はてなブログを始めてから、はてな内で割とコミュニケーションをとりやすい環境にいる中であまり積極的ではない自分がいる。仲良くなる方がいてもいいし、お互いのブログを行き来(何人かいらっしゃいますが)するような方がいるのもブログの楽しみ方の一つではないかと思う。
そんな中で、たまにコメントをすることがあって、そろそろそのネタを書こうかと思って。
この記事に対して自分はこうコメントしてまして。
the brilliant greenについては書こうと思いながら、書けてないです…
秋頃にブリグリは聴きたくなります。
まだ春先の記事だったこともあり、自分のブリグリのイメージは秋頃なんだよなぁ...と思いつつ、書こうと思っているのは確かで、ちゃんと書いてみようかと思って書いてみる。
the brilliant greenと秋
the brilliant green(以降ブリグリ)は元々ヴォーカル、ギター、ベースの3人がメンバーのバンドだったが、2010年にギターが脱退して現在は2名の状態。そして、その2名が夫婦というちょっと変わったバンドだ。
ヴォーカルの川瀬智子はTommy february6、Tommy heavenly6として活動していて、 ブリグリとはまた違った面を見せてくれる。
ブリグリのサウンドの特徴は川瀬智子の脱力感があり無理がないヴォーカルとブリティッシュロックに通じる泥臭いサウンドにポップなメロディが乗っていることである。もう少し分解するとブリグリは①脱力感があり無理がない川瀬智子のヴォーカル②泥臭いブリティッシュロックテイストのサウンド③ポップなメロディの3つで成り立っている。
まず1つ目の脱力感があり無理がない川瀬智子のヴォーカルは本当にそのまま。決してハイトーンで高音を攻めるような歌い方はしないし、力んだ歌い方もしない。あくまで無駄な力が抜けていて、声量はないがサウンド的に激しいモノではないので成り立つ声なのだ。そして、若干ウィスパーヴォイスも見せるのだが、透明感というほどの透明感はなく、例えばMy Little LoverのAkkoのような透明感があるかと言えばないし、柴咲コウほどクセがないかと言われればそうでもないが、適度に声にオリジナリティがあるので邪魔臭くない程度に個性的なのだ。
二つ目の泥臭いブリティッシュロックテイストのサウンドはブリグリらしさ。似たサウンドを挙げるならOasisなのだが、Oasisのサウンド自体が割とありふれていて言うほど先駆者というわけでもないのでなかなか何と言いづらい。ただ、ロックの中でもドンシャリなギターではなく、EpiphoneのCasinoみたいなセミアコ*1でVOXのAC30やMATCHLESSのDC-30でオーヴァードライブさせたのちょっと枯れた太い歪みがメインとなったバンドサウンドなのだ。ベースはあまり細かいことをしないでしっかりと低音を支えつつ、ドラムはシンバルをダークなサウンドに仕上げてあまり前に出過ぎない程度に叩き、つまらなくならない程度にフィルインを入れている。全体にやりすぎないことを重視しているように感じる。
最後にポップなメロディはサビの分かりやすさが該当する。もちろん、それ以外のメロディも口ずさみやすいのも含めてポップなのだが、J-POPの売れる要素として大事なキャッチーさを持っている。一度聴いたら「この曲聴いたことある」と思い出せることはその曲のキャッチーさの一つだし、それが「この声はブリグリだ」と分かるのも大事だ。
じゃあ、この魅力の何処が秋と合うのか。
声を張り上げない力が抜けたヴォーカルは春のウキウキ感には合わないし、夏の暑苦しさや真夏の夜の涼しいけど気持ちが熱い時期には似合わない。冬の寒い時期にほっこりするかというと、そこまでの熱さはないので、秋のちょっとキンと冷えた朝や夜の空気や昼間の半袖では寒いが長袖や上着が丁度よい温度に川瀬智子の歌声はよく合うのだ。
そこに枯れて歪み過ぎないギターが丁度よく香りを足してくれる。あまりキツイ香りは夏や冬に向くのだが、そこまでのキツさはないし春の軽やかな香りよりはどちらかといえばサウンドはダークなので重め。しかし、全体のサウンドとしてへヴィかと言えば全然そんなことはなく、物理的な重さもない。そう考えるとダークで適度な重さのある香りがするサウンドは秋に合う。
最近の楽曲になるともう少しドンシャリなサウンドになっていたり、ヴォーカルも声を張り上げたりしているので、全体を通してずっと同じかといえばそうでもないのだが。あのギターサウンドは元ギターの松井亮の好みが反映されていたのかもしれない。
秋にオススメ曲
ブリグリの曲が全て秋に合うわけではない。その中でも特に秋に合うブリグリの曲を選りすぐっていく。
There will be love there -愛のある場所-
3rdシングルにして、ブリグリが世の中で売れ始めた曲。
スライドギターを所々で挟むことで軽さを醸し出しつつ、テンポは早くないが重くなり過ぎないようにギターもベースも前にノリを持って行っているがドラムはちょっと重め。そんなバランスが秋の寒さの始まりによって気持ちが少しだけ後ろに引かれる感じにも丁度よい。
サビの解放感がとても気持ちよいのだがどこか憂いがあって、秋の橙色に染まった夕暮れに良く似合う。
ちなみに最近勢いのあるGLIM SPANKYがこの曲をカヴァーしているのだけど、松尾の歌声の良さが全く出てなくて残念。
Hello Another Way -それぞれの場所-
10thシングル。この曲は勝手に前述の「There will be love there -愛のある場所-」と続いていると思っていて、良い結果を生まなかったことを歌っているんじゃないかと。
だからというわけでもないが、この2曲はよく似ていて、ギターから始まって楽曲の公生も似ていて、後に薄っすらストリングアレンジがされて、サビは英歌詞。
そういう意味では、「There will be love there -愛のある場所-」と表と裏の関係にありつつ、楽曲のイメージはほぼ同じなのでそのまま2曲続けてその雰囲気を楽しむのがよいんじゃなかろうか。
長いため息のように
この曲の持つまったりとした雰囲気は秋の昼間に聴くのが良い。珍しく意思が強めのギターが強めにリズムを刻んでいるのだけど、それがゴリゴリの強さがあるかというとそうでもなくブリグリの曲の中では珍しく強めというくらいで。
歌詞はちょっと依存しちゃっている感じだが、人肌が恋しくなる感じと近くて良いんじゃないでしょうか。
そのスピードで
5thシングル。「そのスピードで」というタイトルだけれど、まったりとしたブリグリ節炸裂。歌詞は悲しみを散りばめることで希望を得ようとしているような抽象的な内容だけれど、川瀬智子の歌詞はあまり深く考えても何も出てこないことが多いので、あまり考えず雰囲気を楽しむ・空気を楽しむのが良い。
増5度を使ったⅣ→Ⅳmで締めるサビのコード進行のお陰で憂いがあって、こういう憂いのある鳴りも秋には良い。スッキリしないちょっと悲しさみたいなものは秋の夜空に散りばめて消えてしまえと思って聴けばよし。
冷たい花
4thシングル。今回紹介する中では一番暗い雰囲気を持つ曲。毎日はそんなに明るい日ばかりでもなく、秋だから秋晴ればかりではないわけで、天気が悪いことだってあるわけです。始まりこそ暗く始まるのだが、サビは明るいコード進行で進むので、ずっと暗いわけではないので早とちりしないように。一応歌詞もちょっとは良くなってきてるよと言っているし、サウンドやリズムこそ思いですが想いは少し軽くなっているので。
秋の花というと、コスモスやキンモクセイあたりを思い浮かべるとちょっとこの曲とは合わなくて、ツユクサあたりを想像してもらうと丁度よいかもしれない。
最後に
ブリグリの旬は2000年代に入る前だったんじゃないかと、選曲をしていて思ったのでした。売れていた時期もそうだし、2001年にTommy february6としてソロ活動を始めてからはブリグリとは一線を画す音楽性だったので完全に流れを分断してしまっているのだ。
食材に旬があるようにミュージシャンにも旬があって、この旬の時期の音楽は本当にいい音楽が多いのは確かで。
その旬の時期の音楽性が秋とよく合うのがブリグリなんだよなと。そんなことを思い出した。
こちらからは以上です。
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*1:セミアコースティック・ギターのこと。ボディー内に空洞とホールを持ち、センターブロックのために空洞の面積が小さいエレキギターの一種。