あれは18歳の頃。
当時、受験まっ最中の高3で初めてできた彼女がいた。
自分はその頃から音楽バカでギター小僧だった。
とにかくギターを上手くなりたくてどうしようもなかった。
曲も少しずつだが作るようになっていた。
そんな自分は1年後に何者でもなくなった。
高校を卒業し、滑り止めの大学には受かったが地元の大学だった。
自分は彼女と東京に行きたかった。
しかし、東京の大学には受からなかった。
そして、選んだ浪人。
初めての遠距離恋愛と別れ。
何者でもない自分と自分の力の無さに絶望し、前へ進む気なんて全く起こらないでくすぶっている状態だった。
人生初の挫折を支えてくれたのは樋口了一の歌だった。
樋口了一について
樋口 了一(ひぐち りょういち、1964年2月2日-、)は、日本のシンガーソングライターである。
熊本県立済々黌高等学校卒業。立教大学在学中からブラックミュージックバンド等で活動し、1993年にメジャーデビュー。 北海道テレビの『水曜どうでしょう』シリーズのテーマソングにもなった『1/6の夢旅人』、『1/6の夢旅人2002』、著作権問題をクリアーした『1/6の夢旅人/二度目のありがとう』等の楽曲を発表(これらの経緯は1/6の夢旅人を参照)。 2009年には『手紙~親愛なる子供たちへ~』で日本レコード大賞優秀作品賞、日本有線大賞有線音楽優秀賞を受賞した。
また、歌手活動の傍ら、SMAP、TOKIO、20th Century、沢田研二、鈴木雅之、石川さゆり、郷ひろみ等、歌手のジャンルを問わずに楽曲を提供している。
Wikipediaより引用
自分が樋口了一と出会ったのは、ローカルバラエティ番組「水曜どうでしょう」の主題歌であった「1/6の夢旅人」である。
自分が出会ったのは中学生の頃で、22時過ぎに塾から帰って、風呂に入ったり寝る準備をして23:15頃から始まる番組であった。(既にどうでしょうリターンズだったかどうでしょうClassicになっていたけど)
水曜どうでしょうは鈴井貴之と大泉洋が中心となって、ディレクターの藤村と共に無謀とも思える様々な企画に挑戦するバラエティ番組である。
その内容は珍道中になることが多く、喧嘩し、罵り合い、笑い合い、騙し、騙され、それはもう学生の身内ノリの延長線上にあるような番組なのだが、そんなバカをやっている彼らに憧れてしまう不思議な番組である。
その大人の身内ノリ番組のエンディングテーマが「1/6の夢旅人2002」という曲である。
水曜どうでしょうの企画サイコロの旅と重なるところもあり、明日に向かって進んでいく感じが出ていて非常気爽やかな曲である。
そんな頃に樋口了一のブログも見るようになった。
既に閉鎖された過去のブログの中で以下のような趣旨の日記を残していた。
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自分の声について好き・嫌いとかって話があるのだけど、犬に生まれたことについてどう思う?と問われたスヌーピーがこんなことを言っている。
「配られたカードで勝負するしかないじゃないか」
自分の体も自分の声も配られたカードで、カード自体に不満を持っても仕方ない。
そのカードでどう戦うかが大事だと。
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自分の無力さを感じていた自分には目から鱗が出た。
過去を呪っても自分がダメでも人を羨んでも仕方ないのだ。
これが今の自分の生きていく力の根本となる考えとなっている。
自分を救った1枚のシングル
「1/6の夢旅人2002」のシングルである。
このシングルはこんな曲順である。
1.1/6の夢旅人2002(「水曜どうでしょう 原付ベトナム1800km」エンディングテーマ)
2.words of life
3.きみへのうた
4.1/6の夢旅人2002(オリジナルカラオケ)
5.words of life(オリジナルカラオケ)
CD EXTRA付/水曜どうでしょう同窓会
カラオケを抜くと実質3曲のシングル。
各曲が素晴らしいのである。
1/6の夢旅人
この曲のが素晴らしいのはその歌詞である。
世界中を僕らの涙で埋め尽くして
やりきれないこんな思いが 今日の雨を降らせても
新しいこの朝がいつものように始まる
そんな風に そんな風に 僕は生きたいんだ
生きていきたいんだ
こんなマイナスからプラスへ転化してくれる歌詞はなかなかない。
そして、爽やかな中にその生きていく力をひしひしと感じるのだ。
words of life
ラジオ番組に寄せられたある夫婦のエピソードを基に樋口さんが曲を作った曲。
鈴井貴之のラジオで「Anniversary」というテーマでリスナーからメッセージを募った。
その中にこんな話があった。
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釧路の28歳の主婦の方からで、「私のAnniversaryは主人の言葉です」と。
この方は幼い頃からある病気に苦しんでいて、自暴自棄になってしまったこともあるくらい苦んだ。
ある漁師の息子さんと知り合って、高校を卒業してすぐに結婚した。
結婚もしたことだし、病気をちゃんと治して…と思っていた矢先、、医師からはもう…治りませんと。
女性として苦しい選択をしなければならない事実を告げられた。
目の前が真っ暗になったそうです。
旦那さんに何て言ったらいいんだと。
その時の主人の言葉「おまえが苦しむ姿はもう見たくない。二人で一緒に幸せになろう」
その言葉がワタシのAnniversayです。
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という話。
当時インストアライブでたまたまアコースティックバージョンで聴いたこともあり、余計にこのエピソードが自分の中に残っており、サビの歌詞の意味をかみしめたくなる。
悲しみが降り積もる 何も見えない夜に
消えない灯りになって 春へ導いてくれた
あの時の君からの 忘れられない言葉
それさえあれば僕は生きていける 生きていける
こんな風に当時の彼女は自分のそばにいて、未来への光をくれた。
だからこそ、同じように自分の好きな人には消えない灯りになりたいと思っている。
きみへのうた
ピアノと歌だけという超シンプルで、潔い曲。
でも、それだけに歌詞がストレートに心に突き刺さる。
別れた恋人を思っている歌詞なのだが、これが別れた彼女への後悔の念を強くさせた。
本当にこの歌詞にあるような思いしかなかった。
なんでいまおもう気持ちがすなおに伝えられなかったんだろう
あふれだす心のシーン 夜更けに笑い合ったSilly Joke
きみじゃなきゃ だめなのに
きみを抱きしめた強さがそのまま僕の優しさになればいいのに
あの日響いてた メロディを二人歌ってた 心から歌えるうただった
きみへのうた きみへのうた
この曲があるからこそ、目の前の愛する人を精一杯愛することにしている。
本気を出しても出さなくても、どうせこんな風に後悔するのである。
それなら、自分なりに最高のアプローチをした上でダメだった方がまだ後悔が少なくなる気がするから。
そんなきみへのうたは秋の夜長に聴きたいピアノ&ヴォーカル曲でも紹介した。
最後に
樋口了一はパーキンソン病を患い、ギターが持てない状態であるが、歌うことは止めていない。
そんな彼も「手紙~親愛なる子供たちへ~ 」という別な名曲も残している。
これは老いをテーマにして非常にヘビーな内容の曲である。
この曲たちのおかげで今の自分はあの時の自分よりは強く生きられている。
上手くいかないことがあっても腐らず、しっかりと未来を見据えられている。
「words of life」の歌詞の一説にこんな言葉がある
心に響く声が 命の言葉になる
それさえあれば 僕は生きていける
まさに自分にとって心に響く声だった。
こちらからは以上です。
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