やっぱり70年代~80年代前半のハードロックはカッコイイなと思った。
最近、Richie Blackmore's Rainbowのトリビュートバンドである虹伝説の『A Tribute To Rainbow』を聴いていたのがきっかけ。オープニングは「Over The Rainbow」からの「Kill The King」というライブでの定番パターンで、個人的にはRainbowは「Kill The King」が一番好きな曲だ。これはもちろん、原曲がカッコいいのが大前提だが、ヴォーカルの元ANTHEM森川之雄の歌声の良さ、ギターの元PRECIOUS梶山章のよく研究しているなと思わずにはいられない完コピ度。トリビュートバンドとして最高。もしかしたら、ヴォーカルに関してロニー・グラハム・・ジョーと異なるタイプのコピーがどこまでできているかまで気になるなら評価は違うかも。自分は気にならない。
それ以外の曲も「Spotlight Kid」、「Street Of Dreams」、このアルバムには未収録だが「Long Live Rock 'N' Roll」も好きで、何でこんな自分が生まれる前の古い曲が好きなんだ?と考えてみると、従姉にもらったテープで聴いたことがあるのだ。その中に確かRainbowのライブ盤が入っていて、カッコイイなと思った記憶がある。
いずれも作詞作曲のクレジット上Ritchie Blackmoreがいて、バンドの中心人物であるのは確かだ。それよりも、Ritchie Blackmoreと言えばDeep Purpleのイメージが強く、ハードロックの金字塔『Machine Head』のギターは後のハードロックに大きな影響を与えているし、今聴いてもカッコよさが色褪せない。
リッチーはクラシックを心得ていて、後にネオ・クラシカル等のクラシックを大胆に取り入れたハードロックに影響を与えているし、リッチーが居なかったらイングヴェイは現れなかったかもしれないくらいの影響を与えている。サウンドのハードさとキャッチーさのレベルが高いうえにバランスがいい。
Deep Purpleが王道ハードロックだとすると、Led Zeppelinは前衛的でオルタナティブ。サウンドのハードやさヴォーカルのハイトーンはDeep Purpleにも負けないが、何とも実験的で時に危ないことをやってくれる。今や普通の曲に聴こえるけれど、「Immigrant Song」はオクターブの音飛びリフで、16分のノリをバスドラで出す暴挙、そして合わせきらないことによる独特なうねったグルーヴ。今やメタル畑では当然なバスドラでのリフとのシンクロを1970年にやってるんだから。
「Rock And Roll」の3拍目の裏から入るイントロ、「Dazed And Confused」のサイケデリックなサウンドでとらえどころのないところ、「Black Dog」でのリフを展開後の”ズレ”、「Stairway to Heaven」のゆっくりとした盛り上がりと今や常套手段になっているアプローチが詰まっている。個人的にはLed Zeppelinの一番の楽しみ方はグルーヴだと思う。ボンゾのドラムとジョンジーのベース(たまにキーボードも弾くけど、あくまでベース)に自由に動き回っているペイジの気持ちよさ。何なら、ライブ盤を聴くと(誰がズレてるとかではなくて)ちょいちょいリズムが合っていないんだけど、
楽曲自体の細かいアプローチもそうだけど、一つ一つを捉えると全然王道ではないし、普通じゃなくてとても変な音楽。それでも成立させてしまう力技とロックの懐の深さなんだろうな。
今までのバンドは音楽で格好をつけてきたが、見た目でも格好をつけた色物としてのKISSはいつの間にか王道になっていた。ド派手な衣装やメイク、舞台演出、とにかくBigなエンターテインメントを見せてやろうというアメリカンなロックバンド。KISSのアルバムの邦題が「地獄の~」で始まるシリーズで分かる通り、プロレスだと覆面レスラーでヒールな役回りだけど実はいい人みたいな、そんな立ち位置。「Detroit Rock City」のユニゾンで始まるステージって最高じゃない?
同じハードロックだけれど、Deep Purpleはクラシックの様式美とJazzのコンテンポラリーな音楽的反応がベースで、Led ZeppelinはブルースやR&B、フォークがベースにあって、KISSは底抜けに明るいロックンロールがベースなんじゃないかなと思う。どのバンドのステージが見たいか?と言われれば間違いなくKISS。Deep PurpleもLed Zeppelinもオリジナルメンバーが亡くなっているからちょっとまた違うか。ボンゾの演奏を目の前で見られるならみたいし、ジョンロードのあのオルガンの音は脳裏に焼き付けたいんだけど、ステージとして見てみたいのはやっぱりKISS。ラストに「Rock And Roll All Nite」をやられたら、もうその日から1か月は否応なしにロックンロール漬けになるかな。一生コール&レスポンスしていたくなる。
正直、ライブでは細かい演奏が所々怪し事なんてのはあるんだけど、あんなに観客の方を向いてアピールをしながらだもの。顔を下げて楽器の方ばかり見ていちゃ、せっかくのペイントも台無しだし。メンバー全員でコーラスをして、全力で観客にアピールして、ご機嫌に盛り上がってもらう。何というホスト精神。
QUEEN、TOTO、Van Halen、Aerosmith、Grand Funk、UFO、AC/DC、Rush、Scorpions…思いつくだけでも数えきれないくらい好きなバンドがいて、全然違うタイプのロックを聴かせてくれる。今でこそ当たり前だけど、今聴いてもカッコイイってのは本当の音楽の価値だと思う。
一言でハードロックと言っても、各バンド・メンバーの音楽のルーツが違うので同じものがなかなかない。そして、そのバンドのルーツで類型化してみると、「案外自分はブルースベースのハードロックが好きなんだな」とか「Jazzの感覚が入っていると好きかも」ってのが分かるのも世界が広がって面白い。大事なことだからもう一度ルーツを探るのは面白い。
今の時代であれば、ネットを調べればそれなりの情報は出てくるし、仮に間違った情報だったとして、そのルーツとなった音楽を聴いて気に入るかどうかを判断すればいい。新しい音楽は新鮮な楽しさをくれるよ。
あとはライブ盤。必ず、この辺のバンドにはライブ盤があるので、ライブ盤を聴くのが良い。実質ベスト盤みたいな選曲とライブにしかないノリと雰囲気がある。
問題はライブ盤から通常の音源を聴いたときに、ちょっと残念に思うことがあるくらい。ライブ盤の方が元気で派手でライブ用のアレンジがしてあったりするから、その点は注意。
こちらからは以上です。
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