Jailbreak

新しい世界の切り取り方

楽器を買うときの壮大なる思い込み

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これはきっと楽器を演奏する人にはあるあるなんじゃないかと思って、忘れないように書いておく。

 

自分は自分よりも一回り以上上の人たちとアマチュアバンドをやっている。自分もアラサーなのでオッサンなのだが、さらにオッサンとバンドをやると同世代とバンドを組むのとは違った発見があって楽しい。

先日もスタジオで練習にギターのオッサンが新しいギターを持ってきた。SNSでもつながっているので、その全容こそ見せないが新しいギターを買ったのは分かっていた。練習もそこそこに新しい楽器で盛り上がるオッサン達(自分も含む)。自分も元々ギター小僧だから気になることを質問攻めにしたりして、やいのやいのしていた。

そんな時、ベースのオッサンがギターのオッサンに放った一言がタイトルだったわけだ。

ベースのオッサン「で、何でそのギター買おうと思ったの?」

ギターのオッサン「いや、ネット漁ってたら、中古でたまたま見つけてさ。メッチャ気に入ったんだけど、買おうと決心がついた頃に一回掲載がなくなってチクショーと思ってたら、数日後同じギターが掲載されてさ。”ああ、これは運命だ”と思ったの。」

ベースのオッサン&自分「あー(めっちゃ分かる)」

ギターのオッサン「そしたら、もうポチってて。後から嫁さんに交渉。1年間めっちゃ家事やらなきゃいけなくなったが、そんなこと屁とも思わない。」

自分「屁とも思わない(分かる)」

ベースのオッサン「そうだよね、運命だとか勝手な思い込みをするよね。楽器を買う時は壮大なる思い込みをする。」

ギターのオッサン&自分「壮大なる思い込みをする(めっちゃわかる)」

 

よく考えたら、自分が初めて買ったオービルのレスポールモデルは半年以上楽器屋に(勝手に)通って、当時6万円で購入した。中学生の自分には6万円が大金過ぎて、2回くらい正月が来ないと貰えない金額で訳がわからなかった記憶がある。

当時影響を受けたギタリストが大体レスポールを使っていた。B'zの松本孝弘は自分が思う邦楽編の最高のギターソロの1つの入っているし、Ozzyと一緒の頃のZakk Wyldeは洋楽編の最高のギターソロに2本もエントリしているくらいで、この2人が使っていたのがレスポール。Zakkのサークルは普通に売っていないモデルだし、松本のゴールドトップはなく、割とスタンダードなモデルを買った。当時はとにかくB'zの「Calling」を聴きまくっていて、このギターソロ満載の曲を弾きこなせるように練習したもんだった。

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このレスポールを始めてみた時も壮大なる思い込みはあった。「ペットショップで目が合ってしまって…」とそのペットとの出会いを語る飼い主はよくいるが、楽器も同じで「楽器が自分を呼んでいる…!!!」と思うことがあるのだ。それは楽器屋の明るめの照明に照らされて、ステージ上にいて楽器を持っている姿を連想させて、本来の輝きを見せてくれるからなんじゃないかと最近やっと分かってきた。いずれにしても、雑誌やWebで見るのとはまた違うインスピレーションを与えてくれたからこそ、未だに自分の手元を離れずに音楽の友で居続けているのだ。

 

先ほどのギターはインスピレーションを与えてくれた例だったが、今でもメインで使っているスネアはちょっと事情が違う。細かい経緯は別記事にしてある。

 こちらは実際に音を出してみて「自分が欲しい音はどんなんだろう?」と考えた結果、音が気に入ったスネアを買っている。これは結局直感的に好きになった理由を理性的に説明したに過ぎなくて、好きなものには理屈が通じないということを如実に表している。

自分のスネアはとにかく初めて聴いたその音が好きだった。一応、試打の際にはチューニングを上げたり下げたりしてみたが、結局一番最初の音が好きだった。とにかく叩いていて気持ちいい。一目惚れならぬ一耳惚れ状態。これは後にも続いていて、スナッピーを変えたりヘッドを変えたり色々してみたが、結局一番最初と同じ状態が好きでそのセッティングを維持するのが一番良いという結論に至っている。これが自分の求めているサウンドだ!と思えたからこそである。

 

楽器は安いものから高いものまであって、しかも新品・中古とまた違った世界が広がっている。いずれにしても、目の前に見えているものを逃すと手に入らなくなってしまう可能性が高い。特にギターやベースは木を使っているので同じ木目には絶対に出会えない。コレクション目当ての方もたまにいるが、基本的には使ってナンボなのが楽器。見た目を手に入れるだけでなく、個体差のある唯一無二の音を手に入れると思うと思い入れが強くなる。それ以外にも理屈じゃなく魔法にかかったように気に入ることだってある。主語が自分になくて、「ギターが俺を求めている」とか「このスネアが自分を待っていた」なんて言っちゃうことになる。

それを一言で言うと「壮大なる思い込み」と言ったベースのオッサンの的を射ている気持ちよさが貫いたある日の練習だった。

 

こちらからは以上です。

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