自分は20代の中頃から約20歳ほど年が離れたメンバーとバンドを組んでいた。
詳しい経緯は省略するが、そこそこ叩けるドラムは貴重なので、人づてで「一緒にやってみない?」みたいな話があり、それに乗っかった結果である。
そのバンドがみんな好みは違えど、あえて共通項を見つけるとしたら「ロック」くらいしか無くて、 選曲も何となく各自が出していく感じ。
それだけに、当時40代だったメンバーから出てくる選曲が新鮮だった。
一応、自分はギター小僧で高校生の頃からYOUNNG GUITARを愛読していたので、上手いギタリストがいるバンドは古かろうが新しかろうが知っていた。
とはいえ、その時代を生きてきた人の好みはまたちょっと違うものだったりすることもある。
そんなこんなで何年もバンドをやってきて、振り返って見るとやってみて楽しかったバンドや曲を紹介したい。
ちなみにバンドの構成はヴォーカル&ギター、ギター、ベース、ドラム(自分)の4名。
Van Halen
Van Halenはギターソロが難しいけど、そこができれば大体何とかなるのでよく選ばれた。
曲としては、初期の曲ばかりでその中でも「You Really Got Me」、「Pretty Woman」というVan Halenがカヴァーしたバージョンをカヴァーするという2重カヴァー状態だったわけで。
上記2曲の良いところは何といっても知名度の高さ。
ライブで演奏してもお客さんは何となく知っているし、ノレる軽快なテンポ。
ロック好きやギター小僧が必ず通る道だったりするので、ウケるのだ。
演奏する側としては難しい構成もなく、分かりやすいリフで手癖状態になっているので全然難しくないんだよね。
あとはコーラスが楽しい。「Pretty Woman」なんてほぼ全編ハモれるし、「You Really Got Me」は曲の展開があるところでみんなで「Girl~~~~~~~Yeah~~~~~~~」とハーモニーをやるのは本当に気持ちいい。
Van Halen - You really got me 1980
Van Halenはテクニック満載の難しい曲もあるけど、それだけじゃなく演奏して楽しい・ライブでもウケる曲の選択肢としては最高のバンド。
ZZ TOP
ZZ TOPは完全に自分のストライクゾーン外。
もちろん、バンドとしては知ってはいたけど曲を聴いたことがなかったので、どんな音楽をやっているかは知らなかった。
それでも渋いブルースがかったロックンロールが大好きになった。
バンドでは「Tush」、「La Grange」、「Rough Boy」をやったことがあるのだけど、これがまた印象的で。
まず、「Rough Boy」は全然ZZ TOPっぽくないロックバラード。
ZZ Top - Rough Boy (OFFICIAL MUSIC VIDEO)
自分たちのバンドはキーボードなしのギターロックバンドなのに、こんな曲をやろうとしたもんだから、さあ大変。
やっぱりギターだけだとゴリゴリすぎるので、後ろにシンセが鳴っていて欲しいなと思ってしまうわけだ。
そこでベースのオッサンがベースシンセを導入して、ベース弾きつつシンセが鳴るようにして音の厚みを持たせるようにして似たようなサウンドを出すことができた。
自分としてはスローな片手16ビートの練習になったし、バラードのドラムは好きだったので普通に楽しかった。
あとは「Tush」と「La Grange」の2曲を途中でつないでライブでやったことがある。
どちらもシャッフルの曲で若干テンポは違うけど、途中で繋いでしまえば何とななる程度のテンポの差だったので、繋いでやった。
ZZ Top - La Grange (From "Double Down Live)
どちらもサイコーにご機嫌な曲なので、曲自体を知らなくても何となくノレるし、知ってる人は「おお、この曲やるんだ!」と思ってもらえたみたいで。
ドラム的にはとにかくシャッフルなので、ノリを出すのが難しくて…
当然、イーブンなノリとはフィルインも違ってくるので、手数が減り、ツマラナイ演奏になりがちだったのだが、そこは練習でカバーした。
ああ、ロックンロールって難しいと思ったけれど、自分のiPodの中に今でも入っているので気に入ってる音楽になったのは確か。
Michael Schenker(MSG、UFO)
はい、来ました、マイケル・シェンカー!
自分はギター小僧だったけれど、有名なギタリストとして名前が必ず上がるマイケル・シェンカー。
でも、自分は80年代以降のバリバリ速弾きをするギタリストが好きだったので、聴いたことはあっても、そんなに好きになる人ではなかった。
それでもギターのオッサンのごり押しもあり、「Armed and Ready」、「Rock Bottom」をライブでもよく演奏した。
きっかけは 休憩時間にギターのオッサンが突然「Armed And Ready」のリフを弾きだして、それに全員合わせていって「これはオモロイな」ということで採用された。
自分たちのバンドではこういう誰かがやりだして、やってみたら面白そうだからやってみるという形で曲が決まることが少なからずあった。
Armed and Ready Michael Schenker
アップテンポでKeyがEなので解放弦を使ってガンガン弾けるリフがあれば、ちょっと古くたって気持ちいいハードロックになる。
ギターもベースもノリノリで弾けちゃうから、演奏する側からすれば楽しいし、聴く側としてもうるさいロックが嫌いじゃなければノってもらいやすかった。
ドラム的には大きな悩みどころがあって、元々の音源で叩いているSimon Phillipsのバージョンをベースとするか、それとも伝説のドラマーCozy Powellバージョンをベースにするかという問題。
Simon Phillipsバージョンはとにかく分かりずらいけど、いかんせんオリジナル音源音源なのと、Cozy Powellバージョンは分かりやすいのだけど、オリジナルじゃないし個人的にはSimon Phillipsの方が好きだったりして、ライブの本番まで両方のバージョンを叩いてメンバーを困らせた。
違うメンバーになっても演奏することはあったので、オヤジバンドではSimon Phillipsバージョンにすることがほとんどだった。
ギターのオッサンから30周年の中野サンプラザの放映を録画してもらって、そのDVDを貰っちゃったのも大きい。なんせ、ドラムはSimon Phillipsだったから。
そして、これまたクセが強い「Rock Bottom」
何のクセが強いって、ギターソロが異常に長い。
これは別記事でも書いたことがある。
ほぼ完コピ状態で演奏したけれど、これをアドリブとか目くばせでなんとかできるほどライブで安定感を出すことができる気がしなかったのが大きな理由。
ギター好きなら「Rock Bottom」の完コピを見るのはなかなか楽しめたようで、自分の友達も「Rock Bottom」をやるならライブを見に来てくれたくらい。
若干覚えてなければいけないところがあって、ライブでやるにはコストが高いけれど、難しすぎず適度な難易度だったのもあって個人的には楽しかった。
どこで自分なりのフィルを突っ込むかということをいつも考えていた気がする。
マイケル・シェンカーの曲はギターが弾ける上にヴォーカルも歌えないといけないから、簡単にできないのが辛いところ。
ヴォーカル&ギターのオッサンが歌えるのと、ギターのオッサンがギターが弾けるののお陰でできたようなもんだ。
ちなみに「Into The Arena」 も休憩中に始まったことがあるけど、最後までできずに何となく終わったw
その他バンド
Rock and Roll Hoochie Koo
越智志帆 SHIHO OCHI Rock And Roll Hoochie KooRECORDING LIVE 2009
オヤジバンドが始まったころからよくやっていた曲で、ヴォーカル&ギターのオッサンが「Superflyってカッコよくねえ?」って言いだして、「この曲ならやりたい」と持ってきた曲。
この曲を練習することで飛躍的にドラムが上手くなったわけだが、それだけに自分のiPodの再生回数がNo.1だったりする。
そして、この曲が好きすぎて別記事を書いてしまうくらいで。
原曲はRick Derringerなのだけど、キーも違うし、もっとロックに作り替えているお陰で大音量を楽しむバンドとしては最高に楽しい曲だった。
My Sharona
The Knack - My Sharona live (HQ)
ベースのオッサンが練習中にイントロのリフを弾き始め、何となくみんなで合わせてバンドでもとにかく良く演奏するようになった曲。
その時も「この曲楽しいからやってみるか~」という軽いノリだったんだけど、それが後々メンバー全員を苦しめたという点において、選曲の大事さが身に染みた曲だった。
これも記事になっている長いギターソロがある。
それ以外にもヴァースからの展開に数パターンあったりと、お決まりの繰り返しで終わるような楽曲ではない。
しかも、長いギターソロがあるのもあって楽曲自体が5分ほどあり、これだけ長い曲だと誰かが何かをやらかすのだ。
その一方でライブでやると、アメトーーク!のCMでかかる曲というのもあり、子供がいても「アメトーーク!の曲だ!」と喜ばれたことがある。(何故その子が深夜番組のアメトーーク!を知っていたかは不明)
それにこの曲もテンポは早めなので、ライブではこれに合わせて踊っている人は何人もいた。
演奏する側は大変な曲だったけれど、ウケるので外すに外せない曲だった。
Joy To The World
Three Dog Night - Joy To The World - Live
確かベースのオッサンが持ってきた曲の中にあったのが「Joy To The World」だった。
まあまあ有名なポップスなので、普通に楽しく演奏したのだが、ちょいちょい遊んだ記憶がある。
イントロはサビの進行でギターソロからのAメロにした。
そして、ギターソロでは倍テンでノリノリ。
アウトロはギター2本のソロ掛け合い。
もちろん、サビはハモりまくり。
ギター2本は歪みまくっているし、ベースもゴリゴリ弾くのでロックバージョンだけど、楽曲の持つ良さのお陰でとにかく明るい楽曲になった。
やっぱり名曲はどうアレンジしても楽しいし、いい曲なのは変わらないのだ。
Ace of Spades
Lemmy feat. Slash & Dave Grohl - Ace of Spades
まさかのMotörheadをやったこともある。
「Ace of Spades」と「Fire Fire」だった。
これはヴォーカル&ギターのオッサンが好きで、曰く「Motörheadはロックンロールだ!」というのだ。
自分はロックンロールにしてはメタルチックなドラムを叩かなければならなく、汗だくになること必須だった。
こういうハイテンポな曲でドラムを叩くことは非常に練習になるし、どんなにテンポが速くてもリズムがブレずに手数を出すのは勇気がいるのだが、 ミス怖さを乗り越えてどんどん突き進む姿が美しかったりもするので挑戦は続けた。
正直、そんなにウケる曲ではなかったけれど、バンドでやらなかったらMotörheadはそこまで好きじゃなかっただろうな。
Summer Time Blues
「Summer Time Blues」もよく演奏した。
特に夏場はSummerというのがタイトルに入っているので、必ずと言っていいくらいセットリストに入っていた。
この曲はThe Whoのカバーをベースにしていたつもりだったが、いつのまにか子供ばんどのヴァージョンになっていた。
そうなると中間部分と終わり方がThe Whoのヴァージョンとは全然違ってくる。
何より、中間部分でフロント3人は同じアクションをして踊りだす。
これがライブのパフォーマンスとしてはウケた。
中々ステージ上でアクションをするアマチュアバンドっていなくて、お客さんは楽曲自体を知らなくても楽しめる楽曲になっていた。
ロックン・ロール・ショー
自分としてはRCサクセションは「雨上がりの夜空に」なのだけど、ヴォーカル&ギターのオッサンがこれをやりたいということでやった曲だった。
この曲何が大変って、そのままやったら全体的にノッペリしちゃってメリハリがなくて楽しめない可能性があって。
だから、ドラムは変えたし、ギターもある程度変えた。
ただ1回、本当にRCが好きな人が観客にいてめちゃくちゃ喜んでいたので、案外マニアにはウケる曲だったのかなと思いながら。
Don't Tell Me You Love Me
Night Ranger - Don't Tell Me You Love Me (Live)
「Don't Tell Me You Love Me」はギターのオッサンの同級生が入って、ギター3本体制でやったことがある。
ギター3本ってだけでウルサイのだけど、中間部分のシンセはギターのオッサンがシンセを持ち込んで弾いたりしてもう好き放題やっている曲だった。
助っ人のオッサンもジェフ・ワトソンが大好きらしく、完コピ。
ギターのオッサンは大好きなブラッド・ギルスを完コピ。
そして、最後のギターソロでツインリードを披露。
自分的にはこういう見せ場のある曲って好きで、ちゃんと構成を覚えて完コピしやすくしたりする縁の下の力持ち的な役割に徹する。
だって、自分がやりたいと思う曲を好きにやるのって絶対に楽しいし、その瞬間ってその人が確実に輝く瞬間だったりするので。
Home Sweet Home
Mötley Crüe - Home Sweet Home ('91 Remix) Music Video
最後は「Home Sweet Home」
これはギターのオッサンが「キーボード弾きたい」といって何度もライブでやった。
楽曲自体はそんなに難しいわけではないのだけど、普段ギターをバリバリ鳴らしているバンドでキーボードが入るとちょっと全体の出力が落ちる気がして、余計に静かな曲に思えてならなかった。
そして、本家本元のMötley CrüeはドラムのTommy Leeがライブでもピアノを弾くのだが、あくまで弾くのはギターのオッサン。
何回ライブでやってもこの曲をやる時は、キーボードを押さえる手が震えていたギターのオッサン。
そこまでしてやりたい曲なんだから、もう好きにしなよと思いながらゆったりと大きなビートを刻むのはなかなかいいもんだった。
最後に
自分の基本スタンスとして、他のメンバーが「この曲どう?」って持ってきた曲は却下せず、まずは1回バンドで合わせてみることにしている。
それは、食わず嫌いをしないでやってみると案外楽しい曲があったり、そんなに好きじゃないと思った曲が練習していくうちに愛着が沸いたりするのを何度も経験しているから。
何より、世代が違って(当時自分は20代、オッサンたちは40代)音楽の好みもバックグラウンドも違う人が集まっているのだから、自分の思い通りの楽曲ばかりを選ぶことはできない。
だからこそ、提案をできるだけ受け入れ、やってみてバンドで楽しむことをメインにするとバンドは楽しくなるし人間関係も良好で続いていく。
もちろん、やってみてボツになった曲もあるし、やる前から「テクニック的に無理」といってやらないこともあったけれど、全く気が向かない曲をやらないことも大事。
そういう楽曲選びの難しさだったり、微妙なバランスのバンドの人間関係を続けてこられたのは良い経験になっている。
バンドをいくつも渡り歩いていくと、パワーバランスだったり人間関係だったり様々な事情でバンドが解散に追い込まれていくのを見ているので余計にそう思う。
こちらからは以上です。
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