Jailbreak

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木村カエラのロック感・哀愁感・童謡感が好き

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木村カエラが好きだ。デビュー当時からリリースされてきた楽曲はチェックしてきた。

10代、20代、30代と年齢を重ねて、楽曲のメインとなる雰囲気は変化しつつ、活舌のよいハキハキとした歌い方、歌詞に乗せる身近なメッセージと、その音楽のクオリティは一貫している。

そんな木村カエラの良さは、ロック感、哀愁感、童謡感の3つなんじゃないかと思うのだ。 

ロック感

もともとデビューした頃は、ロックっぽさやパンクっぽさみたいなものを出して、威勢のよい感じがした。歌詞の世界観は割としっかりしつつ、分かりやすいものだった。ギターをかき鳴らして、歌うスタイル。例えば、デビュー曲の「Level42」はまさにそのスタイルだった。 

フレッシュなポップロックは、木村カエラの大事なスタイルだ。

ただ、それも年を重ねるごとに様々なロックのスタイルを取り込むことになる。「Yellow」は珍しくオルタナティヴロック感のある、ハイテンポな楽曲だ。

他にも、日本的なギターロック「You know you love me?」、キャッチーさを押さえた「You bet!!」、メロコアっぽさを感じる「Stars」、オルタナティヴロックを2000年代風のリズムに乗せた「TREE CLIMBERS」とバンドサウンドを前提とし、ロックに寄せたソリッドなサウンドの楽曲に良曲が多い。

哀愁感

木村カエラは、元気いっぱい、とにかく前進みたいな楽曲ばかりを、歌っているわけではない。 落ち着いた楽曲もあるし、ナイーブな内容を歌っている楽曲もある。その時でも歌声にマッチし、楽曲のメッセージが明確に伝わってくるので、とてつもないパワーになることがある。

例えば、「dolphin」は木村カエラ自身が作曲した曲だ。

自分自身をイルカに見立てて、君との隔たりを表現している。その気持ちをバンドサウンドとして、ストリングスを入れて世界観を広げつつ、ファズの効いたブリブリのギターで荒ぶったサウンドも混ぜることで、複雑さもある。歌詞の苦悩感にアレンジがピッタリハマっている楽曲だ。

哀愁感があっても、顔を上げて、背中を押してくれる曲もある。 

Youと2人称に向けているメッセージにもとれるが、実は自分に向けたメッセージなのではないのかとも思う。外に向いているようで内に向けたメッセージ。これをスッとイントロのギターと打ち込みから始まって、少しずつ盛り上げる。さらに最後にはテンぽチェンジもして盛り上げる手法。しかし、余計な厚さは無くて、程よく背中を押してくれる。

他にも内向的な自分の剥けた「Egg」、様々な情を歌った 「どこ」、内向的な他人に向けた「Whatever are you looking for?」、片思いの明るさ/暗さの両面から歌う 「orange」 、向日葵の儚さを誰かへの気持ちを重ねて上手く歌った「向日葵」、ダメな僕を優しく包んでくれる「チョコレート」と上げれば多々ある。

アルバムに数曲含まれていることが多いので、アルバムを全体的に聴いてみると、こういうナイーブな曲の位置づけがハッキリして、さらにその価値が出てくる。 

童謡感 

先日書いた記事で、プロデューサーのが言っていた「木村カエラの童謡感」という旨の発言が、最近の木村カエラの楽曲にぴったりだなと思ったのだ。

変化を感じたのは、結婚直前にリリースした、アルバム『HOCUS POCUS』だった。

「Butterfly」 は今や木村カエラの代表曲といっても過言ではない。もともと親友の結婚式のために書き下ろした曲なのは有名な話。そして、ゼクシィのCMタイアップもあり、一気に売れた。

童謡って最高にキャッチーという意味では、かなりの誉め言葉なんじゃないだろうか。音に対して歌詞が少なくて、一音一音歌いやすいから、童謡感が出るのかもしれない。 

 シャッフルロック童謡「リルラリルハ」、カワイイ童謡「Ring A Ding Dong」、童謡そのもの 「オバケなんてないさ」、 宮川大輔童謡「Happyな半被」と、初期から一貫して、持っているキャッチーさの一つだ。

木村カエラの歌声が、素直で通るからこその魅力でもある。

最後に

最近ロックスタイルは減って、童謡感のある曲が多い。それポップスとしては聴きやすいのだが、ガツンとくる感じがなくて、ちょっと残念。ただし、アルバムには一貫して、バンド感のある楽曲はかならずある。さらに、哀愁のある曲もあるので、今回の3つの要素のバランスがどうかというのが、木村カエラのアルバムの分かりやすい聴き方だといえる。

こちらからは以上です。

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