Jailbreak

新しい世界の切り取り方

世間が勝手に騒ぐじゃないか。騒ぐと音楽が聴けなくなるのが困るのです。

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電気グルーヴのピエール瀧が逮捕された件で、様々な議論が起こっています。

色々論点はあるのは確かですが、今回は音楽に関連した内容のみ触れていこうと思います。

 

まず、前提として、コカイン使用疑いなので、ピエール瀧はあくまで容疑者です。推定無罪の原則があります。当然、ドラッグについても、合法・違法にかかわらずNGだと思っています。

また、個人的にはニュースでこの話題が出ることで、他のニュースを知る機会が減る可能性があるくらいで、ほぼ迷惑を被ってはいません。

その上で、考えるのはこんなことです。

目次

楽曲を聴く権利は奪われたくない

音楽を売る側に版権があるのと同様、リスナーや消費者として音楽を手に入れて聴く権利は奪われたくない。坂本龍一の主張はそんなお話ではないでしょうか。

レコード会社が電気グルーヴの作品を回収、出荷・配信停止にしたことに端を発しています。なぜ、ソニー・ミュージックレーベルズがこのような措置をとったかを考えてみます。多分、社会通念上良くないことをして、逮捕された人が関わった人の音楽を売って、営業活動をすることは許されないと考えたからではないかと思います。また、発売を続ければ、批判を受けることになるでしょう。このこと自体を止めることは難しいのではないかと思います。

では、音楽は誰のものか?ということが大事になってきます。以前、こんな記事を書いたことがあります。

インターネットや携帯電話の普及で、ストリーミング経由で音楽を聴くことが昨今増えています。少し前であれば、CDは普通だったし、その前はLPと音楽メディアの形がどんどん小さく軽くなって、持ち運びが可能になっています。自分は未だにCDやダウンロードを行って、手元にファイルを所有しているタイプです。最近はSpotifyも使用するようになりましたが、聴きたい音楽を聴きたい時に聴くというよりは、自分の好きな音楽に近い楽曲がどんどん流れてくるラジオみたいな使い方をしています。これはこれで便利ですが、配信が停止されると、当然その音楽を聴けなくなってしまいます。これは、CDやLPも同様で、新たに音楽を手にする機会損失を被ることになります。これを許容しがたい。

なので、欲しい音楽はCD等のメディアやデータで保持しているしかないのかなと思います。CDにもデータを保存するHDDにも耐用年数がああり、スペースも多少なりとも必要となります。ずっと所有し続けるにはそれなりのメンテナンスコストを払い続けるしかないのではないかと思うのです。 これは、個人で対応できる方法の一つです、

それ以外に、個人的に気になるのは、電気グルーヴの音楽を発売すること自体の悪影響です。

印税が逮捕された人の懐に入るのはいけないことでしょうか。では、アーティストとレコード会社の契約の中に、不祥事を起こした際の印税は払われないような条項を加えればよいでしょうか。しかし、犯罪に巻き込まれる可能性だってあります。聴く人は毎回ドラッグを想起するでしょうか。それによって、気分が悪いなら、積極的に聴かなければよいだけのお話です。聞こえてきてしまうのを何とかするのは、どちらにしても難しいでしょう。それによって、ドラッグに興味を持ってしまう人が増えるでしょうか。

可能性は0にはならないでしょうが、その影響を客観的に測ることなんて、果たして可能なのかが分かりません。

音楽=ドラッグ(悪)はイメージダウンか

音楽というよりは、今回だとテクノやエレクトロやクラブミュージックあたりが槍玉にあがりそうです。これに関しては、イメージダウンは避けられないでしょう。ただし、これはクラブミュージックとドラッグが、歴史的に切っても切れない関係*1であることを知っていれば、影響は少ないのではないかと思います。

自分の主に聴くジャンルはロックやメタルです。特にロックが不良のイメージがあります。 The Rolling Stonesなんかは、ドラッグがらみで逮捕されていますし、常識から外れているようなイメージがあるのだと思います。とはいえ、そういう人間だからこそ、普通の人ではできないような音楽を作り上げられたりするから、困ったものです。

知らない人はびっくりして、イメージダウンするんでしょうが、知っていればそれほどのイメージダウンにはならないのではないでしょうか。ただし、一度ついてしまったイメージを払しょくするのは、かなり大変なことだと想像に難くないでしょう。

不祥事で思い出すアーティストのこと

まず、一番最初に思い浮かんだのは、槇原敬之です。槇原敬之も薬物関係で逮捕歴があります。 彼の場合も、逮捕された際に作品が販売停止となっています。その時も残念に思った記憶があります。あんなに素敵な音楽を書いているのに、その作品が聴けなくなるのは、本当に残念だと思ったのです。その後、活動を再開して、SMAPの「世界に一つだけの花」を作ったことで、再評価されていったように思います。未だにちょっと自分を見失いそうな時に「どんなときも」を聴きたくなりますし、春が近づいてくると「遠く遠く」が聴きたくなります。この機会を奪われるのは、本当に辛い。 

他に犯罪ではないですが、ゲスの極み乙女。の川谷絵音です。彼の場合は不倫スキャンダルが発覚して、活動休止に追い込まれました。それこそ、犯罪を犯したわけではなく、社会通念上よろしくないことをしたのが報道されて、問題化したので、違うパターンです。別に騒がれなければ、そのまま上り調子で売れていたかもしれません。

ミュージシャンは人気商売なので、その人気が落ちては仕事にならないし、何よりミュージシャンは売れ続けなければならない。

最後に

今回の件は、ピエール瀧がミュージシャン以外に俳優活動も行っていて、評価を受けているからこそ、ややこしいお話になっている節があります。音楽だけ、俳優だけで語っても足りない、主語のでかさがあるんだと思います。

ピエール瀧に関して、どんどん情報が出てきて、かなり前からドラッグをやっていたとか、奇行がどうのと、あることないこと流れてきます。この辺になってくると、ただ騒ぎたいだけの様に思えてなりません。事実を伝えることは大事ですが、テレビや雑誌の必要以上の過熱はいかがなものでしょうか。 それよりも、この先の音楽のあり方や、ミュージシャンが容疑者となり、逮捕されたとき、どういう対応が良いのかを考えていくのが大事ではないでしょうか。

自分としては、音楽を聴く権利を奪って欲しくない。これだけです。

こちらからは以上です。

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