前回はアルバム編を紹介したので、今回は曲編。
アルバム編はロック色が強くなるのだが、曲編はロックは多めではあるがもう少し幅が広がりがち。しかし、今回はまたしてもロック色強め…を覚悟してみていただきたい。
1.WANIMA「ともに」(2016)
昨年から大好きで何度も聴いているWANIMA。昨年発売のアルバム『Are You Coming?』は11月発売だったが、2015年下半期のパワープレイになっている。
その流れもあり、「ともに」が収録されているシングル『JUICE UP!!』は2016年下半期もパワープレイになること間違いなしだった。
何度かWANIMAの良さを書いているが、真っすぐで熱い野郎の歌詞とキャッチーな美メロがハードなギターロックに乗ることで、そこそこ速いストレートに回転が加わって剛速球になっているところ。心打ち抜かれる。
「ともに」も例外じゃなく、”生きていくことは大変なのは分かるんだけど、顔を上げて自分の気持ちの向かう方に向かうんだ”というメッセージがある。
何を言っているか一発で分かる歌詞だが、歌われるスピードは速めで畳みかけられるように発される言葉と、アップテンポでどんどん進んでいく楽曲。これは朝通勤する時に聴いて、心を固めるのに最適。気持ちを上げて固めて、ガッツリ頑張る。
このシングル『JUICE UP!!』には財津和夫の名曲「切手のないおくりもの」のカヴァーも収録されていて、WANIMA流のアレンジがされていて、こちらもおススメ。
2.UNISON SQUARE GARDEN「mix juiceのいうとおり」(2016)
UNISON SQUARE GARDEN(以降USG)は2015年下半期にパワープレイしたアルバムに選んでいて、その後もリリースがあればチェックする対象にしている。7月6日に発売された『Dr.Izzy』も例外ではなく、ちゃんと聴いている。
『Dr.Izzy』はアルバム全体としてとても良いのだが、”これは!!!”と思わせてくれる曲は「mix juiceのいうとおり」くらいしかなくて。そうなると、普段持ち歩くiPodには「mix juiceのいうとおり」しか残らない。『Dr.Izzy』は自宅で通して聴く用のアルバムになった。そんな理由からアルバム編には入らず、1曲だけになっている。
イズミカワ ソラがキーボードとコーラスで参加している曲で、普段のUSGのソリッドなバンドサウンドではなく、よりポップに仕上がっているのが特徴。さらに、Bメロ~サビこそビート感が出るが、それまではピアノのイントロからジャズやファンクの様なユニゾンのリフが聴ける。J-POPとしては割と普通のことなのだが、USGだと新鮮で各メンバーのテクニックも生きている。
ギターロックとしてのUSGもいいが、こういうポップな姿がまた違った面として気にいった曲。
3.Sia「Alive」(2016)
オーストラリアのシンガーソングライターのSiaのこの曲は、映画『秘密 THE TOP SECRET』で知った。しかも、日本版のPVに女優の土屋太鳳が出演しているので話題になったおかげでTVで見かけたのだ。
正直、映画は見ていないし、Siaは顔を出したがらないアーティストっていうイメージしかなくて、そんなにちゃんと曲を聴いたことがなかったが、この曲はメチャクチャキャッチーじゃないか!
踊ってる土屋太鳳はちゃんとSiaのツートーンカラーのカツラをかぶっていて、Sia元々のPVの世界観を引継ぎつつ、しっかりと自分を表現している。もちろん、元々のPVも良くて、こっちがオリジナルなんだけど、比較すると土屋太鳳スゲーってなる。
珍しくPVから入った曲だったのでPVを中心に書いたが、この曲の歌詞は結構重めで生きていること・生き続けていることの辛さを歌っている。曲調も深刻に聴こえるからこそ余計にその闇の深さが強調されている。
洋楽の重い歌詞が好きならこんな記事も書いたので、興味があればどうぞ。
4.BRADIO「ギフト」(2016)
ファンキーなバンドサウンドにソウルフルなヴォーカルを聴かせてくれるBRADIO。BRADIOが好きすぎて1本まとめを書いたし、今年全ての音源を手に入れた。
BRADIOのイメージは前述のとおりで、歌詞は色恋モノがとても上手なのだが、このシングルは全く違う方向性で音楽を示してくれる。
誰もがみんな” 誰か” の子供
なんてちょっとだけセンチメンタルでプライベートなことだけれど、節目節目で振り返ってみることが必要なことなんじゃないか?と 問われていると思った。
しっとりと歌い上げるバラードで、そこに親に対する気持ちを歌うだなんて反則だからね!ただ、ある程度年を重ねて子供の頃や青春時代を超えて大人になった人には、こんな風な関係性はあるのかなと。もちろん、親との関係はいいものばかりではないし、亡くなっていることもあるんだけど、こういう情景ってある程度イメージして悪いものではないと感じられる丁度いいところだと思う。
5.Hi-STANDARD「ANOTHER STARTING LINE」(2016)
これは喜んだ。日本中が喜んだ作品。自分も当然ビックリしてとにかく急いで音源をチェックした。そして、チェックしてそのメッセージが嬉しくて記事を書いた。
何が嬉しかったって、復活したこともそうだが、”これが君と僕の新しい道だ”なんて歌ってるんだもの。今までハイスタと人生を共にしてきた人なら、解散は残念なことだったし、その後のモメ事だって嬉しくは思ってなかったはず。 ここ数年微妙にメンバーが絡み合っていて2/3復活とかはあったけれど、完全復活が近々あるのかなぁと思って待っていることしかできなかった。そんな中これが新しい道だ!と示す曲だからさ。涙ちょちょぎれる。
難波も横山もソロはやっているし、恒岡は様々なアーティストのバックにいてみんな音楽を続けているのは知っていた。ソロはやっぱりどこかハイスタみたいなサウンドと歌詞を求めてしまうけれどやっぱりどこか違うし、わざわざソロでハイスタっぽいことをやろうとなんかしないのかなと。それでも、こうやって再結成すれば彼ららしいことを3人でやればハイスタになる。
これだけは言わせて欲しい、おかえり!!!!!!!!!!!
6.木村カエラ「Egg」(2016)
「Egg」はシングルとして発売されているが、この曲との出会いはアルバム『PUNKY』だった。『PUNKY』は全体的にポップで、若干子供向けに歌われていると言われても違和感を感じないくらいな出来だった。しかし、個人的には木村カエラが痛みや辛さを歌う曲もしくはロック色強めの曲が好きなのだ。特に痛みや辛さを歌う曲は「You」や「どこ」、「dolphin」や「Whatever Are You Looking For?」辺りが好き。
そんな好みもあって、『PUNKY』の中では「Egg」と「向日葵」が気に入ったのだが、特に「Egg」は良かった。
「向日葵」に比べて「Egg」はバンドサウンドになっていて、 よりポップだったかなと。「向日葵」はピアノアレンジが中心で最後に盛り上がる感じでまるで合唱曲だったので「Egg」の方が普段聴きしやすかったというだけ。どちらもいい曲なのでシーンに合わせて聴き分ければいいだけだ。
元気いっぱいな木村カエラも好きだが、しっとりとした木村カエラも良いぞ。
7.Bon Jovi「This House Is Not For Sale」(2016)
今年も洋楽大御所バンドの新作リリースがあって、Metallica、Green Day、Red Hot Chili Peppers、Radiohead等目白押しだった。ただ、大御所の作品はどうしても”過去のあの名曲のイメージ”や”昔よく聴いたあのアルバム”が自分の中でついて回る。あの名曲を超える曲がないといい評価ができないし、さらにあの好きなアルバムみたいじゃないと受け入れられるかどうかの天秤にかけられることになる。この辺は別記事でも書いていて、あまり答えもなくとりとめのないことを書いたこともある。
そんな大御所の新作はことごとく過去を超えられることはなく、「作品を出してくれただけ感謝せねば」と思う比率の方が多かった。
その中で、Bon Joviの同アルバムの同名タイトルはまだイメージ通りだったのもあって、この曲は聴けた。ギターのRichie Samboraが参加していないにもかかわらず、大きく変わらないBon Joviらしい王道のギターロックだった。
マイナーキーでちょっと重めのビートにへヴィ過ぎないがポイントを押さえたキャッチーなメロディ。「You Give Love A Bad Name」や「It's My Life」を彷彿とさせる雰囲気とメロディ。これぞBon Jovi!求めていたものだ!
と、喜べたのは最初の1曲だけで、その後は何だかのらりくらりした曲ばかりで、アルバム自体を必ずしもおススメできるほど好きにはなれなかった。ソングライターとしてのRichie Samboraを失ったからなのか、歳を取ったせいなのか理由は分からない。
それでも、自分の思っているBon Joviにドストライクな曲を1曲でも提供してくれたことが嬉しくて何度も聴いてしまった。
8.BURNOUT SYNDROMES「ヒカリアレ」(2016)
この曲は完全に新規。BURNOUT SYNDROMESのファーストアルバム『檸檬』に収録されているのだが、アルバムを手に入れたきっかけ自体はラジオのパワープレイになっていたから。
太い歌声にキャッチーなメロディでアップテンポ。ヴォーカルを多重録音することによって、第九のようなヴォーカルオーケストレーションもなかなか良い。
アニメの「ハイキュー」のオープニングテーマだったのは割と最近知って、そういえば「ハイキュー」の曲って良いものばっかりじゃないか?なんて思っているので、どこかでまとめるかもしれない。
そんなことよりも武田玲奈がPVに出ているのはいいが、勿体ない使い方してるなーって。制服着せるんならいろんなシーンを撮ればいいのになんて思ってしまう。
9.Tyketto「Forever Young」(1991)
突然1991年の曲が出てきて驚くかもしれないが、きっかけはYoutubeだった。Alter Bridgeの記事を書こうとした時にYoutubeを漁っていて、再生されたのがTykettoだった。一応、ロック小僧でYoung Guitarに出てくるギターが上手いバンドは割と知っていて、ロックバンドは知っている自負はあるのだが、Tykettoは知らなかったorz
Tykettoは80年代後半から90年代にかけてと、2007年に少し2008年から活動再開したバンドだ。あまり日本で売れていないのか、Wikipediaに日本語版がない。サウンドはいかにもハードロックといった感じで結構好きなんだが、洋楽特有のしょっぱい曲もあってアルバム全部手に入れたが、アルバムとしていいなと思えるものはなかった。その代わり、数曲好きな曲があったくらいで。
何とも時代を感じるんだが16ビートで刻まれるカッコイイイントロからキャッチーなコーラス。ギターソロが長くてなかなか速弾きを見せてくれるし。あれ?何で日本で売れなかったんだっけ?なんて思った。
90年代にロックは死んだなんて言われていたみたいだが、個人的には90年代のロックは旬こそ過ぎているけれど、死んではいないと思っている。何だかんだでそういう環境で育って音楽を聴いているから普通だと思うだけなんだろうけど。
10.KNOCK OUT MONKEY「Do it」(2016)
最後はKNOCK OUT MONKEY。KNOCK OUT MONKEYは上半期パワープレイした曲に入っていて、これも追いかけているバンドの一つ。
KNOCK OUT MONKEYの良さはハードで適度にテクニカルだけれど、メロコアに寄ることなくポップな曲を聴かせてくれるところ。この中でも適度にテクニカルっていうのが大事で、ちょいちょい小技が効いていてこれがないと2011年の解散したROCK'A'TRENCHに似たバンドになってしまう。別にROCK'A'TRENCHでもいいのだが、やはり個性は欲しい。
エモっぽいハードでしっかりと歌い抜くスタイルで、ONE OK ROCKとかその辺と被るところもあるんだけどKNOCK OUT MONKEYは割とソリッドなサウンドで攻めてくるので、あくまでバンドサウンドで何とかしようとする意志を感じる。そういうバランス感覚とかセンスが気に入っている。
ただ、これだけは言いたい。早くメジャー1stアルバムを出してくれ。絶対買うから。
最後に
次点は以下8曲。
・sumika「「伝言歌」 -Answer Parade ver.-」
・Olly Murs「You Don't Know Love」
次点を含めるとやっとアルバム編より良い意味でとっちらかってると思えるはず。今年は洋楽より邦楽を良く聴いていたなと感じている。また、今まで好きになったアーティストの新作は必ずチェックしたし、アルバム編・曲編を通してそういう傾向が高い。
新しいものを聴くきっかけが減っているのが理由じゃないかと思っている。よく見ていた音楽番組が改編で時間帯が変わってしまったせいで見られなかったり、終了してしまったり、ラジオを聴く時間に家にいなかったり。環境が変わったと言えばそれまでなんだろうし、それに対して自分が変わろうとしていないのもある。いずれにしても、もう少し音楽の情報の手に入れ方は見直そうと思っていて、これは来年の課題の一つとする。
いい音楽は無くならないし、新しく生まれてくる可能性はあるので、来年もアンテナをビンビンに張っていい音楽を手に入れてみせるぞ。
こちらからは以上です。
関連記事