2017/02/04 歌詞についての記載を修正
音楽はそれを聴くだけで楽しい。
だけど、せっかくだからもう一歩深く楽しみたいので、歌詞の意味を考えてみたり、曲の構成を考えてみたり、各楽器のアプローチを考えたり、その歴史を漁ってみたり。
しかし、そもそも楽曲自体が面白かったらどうだろう。
モノマネが上手とか完コピされていてり、有名な曲同士が曲が組み合わせられていたり。
そんな音楽あります!
分かる人が聴くと面白い音楽だったりするけど。
とりあえず、YouTubeで聴いてみ。
Beatallica - Abbey Load [full album]
この1曲目がBeatlesの「Come Together」とMetallica「Through the Never」のマッシュアップだと気づいた方、あなたは相当音楽マニア。
そんな一風変わったバンド、Beatallicaを紹介する。
Beatallicaについて
01年に冗談で結成され、ネットと口コミで話題沸騰。
ビートルズの曲をメタリカ風にカヴァーする噂の4人組トリビュート・バンド、ビータリカ。
ビートルズの版権を持つ〈SONY/ATW MUSIC PUBLISHING〉が、ビートルズの著作権を侵害していると激怒し、ウェブサイトが閉鎖に追い込まれてしまったものの、ビータリカのファンが猛反対し見事に復活。
この措置を撤回するよう求める多数の抗議文が同社へ寄せられた他、メタリカのラーズ・ウルリッヒがメタリカの顧問弁護士を仲介役に立てて応援!
渦中の彼らが2007年7月にファースト・アルバム『Sgt. Hetfield's Motorbreath Pub Band』をリリース!メタリカが去ったSONY MUSIC JAPANとライセンス契約し、本家本元のメタリカのニューアルバムにあわせて日本デビュー!
Beatlesの楽曲をMetallica風に!
ホントおバカな発想なのだが、これを本気でやってしまったところが凄いバンド。
そして、バンドのメンバーの名前もちゃんと(?)している。
Jaymz Lennfield・・・ヴォーカル、作詞、作曲、リズムギター(James Hetfield + John Lennonですね)
Grg Hammetson ・・・リードギター(Kirk Hammett + George Harrisonなんでしょうね)
Kliff McBurtney (本名:Lee Bruso, Paul Terrien)・・・ベース(Cliff Burton + Paul McCartneyということで)
Ringo Larz (本名:Ryan Charles)・・・ドラムス(Lars Ulrich + Ringo Starrでした)
ヴォーカル&ギターのJaymz Lennfield、リードギターのGrg Hammetson、ベースのKliff McBurtneyまでは分かるのだが、ドラムのRingo Larzは両方ともファーストネームを使っているという手抜き(!?)がされているのはご愛敬である。
楽曲の面白さと楽しみ方
ここではBeatallicaの魅力に迫っていきたい。
これはあくまで自分が楽しめるところなので、それ以外の楽しみ方をしていただいても構わない。
①楽曲はあくまでBeatles
アルバムの曲名だけを見ていると、曲名までBeatlesとMetallicaの楽曲がちりばめられている。
例えば、アルバム「Sgt. Hetfield's Motorbreath Pub Band」であれば、こんな感じ。
1.Sgt. Hetfield's Motorbreath Pub Band
2.Revol-ooh-tion
3.Blackened the U.S.S.R.
4.Sandman
5.Helvester of Skelter
6.A Garage Dayz Nite
7.Anesthesia (I'm Only Sleeping)
8.Leper Madonna
9.Ktulu (He's So Heavy)
10.For Horsemen
11.Hey Dude
12.Sgt. Hetfield's Motorbreath Pub Band (reprise)
13....And Justice for All My Loving
1曲目はBeatlesの8thアルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」からとられているし、2曲目は「Revolution」、3曲目は「Back in the U.S.S.R.」、4曲目は「Taxman」からとほぼタイトルから分かる。
たまに全然Beatles感がないものもあるが、Metallica寄りの楽曲だと分かればそれはそれで楽しめる、
後で詳しく説明するが、歌詞はところどころMetallica風になっている。
楽曲のベースはあくまでBeatles。
どこが原曲と違って、どこが同じなのかを比較しながら聴くのは面白い。
②アレンジはMetallica
このバンドの肝とも言えるアレンジ。
あくまで、このバンドはビートルズの曲をメタリカ風にやるとどうなるか?という点が面白さである。
例えば、「Taxman」にとMetallicaの「Enter Sandman」を組み合わせる。
「Taxman」はこう
「Enter Sandman」はこんな曲
「Taxman」はベースの躍動するフレーズが印象的な曲で、ヴァース・コーラス形式の超シンプルな曲。
その一方で、「Enter Sandman」はおどろおどろしいギターのアルペジオと重たいリズムで始まり、多少展開はあるがヴァース・コーラス形式な点は似ているかもしれない。
さあ、これがBeatallicaの手にかかるとこうなる。
その名も「Sandman」!
「Enter Sandman」のイントロに果敢に「Taxman」で絡んでいくベース!
ギターとドラムは「Enter Sandman」で突き通すかと思いきや、「Taxman」になってしまうところでズッコケるわけだ。
ギターソロ後のセリフなんかは「Enter Sandman」そのものだったりして、また細かいことをやってくるあたりが憎めない。
ここまでやってくれるとアホ過ぎて逆に凄く感じてしまう。
何事も振り切るのが大事だ。
③歌詞と歌声
よく聴いてほしいのだが、ヴォーカル&ギターのJaymz Lennfield声が本家のJames Hetfieldとソックリ。
まず、こっちが本家。
Metallica - Fuel [Official Music Video]
そして、こっちがJaymz Lennfield
もちろん、似せて歌っていてコピー度の高さがうかがい知れるだろう。
あとはきっとJames Hetfieldが歌ったらこんな風な歌詞になっちゃうとかこういう言葉遣いするよねという歌詞だったりする。
先ほどの「Sandman」の冒頭の歌詞で比較してみよう。
まず、原曲の「Taxman」から
歌詞 | 【和訳】Taxman/タックスマン(The Beatles/ビートルズ)の歌詞、タイトルの読み方、意味 | JPソングス歌詞
これがMetallica風の「Sandman」になると全く変わってしまう。
Let me tell you how shit will be
Better grip your pillow tight-a-lay
Now enter Sandman YEE-AA-AH ,enter Sandman
これからどうなるか、教えてやろう
枕をしっかり握りしめていろ
サンドマンがやってくる
イェー!サンドマンがやってくるぞ
この歌詞だけを見て「むむ!」とか「おお」とか思った方はMetallica大好きですね。
普通の方は何が面白いのか分からないはず。
2行目の歌詞「Better grip your pillow tight-a-lay」はEnter Sandmanの1回目のヴァース前の歌詞「Gripping your pillow tight」が入っている。
「Better」が頭にくっ付いているのはTaxmanの「There's」の部分と韻を踏んでいて、語数も合うからだと思われる。
そして、「YEE-AA-AH」は本家のJames Hetfieldがよく叫ぶ掛け声そのもの。
もうこの冒頭だけでお腹一杯になってしまうくらいの細かいネタが歌詞の中・アレンジの中に散りばめられているのだ。
最後に
本気でアホなことをやると結構スゴイものになってしまったっていうのがBeatallicaの凄さ。
何より本家のLars Ulrichが助けてくれちゃうくらいで。
ま、Lars Ulrich自身が嫌われものなのはこの際関係ないか。
きっとBeatlesもMetallicaも好きな人達で、何なら物マネも上手い。
有名店のカレーと讃岐うどんを合わせたらスゴイカレーうどんができちゃったみたいな。
こういう音楽は知っているか知っていないかみたいな知識とちゃんと音楽を聴いているかどうかも問われるので、原曲をちゃんと知っているとそれだけ楽しめる。
自分は大体わかるけど、細かい歌詞とかは怪しい。
6~7割程度は分かるんだけどなぁ…
こういうのもツウな音楽の楽しみ方。
こちらからは以上です。
本家Metallica
-「Enter Sandman」収録-
-「Fuel」収録-