Jailbreak

新しい世界の切り取り方

キャッチーな楽曲とめっちゃ叫ぶガールズギターロック。Hump Back『人間なのさ』の感想

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「人間なのさ」?(初回生産限定盤)(CD+DVD)

1.LILLY

2.拝啓、少年よ

3.サンデーモーニング

4.コジレタ

5.生きて行く

6.オレンジ

7.Adm

8.クジラ

9.恋をしよう

10.ナイトシアター

11.僕らは今日も車の中

オススメ曲→ 1,2,5,7,9

 

Hump Backのアルバム『人間なのさ』を聴いたので、その感想。

 以前聴いたことがある作品の『hanamuke』がなかなか良くて、2018年上半期にパワープレイした曲にも選んでいる。

ストレートなギターロックバンドサウンドと、ガールズロックバンドのスタイルに、J-POPらしいキャッチーな音楽性は案外ありそうでない。今回もそのスタイルは変わらず。ギターがコードをかき鳴らすスタイルで、テンポも超ハイテンポの曲はないので、メロコアではない。逆に、パワーコードと超ハイテンポをもってこれば、メロコアに充分になるくらいの美メロを持っている。しかし、今回は3分を切る曲が5曲もあって、4分を超える曲は10曲目の「ナイトシアター」くらい。なんというか、メロコアですらなくて、いっそのことパンクなんじゃないかと思うくらい、曲が短い。それをスリーピースバンドでやってしまうと、ストレートな感じが前に出るのは当然だ。

とはいえ、ヴォーカル林萌々子の歌声と歌詞の主語が「僕」であること以外に、案外差別化するような個性がない。それはきっと、Hump Backというバンドが、歌を届けることが目的だということ。あくまで、歌詞があって歌があって、バンドがあるという順番なんだろう。ただ、気になる点の歌詞の主語が「僕」であるのは、ロックの男性性というか、僕と歌った方がしっくりくる感じのせいなのかなと思った。このアルバムに始まったことではないので、そういう歌詞の手法なのかもしれない。

今回のアルバムは、全曲キーがメジャー(長調)で、明るいかと思いきや、泣きながら疾走している感じがする。誰ともいえない、誰かに向けて思いっきり叫びたくなる感じを受けていた。その中で、明確になったのは、「LILLY」は愛犬が亡くなったことをうたっているという記事があって、その観点で聴くとまた世界が広がる。というより、この曲だけで泣けるようになっちゃう。

これをもって青春かというと、なんだかちょっと違う気がしている。確かに青春の青さは感じる。でも、もうそろそろ春も終りかけていて、夏に足を踏み込んでしまった状態で、ちょっと距離を置いて「これってこういうことだったな」と、俯瞰できている位置から歌っている。青春真っただ中ではないという意味では、違うんだが、歌っていることは青春かな。

今のところ、青春の青さとパンクのような勢いとガールズロックバンドの組み合わせは珍しい。なので、前述のあまり差別化をする個性がないというのは訂正する。 

 

こちらからは、以上です。

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