie Koo

 

原曲は原曲でカッコいいのだ。1973年のサウンドにしては、かなりへヴィなサウンド。

この楽曲をSuperflyのスーパーバンドが料理したら超豪華になったわけだ。

 

志保の歌の上手さは分かるが、中村のドラムの凄さが分からないなら、この映像をご覧いただきたい。

 


スーパーフライ ロックンロールフーチークー

 

中村のドラムがスタジオバージョンと異なるのが分かるだろうか。

細かいフィルイン、楽曲の流れを意識しつつ繰り出すリズム。

それは他のメンバーを意識しつつ、音楽を感じて反応して音を紡いでいる。

 

予定調和の決まった通りに叩くドラムとはわけが違う。

これはそこまで取り決めをしていないことと、そんな取り決めをしなくても最高にカッコいい音楽を作り出すことができるという証明だ。

 

そして、ドラムセットが1タム1フロアの3点セットにクラッシュとライドシンバルが1枚ずつ。

こんなミニマムなセットで紡ぎだすリズムが本当に多彩。

巨大なセットに頼って多彩な音や手数を出せるのは当たり前で、最低限のセットで最高の手数とグルーヴを出せればいいと言われている気がする。

 

スタジオバージョンでは最後に雄叫びまで披露している。

良い意味で普通のドラマーとは到底思えない。

 

 

 

Free Planet

Rock And Roll Hoochie Kooから約1年。

またあのコラボが帰ってきた。

 

ただし、今回はSuperflyのオリジナル。

「Wildflower & Cover Songs:Complete Best 'TRACK 3'」収録のFree Planetである。

 


Superfly - Free Planet

Free Planet

Free Planet

  • Superfly
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

Superfly史上最速のテンポとリズムを食いながらのグルーヴはスピーディーだけどとてもフックがある。

バンドは1発録音されており、その臨場感がたまらない。

 

正直、この曲の歌詞はあまり意味がないと思っている。

それよりも早口で歌詞を詰め込んで、メロディが音程を行ったり来たりすることでとにかくスピードと勢いを表している。

 

一方の中村達也は2フロアになってはいるが、そのドラミングの手数の多さ・テンポアップによるしなやかさが増している。

このテンポで食ったリズムを叩き続けるのは結構大変なこと。

そのうえでやや重めのビートを刻んでいる点はよく聴いていただきたい。

 

もちろん、他の楽器隊も素晴らしいのだがその中心であり根底を支えているのは中村達也のリズムに他ならない。

 

 

Beep!!/Sunshine Sunshine

 

 

 中村達也はSuperflyの他の作品にも参加している。

12thシングルの「Beep!!/Sunshine Sunshine」だ。


Superfly - Beep!!

Beep!!

Beep!!

  • Superfly
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 

この曲自体も素晴らしいのだが、今までの2曲からすると落ち着いている、よく言えばしっかりスタジオでアレンジした仕上りになっている。

 

それよりも大事なことは、この初回特典DVDに前述のセッションメンバーがSuperflyの脇を固めてSuperfly & The Lemon Batsとして行ったライブパフォーマンス&その舞台裏が収められている。

 

Superfly & The Lemon Batsのメンバーは以下の通り。

Superfly(Vlocal)

百々和宏(Guitar)

八橋義幸(Guitar)

日向秀和(Bass)

蔦谷好位置(Keyboards)

中村達也(Drums)

 


Superfly - Beep!! 初回特典DVD Trailer

 

 

このDVDの紹介を見ていても、フロントマンはSuperflyのはずなのに中村達也の存在感が半端じゃない。

 

それにしても、中村達也のドラムはいい音がしていて、リハでのスネアは凄く気持ちいいバズ音がしている。

本番のスネアはもっとチューニングが低いのだが、太くていい音を出している。

 

特典映像は「Alright!!」「Free Planet」「マニフェスト」「誕生」が収録されているが、それ以外のカヴァーのライブ映像があるので紹介しておく。

 


SUPERFLY WITH THE LEMON BATS WHITE ROOMLIVE

 

 

Superflyのカヴァーは本当に良いセンスで選曲していると思う。

もちろん、それを表現するだけの歌唱力とバンドのパワーがあってこそなのだが。 

 

 

 

最後に

Superflyはデビュー当初から曲は聴いていて、マニフェストを聴いてこいつはただものじゃないと思った。

そして、Rock And Roll Hoochie Kooのカヴァーを聴いてから、中村達也を意識して聴くようになり大好きになった。

 

カヴァー曲なのだけど、完全に自分たちのものにして全然別物にして別な価値を創造している。

これだからカヴァーを聴くのは止められない。

 

今なかなかここまで個性をぶつけ合い、音で勝負しあっている音楽を聴くことが少ないんじゃないだろうか。

確かに整った音楽はスッと入ってくるし、邪魔になることは少ない。

しかし、大音量で尖ったパワフルな音楽は心を揺さぶる。

 

これだからロックはやめられない。

 

 

こちらからは以上です。

My Best Of My Life

My Best Of My Life

 

 

Wildflower & Cover Songs;Complete Best 'TRACK 3'(通常盤)

Wildflower & Cover Songs;Complete Best 'TRACK 3'(通常盤)

 

 

Beep!!/Sunshine Sunshine(初回限定盤)(DVD付)

Beep!!/Sunshine Sunshine(初回限定盤)(DVD付)

 

 

 

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