以前書いたミスチルの呪縛の続編。
前回5つ書いたが、よく考えてみると、まだまだあるなと思った。
それは「ミスチルだと当たり前だが、他のアーティストだと必ずしも当てはまらない」ということになる。
作詞作曲はヴォーカルの役割
作詞作曲は歌う当の本人であるヴォーカルが作るもんだと思っていた。ミスチルの場合、ほとんどの曲を桜井さんが作詞作曲している。ミスチルの楽曲としては、ごく稀に小林武や、Jenが作詞作曲、外部の人(寺岡呼人や桑田佳祐)が作った曲が数曲あるくらい。
例えば、7枚目のアルバムの『DISCOVERY』は作詞は全て桜井さん、作曲は8曲目の「#2601」がJenと桜井さんとなっている以外は桜井さんが担当している。あの名曲「終わりなき旅」は作詞作曲とも桜井さん。これは珍しいことではなく、ミスチルのアルバムとしては割と普通なこと。
他のバンドで考えると、これは当てはまらないパターンがそこそこある。B'zなんかは、稲葉・松本ともに作詞作曲をするが、B'zとしては、作詞:稲葉、作曲:松本という分業スタイルがある。それ以外でもシンガーソングライターでありながら、外部の作詞家、作曲家が作った曲を歌っていることもある。クレジットをよく見ると、そういうことはよくあるので、必ずしもヴォーカルが作詞・作曲をしていないこともあるので、ミスチルがスタンダードだということはない。
ちょっと関連するのだが、曲を作る人=リーダーだと思われることは割と自然で、ミスチルのリーダーは桜井さんなんじゃ?と思う人もいるかもしれない。ミスチルのリーダーはドラムのJenなので、悪しからず。
歌詞の解釈はご自由に
いつ頃の何のインタビューだったか忘れたのだが、桜井さんが歌詞の内容について訊かれた時、「歌詞の意味は聴く人に任せる」旨の回答をしていた。もちろん、作り手としての想いはあるだろうが、リスナーが好きに解釈して、好きに楽しめばよいというスタイルだと理解した。なので、同じ楽曲に色んな解釈ができて、色々な解釈をすることができる。
例えば、 このブログでも扱ったことがあるのが、「HANABI」や「himawari」について書いたことがあります。
いずれも、正しさを証明したいわけではなくて、こういう解釈ができるという一面を書いている。個人的にはそうやって、音楽は自由なもので、作る側も聴く側もお互い自由でよくて、正しさを求めても、あんまり意味ないんじゃないかなと思っている。むしろ、作り手が考えたこと以上を聴く側が考えたりして、それはそれでよいのではないかなと思うようになった。
これに対して、「この曲はこういうメッセージを込めていて、こういう歌詞なんですよ」とインタビュー等で答えるアーティストは一定数いて、これは桜井さんの姿勢とは異なる。こういうインタビューを知ると、「これってこういう曲なんだ」とある程度イメージが固まるし、作り手が込めたメッセージは伝わりやすいと思う。このような感じで、曲に込めたメッセージを読み取れない人や知らない人が好きに歌詞を解釈して、「いやこの曲はこういうメッセージだから」みたいなファン間のやりとりやマウントの取り合いみたいなものは見たことがあるので、一長一短があるなと。
自分もブログを書くし、音楽を書くし、演奏するので、自分の考えと違う感じで伝わってしまうことがあるのは重々承知している。そのうえで、好きに解釈してくれればよいという考えに至っている。
プロデューサーがコロコロ変わらない
ミスチルのプロデューサーは、ずっと小林武史が担当だった。 1992年発売の1枚目アルバム『EVERYTHING』から2012年の17枚目のアルバム『[(an imitation) blood orange]』まで全面プロデュースを行っている。さらに、ライブでは2007年のツアーからキーボードとして帯同し、2014年までサポートしている。このように、長年1人のプロデューサーががっちりタッグを組んでいる状態であった。この体制が変わってくるのが、2015年の18枚目『REFLECTION』ではプロデュースとしてクレジットしている曲は半分以下となり、ライブでのキーボードの出演もなくなっている。ミスチルのセルフプロデュースが半分以上を占めていて、ミスチルも変化している。
とはいえ、こんなに長らく1人のプロデューサーがプロデュースを続けるのは、珍しい。最初の数枚を同じプロデューサーが手掛けることはあるが、20年はさすがに長い。Mr.Childrenの第5のメンバーといわれるくらい、ミスチルと関わりを続けていたのだ。他のアーティストだと、小林武史が関わったところで言うと、サザンオールスターズもある程度のところでセルフプロデュースになっているし、B'zも長年同じプロデューサーと組んで作品を発表しているわけではない。
売れ続ける
ミュージシャンとして、売れないと活動が継続できない。これは確かなことだ。売れないで活動が続けられるのは、元々の金持ちくらいで、そんなミュージシャンほぼいないだろう。どんなに人気があっても、売れなければ活動休止や、引退を余儀なくされる。ミスチルはその意味では、売れ続けている。
例えば、4枚目のアルバム『Atmic Heart』は343万枚を売り上げている。1994年なので、日本で最高潮にCDが売れていた時期である。最近だと、19枚目のアルバム『重力と呼吸』は2018年発売ながら、30万枚以上の売り上げを誇っている。CDが売れない近年ではさすがの結果だ。
バンドが継続するのはとても難しいことで、売れないことが原因のこともあるが、人間関係や犯罪者が出てしまう等の継続できない要因はたくさんある。こういう要因の対応をしながら、活動を継続するのはたやすいことではない。その上で活動していくベースとして、売れ続けなければならない。
機材の情報が少ない
ミスチルの機材の情報は本当に少ない。普通、機材の情報を仕入れようとすると、音楽雑誌が一次情報になる。どんなメーカーで、どんな組み合わせになってくらいまでは分かるし、最近はもっと詳しく全体のシステムや、どの曲で何が使われているかまで伝えてくれる。こういう情報を元に、楽器を買う時に「ミスチルが使っているから同じメーカーにしよう」、「この機材使ってみよう」という基準になるもの。しかし、情報が全然出てこない。なかなか雑誌の取材を受けていないのか、依頼されないのか、依頼を拒否しているのかよくわからないが、とりあえず記事にはほとんどならない。
たまに記事になっても、「サウンド&レコーディング・マガジン」くらいで、 レコーディング用のマイク等割とレコーディング寄りになって、普段使う機材のものではない。もっとギターとかベースとかドラムの情報が欲しいが、なかなか分からない。
もっとGIGSやPlayer、Guitar Magagin、Bass Magagin、Drums Magagin当たりの雑誌に出てくると、情報をキャッチしやすい。こういう雑誌に出るアーティストは洋楽邦楽問わずたくさんいて、いつも勉強になる。
Jenのドラム情報については、Jen通さんが割と最新の情報も含めて詳しいので、よくチェックしている。
最後に
Mr.Childrenを基準にすると、 それに外れるアーティストに出会ったときにあれ?と思うことがある。そうして、違いに気づいて、ミスチルの凄さであったり、その価値に気付く。
色んな音楽を比べながら聴くことで、自分の好きなアーティストの一面がより明確になるということだ。
こちらからは、以上です。
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