Jailbreak

新しい世界の切り取り方

ハードロックが前面に出つつ、ジャンル融合がされている、B'zの『NEW LOVE』

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収録曲

1.マイニューラブ
2.兵、走る
3.WOLF
4.デウス
5.マジェスティック
6.MR. ARMOUR
7.Da La Da Da
8.恋鴉
9. Rain & Dream
10.俺よカルマを生きろ
11.ゴールデンルーキー
12.SICK
13.トワニワカク

オススメ→2,3,4,5,6

 

B'zの『NEW LOVE』を聴いたので、その感想を。

ポイントとしては、

・ハードロック色の強さ

・ファンキーな楽曲がカッコいい

・B'zに求めているのはロックではなく日本的な最高峰のポップスじゃないか

というところ。

 

全体としては、新しい風を感じつつ、今までのB'zも踏まえた作品になっていて、さすがだと思った。この辺は日本でもトップレベルのミュージシャンであり、楽曲を作成している人たちなので、言うまでもない部分。売れ続けるミュージシャンはさすがの一言。

1曲目「マイニューラブ」から元気にアルバムのオープニングを飾る。いつものヌケのよい松本のギターが聴けるので、往年のファンも落ち着くだろう。さらに、最近気に入っているだろうギターでのハーモニーも、松本らしいアプローチとして受け入れやすい。

CMになっている「兵、走る」はサビこそ聴いたことがあったが、全体的には重めのダラっとしたリズムに、hey hey ho ho~という「Urltra Soul」等で聴ける大人数でのコーラスが重ねてある曲なので、これはライブで映えそう。

ドラマ『SUITS/スーツ』主題歌の「WOLF」は90年代半ば頃のファンキーな時期を彷彿とさせるイントロから、ギターのカッティングが聴ける、新しいのに懐かしく感じる曲。サビの韻の踏み方もうまくて、流れるような楽曲の気持ちよさを感じられる。

イントロのド派手なドラムのフィルインから、「デウス」。ロックでヘヴィに行くかと思いきや、サビでは普通のメジャーコードなのでうまくバランスはとってある。ブリッジでブルースハープも出てくるので、イントロの印象とはまた違う展開がまっている。

アンニュイなイントロのギターから始まる「マジェスティック」。いい感じの哀愁を感じさせ、稲葉の希望を捨てない雰囲気の歌詞がとても合う曲。

AC/DCを彷彿とさせる低音弦のリフと8ビートから始まる「MR. ARMOUR」。この辺もサビ前の展開からサビへと綺麗に上がっていき、リズムもストレートなビートから裏を効かせる辺りが上手い。

「Da La Da Da」はロックらしいキメとギターのハーモニーで始まる。しかし、一気にリフで展開する。歌とリフの掛け合いになっているあたりはLed Zeppelin等のハードロックバンドがやってきた手法だ。2番のサビあとに突如として現れるストリングスが、これまたLed Zeppelinの「Kashmir」を彷彿とさせる緊張感のあるリフを紡ぐ。これはこのアルバムのアレンジ的な見せ場だった。

トーキングモジュレーターかワウをかけたような不思議な音色から始まり、リフで一気にバンドのボルテージが上がるという手法をとっている「恋鴉」。Aメロでずっとメロディを追うギターを弾くあたり、なかなかクセの強さがある。浮遊感とガチガチの塊を行ったり来たりするメリハリが楽しい曲。

「Rain & Dream」は6分を超える超大作。ギターでエアロスミスのJoe Perryが参加しており、最後にギターソロでの掛け合いがある。サビではなくて、アウトロに楽曲のピークがくる珍しい曲。

「俺よカルマを生きろ」、「ゴールデンルーキー」はストレートなハードロック。B'zが今まで積み上げてきたキャリアの中では、かなり中庸な曲で、アルバムの安定感を増している。悪く言うと凄い普通だが、だからこその

イントロのキーボードのリフがジャジーでカッコイイ「SICK」。「ZERO」当たりのファンキーな頃を思い出しつつ、リズム隊がソリッドなので当時からアップデートされている。ブリッジに長いベースソロがあるのも、今までのB'zではあまり行ってこなかったアプローチ。

最後を飾る「トワニワカク」は、パワフルに突き進んでいく曲。ビートにシンコペーションがなく、割とストレートに突き進んでいくので、キメキメの楽曲よりも、すっと入ってくる。

ハードロック色の強さ

 

松本お得意のハードロックをベースとしたリフは今回も炸裂しまくっていた。

個人的にはブルージーな「デウス」のリフ、AC/DCを想起させる「MR. ARMOUR」、「Da La Da Da」のLed Zeppelin感のあるリフと、こういう音楽が好きで聴いてきて、影響を受けて作っているんだなと、嬉しくなってしまう。こういうアプローチの楽曲は個人的にかなり好きだ。

リフ以外の要素としては、今回割とドラムが派手な印象。Brian Tichy、Shane Gaalaas、玉田豊夢という3人が参加している。特に現在のツアーメンバーでもあるBrian Tichyは「デウス」のド派手なイントロで手数を発揮しているし、チャイナシンバルをガッシャンガシャン叩きまくる。全員に共通するのはスネアのチューニングが低めで太く、ビートが重いこと。これによって重厚なロックの土台ができている。

ファンキーな楽曲がカッコいい

 今回ファンキーな要素のある楽曲としては、「WOLF」、「SICK」の2曲だった。前述のロックな楽曲も良いのだが、アクセントとしてファンキーな楽曲があるのはとてもよかった。「SICK」は約半数に参加しているベーシストのMohini Deyがいい仕事している。スラップのベースソロは今までのB'zでは、考えられないアプローチだ。

今までシングル曲でも「ねがい」や「ZERO」等ちょっと古めの楽曲で90年代前半くらいでやっていた雰囲気を思い出す。これはアルバムの懐かしさと安定感を増していると思う。

B'zに求めている日本的な最高峰のロックとポップスの融合

何がロックで、何がポップスかということにも関わるので、できるだけ言葉を重ねて説明してみる。ロック要素は松本の歪んだギターや、低音弦を使用したリフのアプローチなんかが好例。ポップスの要素はJ-POPによくみられるコード進行や、キャッチーなメロディ。こういう要素が組み合わせられて、B'zの楽曲ができている。

どちらかの要素が多めだったり、前述のファンキーな要素や初期のデジタル要素が入って、混ざり合って1曲になっている。こういう融合に新しさを感じているんじゃないだろうか。

今回の作品もデジタル要素はほとんど少なくて、全体的にバンドサウンドをベースとしたソリッドなロックだった。これは個人的になかなか好きなものだった。

最後に 

バンドサウンドで押してくれるのは好きだし、シングル曲も多く、耳にしたことがある曲も多いため、割と聴きやすいアルバムだったと思う。さらに、ファンキー要素もあって、以前のB'zの作品の延長線上にあるような気がして、嬉しかった。 

以前からのファンも、新たなファンも是非とも聴いてみて欲しい作品だった。 

こちらからは以上です。

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