Jailbreak

新しい世界の切り取り方

曲を提供して、コーラスでも参加してしまう楽曲提供者

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楽曲提供者は、裏方のイメージがありました。あくまで、メインは楽曲を歌ったり演奏したりする人のモノ(名義)になるので、楽曲提供者は表に出ないものだと思っていたのです。どうしても表に出たい場合、セルフカバーしてしまうんですが、今回は取り扱いません。

 

最近、キムタクのソロアルバム『Go with the Flow』を聴いていて、いい曲だなと思いつつ、何だか楽曲提供している人が分かるぞ!?自分の音楽的感覚が研ぎ澄まされた!?と思わずにはいられない曲が何曲もあった。

槇原敬之の書いた「UNIQUE」や稲葉浩志が作詞をしている「One and Only」なんかは顕著だった。特に「UNIQUE」はサビで本人がコーラスで参加しているので、これは分かりやすくマッキーの曲だと分かるのだ。こんな風に参加するのは、珍しいことなんだろうか?と気になった。

『Go with the Flow』自体、他にもコーネリアスの小山田圭吾、Superflyの多保孝一、いきものがかりの水野良樹、 [ALEXANDROS]の川上洋平、LOVE PSYCHEDELICOや、森山直太朗、いしわたり淳治と、とにかく豪華なメンバーが楽曲制作に関わっている。これはこれで、是非とも聴いてもらいたいアルバムである。

 

最近だと、上白石萌音に「From The Seeds」を提供したGLIM SPANKYの松尾レミがコーラスに参加している。

この曲は、GLIM SPANKY色が強すぎる。Aメロの音の落とし方がオルタナティブ感を出し、コーラスが入るとコーラスの松尾レミの強さが半端じゃない。上白石萌音の声どこにいった。楽曲提供といいつつ、これは実質コラボレーションだよなと思うようなパターンである。

このパターンで思い出すのは、 栗山千明の「ルーレットでくちづけを」です。どこからどう聴いても、9mm Parabellum Bulletです。

作詞が菅原卓郎、作曲が滝善充という9mmスタイルで、和風短調押しと、リズムがとにかくうるさい(かみじようちひろのせい。決して貶していない)ので、これはもう確信犯だと思うのです。

実は、栗山千明のソロアルバムもなかなかいいアーティストが楽曲を提供しているので、メチャクチャカッコイイロックが聴けるのがこの曲を収録しているアルバム『CIRCUS』は本当にオススメ。

 

よく考えれば、メインのアーティストの個性を生かしつつ、上手いことコラボしたなと思ったのは、AImerの「蝶々結び」でした。

 

これはAimerも野田洋次郎もセカイ系の音楽だからこそ、方向性が一致して、パワーが増した結果、何倍にもなって凄い楽曲となっています。

 

Aimerのように良い例もあって、コーラスに参加したからと言って、前に出るケースばかりではありません。というより、楽曲制作者とアーティストの関係としては、こっちの方がスタンダードだったような気がするんですね。松任谷由実が呉田軽穂として作詞作曲した曲って、こんなに前に出ることってなかったと思うんです。例えば、松田聖子の「赤いスイートピー」でそんな出方していなかったじゃないですか。例が極端でしょうか。プロデュースになりますが、奥田民生とPUFFYの関係はちょっと近いかもしれません。PUFFYの曲として聴くのが最初なので、そういうもんだと思うんですが、奥田民生がセルフカバーしてみせると、そもそもが奥田節だったんだと気づかされたりします。たまに奥田民生がコーラスに参加してたりしますが、本当に隠し味程度だったりするので、やっぱりPUFFYを立てていたんじゃないかなと。

 

これは、もしかすると色が弱めのアーティストに対して、個性が強めの楽曲提供者だと発生するパターンなのかもしれません。以前書いたカバーの記事で感じた無個性と個性の雰囲気と似ています。

柴咲コウの歌が、とても透明感があるのですが、それが故に空気みたいであまり存在感を感じませんでした。楽曲も良いし、歌もうまい。強い印象にこそ残らないが、良いものでした。こういう雰囲気に対して、個性が強めのアーティストが楽曲を提供すると、今回のような本来のアーティストのお株を奪ってしまうようなことが起こってしまうんじゃないかと思ったのです。普通に考えると、お株お奪うと言うと表現が悪いですが、それだけ強い楽曲を提供してもらっているとも考えられます。さらに、ご本人登場でその個性をさらに強化できる。こういうことが最近起こってきてるんじゃないかなと、感じ取ることもできます。これが最近の傾向ではないかと。

 

そういう意味では、キムタクは歌手として案外個性弱めなのかなという結論に至るのでした。

こちらからは、以上です。

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